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官々愕々 原子力ムラの最終兵器
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40315
2014.09.06 古賀茂明「日本再生に挑む」 週刊現代 :現代ビジネス
今週も原発の話だが、ご容赦いただきたい。原子力ムラの最終兵器が登場したので、どうしても書かざるを得ないのだ。
先だって新聞に、「電力自由化後も原発支援」「原発の電気価格保証 自由化に備え・・・・・・」などという見出しが躍った。一言で言えば、電力自由化が進むと、原子力発電による電力がそのコストに見合った価格で売れる保証がなくなるので、赤字になる場合はその分だけ電力需要家に電気料金として上乗せして請求することを認めようという話だ。
実は、これと類似の制度が、今年から英国で導入される。英国は地震がほとんどないこともあり、福島事故後も突出した原発推進路線を採る珍しい国である。しかし、他の欧州諸国同様、安全基準厳格化によって原発のコストが高くなり、民間事業としては成り立たなくなった。そのため、政府が特別の助成措置を認めたのである。もちろん他の欧州先進国にこんな馬鹿げた制度はない。
この話は原子力ムラの住人にとって、痛し痒しだった。「英国がやっているのだから日本も原発に補助金を出そう」と言えそうだが、一方で、原発が火力や水力などに比べて高いということを認めることになる。「原発は安い!」と叫んできた原子力ムラとしては、原発は高いと認めた途端に、「だったら、原発は止めろ!」と言われてしまうのが怖かった。
では、何故、今は堂々とこの話を出せるのか。
それは、4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」で、原発は「重要なベースロード電源」であると宣言され、原発の存続が国の正式な方針として確定したからだ。原子力ムラは、閣議決定後すぐに、「原発は重要なんだから維持が必要ですよね。でも、原発は事故の補償、廃炉、核のゴミ、いろんなコストがかさんで民間では維持できないんですよ。だから、税金か電気料金によるサポートが必要ですよね」と言い出した。
そして、ここへきて、この話が正式に経産省の審議会で検討の俎上に載ったのだ。
これは、実は、大変な意味を持つ。何故なら、「原発はどんなに高くても維持する」という宣言になるからだ。そうなると、原子力ムラはあらゆるコストを、「実はこんなにかかるんです」と言って申告し、それを全て税金と電気料金につけ回しすることができる。
その動きはあらゆる分野でいっせいに表に出てきている。廃炉コストのつけ回しについて、有識者会議を設置する。事故が起きた時の電力会社の損害賠償の負担を軽くしたり、免責にしてあとは税金につけ回しするための有識者会議も設置する。原子力損害賠償支援機構を改組して、廃炉に税金を投入して支援する制度も始まった。福島の事故による汚染土中間貯蔵施設の建設に関連して3000億円の地元支援も決まったが、本来は東電が負担すべきものを国が負担する。
原発は何から何まで、事故を起こしてもコストは全て税金と電気料金で面倒を見るという話だ。
賢明な読者は、「そもそも『原発は安い』から、エネルギー基本計画で重要だと言っていたはずだ!」「今さら『高い』とは、全く話が違う!」と言うだろう。しかし、原子力ムラはこうあざ笑う。「計画には、『運転コストが低廉』としか書いてない。つまり、『建設コスト』を入れた総コストでは高いという意味だ。原発が高いのは世界の常識だよ! 知らなかったの?」。
その他のことも、全部そうだ。2年前から温められたいくつもの卵がいっせいに孵化し、合体してモンスターとなる。
恐るべし、原子力ムラ。
『週刊現代』2014年9月13日号より
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