http://www.asyura2.com/14/genpatu40/msg/272.html
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前稿で紹介した、「ドキュメント 東京電力企画室」(田原総一朗著 文春文庫) に
朝日新聞が原発反対から推進に寝返ったいきさつが書かれてある。
疑惑の中心人物だった当時の科学部記者・大熊由紀子に、田原がインタビューをしている。
興味深い内容なので引用する。
------(引用ここから)-------
一体、いつから流れの向きが変わるのか。どうやら、そのきっかけ、いわば嚆矢の役割を果たしたのは、
一九七六年七月十三日から九月五日まで、「朝日新聞」に四十八日にわたって連載された、
科学部記者大熊由紀子の「核燃料---探査から廃棄処理まで」という記事のようである。
この連載記事は、その後、朝日新聞社から単行本として出版されたが、中野好夫、野坂昭如、
「自動車絶望工場」などのルポルタージュで知られる鎌田慧、反原発運動家の西尾漠など数多くの人々が
激しく批判し、また、多くの住民運動グループが朝日新聞社に出かけて、大熊由紀子に抗議を行なっている。
それだけ、原発批判派に与えた衝撃が大きかったということなのだろう。
原発批判派の間では、朝日新聞社が何らかの理由から原発推進の旗を振る必要に迫られ、
上層部が原子力発電に対してきわめて批判的だった大熊由紀子を、強引に転向させたのだ、
という噂がひろまった。ちょうどこの前後から、「朝日新聞」の原子力開発に対する論調が、
批判的姿勢から推進へと大きく変わり、そのことが噂に現実感を持たせた。
(中略)
それまで、原子力に対して批判的だった大熊が、なぜ一転して声高に持ち上げるような記事を書いたのか。
噂の真相はどうなのか。
朝日新聞社八階のレストラン・アラスカで大熊記者に会った。
(中略)
「私は、たしかに原子力について、かなり厳しく批判してきました。だって、推進する側が、
外国の技術をありがたがって、日本で独自の技術を育てようとしない。それから、たとえば、
ラジウムは身体にいいんだから、放射線というのは身体にいいんだ、なんて、ばかげたウソをついたり、
隠しごとをしたり、原子力発電所を建てるときの住民への説得の仕方も非民主的だし.......」
---だから反対運動が広まったのでしょう。
「私は、実は人間としては原発批判派の人たちの方が好きなのです。だけども、その人たちの中に、
全部がそうだとはいいませんが、本当でないことを誇張していったり、ウソと知りつつ、ただ、もう、
反対運動を煽るために脅かしの言葉を並べたてるという傾向が強くなってきた。
何が何でも原発を葬り去るべきだ、という声が強くなってきた。私はこれは危険だと思ったのです。
では、原子力をやめて何か代案があるのか、原子力に代るエネルギーが、他に何かあるのかといえば、
ありません。わたしは十年も前から太陽や風、地熱などを取材してきましたが、
少なくともこれから先、十年、二十年の間は、原子力に頼らないわけにはいかない、
そう判断せざるを得なかったのです。代案も考えないで、やみくもに原子力をつぶせと叫ぶのは、
あまりにも無責任ではないでしょうか」
---現在の生活レベルを少々落としてもいいではないか、という意見もあるようですが。
「『暗闇の思想』なんていう人たちもいましたが、私は、エネルギーを減らし、自然に戻る方が、
人間にとって幸せだとは、どうしても思えないのです。世の中豊かでなくなれば、逆に生活レベルの
格差がひろがり、最も被害を受けるのは底辺の人々です。それに、簡単に、生活レベルを落とす、
自然に還れという人々さえ、実は本心では生活レベルを落とそうとは思っていず、そんなことが
実際に起きるとも思っていない。タカをくくっているのですよ。だから無責任だし、不真面目だと
私はいうのです。それに比べれば、原子力の現場の技術者たちは真面目だし、真剣です。
一生懸命です。技術もずいぶん進みました。取材してみて、そのことを知ったのです。
彼らは信用できる、彼らがやっているのなら、原子力は信用できる、と。ところが、その
技術者たちが元気をなくしつつある......。自分たちの仕事を反社会的行為、悪魔の所業のように
罵られ、袋だたきに会う。新聞、雑誌と、目につくかぎりのものが、集中砲火を浴びせ、
ついには妻や子どもたちからもうとんじられるようになる。これでは立つ瀬がないですよ。こんな
状態にいつまでも置かれていたら、誰だってやる気を失い、逃げ出したくなってしまうでしょう。
げんにそういう兆候が見えはじめていた。これは危険だと私は思ったのです。それまでは、
私は原子力を厳しく批判することで、より健全な発展が促せると考えていたのですが、図に乗って
やりすぎると、原子力技術者たちを、そして原子力自体を潰してしまう。そうなったら大へんだ、と.....」
(p.155-158)
------(引用ここまで)-------
大熊由紀子が完全に間違っていたことは説明するまでもない。
推進に転向した理由をもっともらしく並べているが、実は目の前に積まれた札束と約束された地位に
目がくらんだのが真相だろう。
事実、彼女は原発推進に転向してから順調に出世、朝日新聞社で女性初の論説委員となった。
最近では、放射能の専門家でもないのに日本アイソトープ協会の役員に名を連ねている。
長年、原発推進の旗振りをしたことに対するお礼というわけか。
http://www.jrias.or.jp/association/cat12/404.html
大熊由紀子のようなカネのために身も心も売り渡した悪党が、福島を破滅に追いやったのだ。
読者に対してデタラメな情報を与え続け、その結果、取り返しのつかない事故が起きてしまった責任を、
"社会の公器"朝日新聞と大熊由紀子は、どう取るのか。
申しわけありませんでしたと土下座して謝り、これからは原子力ムラとの腐れ縁を断ち切って、
公平な報道に努めますと宣誓するのが筋だろう。
それが反省どころか、政府やムラとべったりのまま、いや、さらに癒着がひどくなっているのだから、
二の句がつげない。
朝日は、相も変わらず、右の連中からはひどく叩かれる。
かつて強く支持してくれた左寄りの人たちからは、政府広報誌に成り下がったと愛想をつかされる。
誰も読まない。購読部数は急降下だ。
読者は真実、真相を知るために新聞や雑誌を買う。
政府や企業の言うことを繰り返すだけの九官鳥メディアには読者は金を払わない。
残念ながら、読者を裏切り続けた朝日新聞は、もう先は長くないだろう。
(関連リンク)
「朝日新聞と岸田純之助と大熊由紀子の『原発推進報道』の責任を追及すべきだ」
(原発はいますぐ廃止せよ 2011/9/6)
http://pfx225.blog46.fc2.com/blog-entry-379.html
「あんまり朝日新聞と大熊由紀子に腹が立つから、読み終えた市川先生の本から抜粋
(市川定夫著『遺伝学と核時代』)」 (阿修羅 ジャック・どんどん 2011/9/11)
http://www.asyura2.com/11/genpatu16/msg/427.html
「改ざん・偏向報道の限りをつくしているくせに全く反省がない朝日新聞」 (拙稿 2013/6/12)
http://www.asyura2.com/13/genpatu32/msg/121.html
「朝日新聞出版が、福島の子どもの手紙を改ざん」 (拙稿 2013/5/24)
http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/671.html
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