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福島の中間貯蔵施設受け入れ、巨額交付金の行方
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2014年9月5日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
福島県内に野積みされた大量の除染ゴミ。それを保管する国の中間貯蔵施設について、同県の佐藤雄平知事は30日、建設の受け入れを表明した。難航していた交渉の潮目が変わったのは、国が総額3010億円もの交付金を提示した時点だったという。ただ、巨額の交付金は誰が負担し、どう使われるのか。果たして、福島原発事故の避難者たちの早急な生活再建につながるのか。探ってみた。(榊原崇仁、沢田千秋)
◆財源 国民の懐頼み
交付金は先月、一気に3倍になった。7月に政府が地元に提示した金額は約1000億円。だが、地元側は首を縦に振らず、内閣改造前に懸案を片付けたい政府は提示額を跳ね上げた。
交付金は通常、特定の事業の財源として、国や地方自治体が交付する。だが、政府は今回、「極めて自由度の高い交付金」と説明する。どういうことか。
今回の3000億円超の内訳は、@中間貯蔵施設などにかかる交付金A原子力災害からの福島復興交付金B福島第一原発にかかる電源立地地域交付金─の3本立てで構成され、いずれも用途の縛りは付かない。
@は1500億円。このうち、計850億円は予定地の福島県大熊、双葉両町に直接支給される。残りの650億円は、県と両町以外の市町村が対象だ。
Aは1000億円。中間貯蔵施設に限らず、原発事故の影響を受けた福島県全域の復興を進める資金と位置付けられている。国は昨年度から「福島再生加速化交付金」として、これまで1600億円を県に拠出。ただ、財務省の担当者は「加速金は、避難解除に備えた地域のインフラや公営住宅整備など事業メニューが決まっている」と説明し、今回の交付金との性格の違いを強調する。
Bは通常、稼働中の原発立地地域に支払われる。福島第一原発は廃炉が決まっているが、国は特例とし、事故前と同額の毎年度67億円を県に交付してきた。今回、さらに17億円を増額し、向こう30年間の交付を約束した。増額分の合計は510億円だ。
施設の用地買収費は交付金とは別に計算された。地権者は約2000人。国は「事故前の半額」での買収方針を示したが、地元は反発、最終的に県が双葉、大熊両町に差額分の計150億円支払うことで決着した。
結果、双葉、大熊両町は計1000億円、県は今後30年間で立地対策交付金を含め、4170億円を受け取る。さらに国は中間貯蔵施設の建設費として、用地買収費用1000億円を含む1兆1000億円を見込む。
財源はどうなるのか。財務省によると、@、Aの交付金は、国の東日本大震災復興特別会計から拠出。大半は復興公債や復興財源確保のために、国民が負担している復興特別税だ。Bの交付金と1兆円以上の建設費用は、エネルギー対策特別会計から捻出する。これは国民が払う電気代に上乗せされている。
つまり、施設建設のために汚染元の東京電力が用意する資金はゼロで、全て国民の懐から徴収される。
ちなみにこれだけの大事業だが、地元のトラック、建設業者に「特需」への期待はない。同県いわき市の建設会社社長は「県のトラック協会は『全社挙げて搬入をやる』と意気込んでるが、運搬も工事もゼネコン主導で、特定業者の名前も流れている。除染と同じで地元に落ちる金はしれている」と冷ややかだった。
◆生活再建 つながるか
巨額の交付金。裏事情はないのか。政府は30年以内に汚染物質を県外に搬出すると明言しているが、うのみにする人は少ない。
神経戦はすでに用地買収段階で始まっている。政府は今後、地権者約2000人との交渉に入るが、買い取りに反発する地権者には賃貸借案も提示するという。
政府はここで「地上権の設定」という手法を取る考えだ。だが、福島原発避難者訴訟弁護団幹事長の米倉勉弁護士は「非常に姑息(こそく)なやり口だ」と警戒する。
地上権は民法が定める借地権の一つだが、賃借権と比べると、はるかに借り手側の力が強いという。その特徴が表れているのが、土地を借りられる期間だ。
米倉弁護士は「賃借権は上限が20年だが、地上権は制限がなく、地主との合意次第で半永久的な土地使用が可能」と指摘する。
さらに「中間貯蔵施設は保管期限が30年。国は地上権設定の際、少なくとも30年の土地使用を求めるだろうが、『原則30年』『必要に応じた措置を取る』など曖昧な表現を盛り込み、期間の延長を認めさせる余地を残しておくと、中間貯蔵施設がいつまでも使われかねない」と語る。
また、地上権が認められている期間中、土地の相続や売却などで地主が変わったとしても、借り手側は引き続き、その土地を使うことができるという。
「中間貯蔵施設の用地の地主が代替わりし、その子どもや孫が『やっぱり中間貯蔵施設はいらない』と言っても借り手の国は素知らぬ顔して土地を使い続けられる」(米倉弁護士)
双葉、大熊両町は帰還困難区域が大半だ。さらに中間貯蔵の期間にも疑念が生じれば、町を離れる町民が出ても不思議ではない。そうした中で、巨額の交付金はどう使われるべきか。
両町の担当者は「町はまだ中間貯蔵施設を正式に受け入れるとは言っていない」と前置きし、「施設に土地を提供した人の支援」「放射線の影響も考慮した将来の医療費や基金」などを検討しているとする。
これに対し、福島大の今井照(あきら)教授(自治体政策)は「土木業関連の町議らの意向をくんで、インフラ整備に進む可能性がある」と懸念する。「最も必要なのは避難者の生活再建支援。故郷が元の状態に戻ってない以上、帰還以外の選択も認められるべきだ。両町から出る場合、特に住居の確保が重要になる」と話す。
◆対象地区以外の町民が反目も
仮設住宅やみなし仮設は1年ごとに利用期限が延長されている状態で、いつ住居を失うか分からない。
「腰を据えて暮らせる拠点がないと、安心して生活ができない。子どもの学校、勤め先も住む場所で大きく変わる。お年寄りが顔見知りの多い仮設住宅での生活を望む一方で、仮設自体は狭く、傷みも進んでいる。リフォームして間取りを変え、補修することも必要になってきている」
加えて、近い将来、施設の用地代が入る町民と、入らない町民が生まれることで、住民が反目し合う事態も危ぶまれている。
反目の懸念は2町だけにとどまらない。交付金の配分で、自治体間のそごも生じかねない。原発立地ではよく見られる構図だ。
今井教授は「被災者一人一人の生活を事故以前の水準まで戻すのにどうすべきか、そのための費用がどれだけかかるかという丁寧な議論がないのが、そもそもの問題だ」と強調する。
「将来が見通せない中、目の前にお金をちらつかされれば、そこにばかり目が行きがちだ。だからこそ自治体は住民と対話しつつ、一人一人の生活再建や町の復興を考え、必要な費用を確保していくべきだ」
巨額の交付金は新たな試練を被災地に課している。
[デスクメモ]
言いにくいが、疑いがぬぐえない。中間貯蔵施設が最終処分場にされかねないという疑念だ。第一原発を囲んだ立地、施設設計を調べるほど疑いは強まる。最終を決めずに、中間があること自体が本末転倒だ。不安の先送り。その場しのぎ。原発の本質だ。あれだけの事故を体験しながら、なぜ直せないのか。(牧)
2014年9月5日 東京新聞:特報
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014090502000176.html
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