http://www.asyura2.com/14/genpatu40/msg/198.html
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今回は、ちょっと角度を変えて、送電線の問題を取り上げたい。
原発は、事故のことを考えて大都会から遠く離れたへき地に建設しなければならないので、
長い長い送電線が必要になる。
東京からの直線距離で、福島第一や柏崎狩羽原発は200キロ、青森県の大間、東通原発は実に550キロ以上である。
水力発電なら山奥のダムでもせいぜい150キロ程度だ。火力発電所は大都市、工業地帯の近くに建設できる。
原発にはとんでもなく長い送電線が必要なのだ。
送電線の建設費はどのくらいかかるのだろうか?
15年ほど前の東電資料によれば、50万ボルト超高圧線19キロメートルの建設で180億円、何と1キロ約10億円である。
「50万ボルト送電線『葛野川線』の完成について」 (東電資料 1998/11/25)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/98112502-j.html
現在はもっとコストが上がっているだろう。
送電ロスを減らすためには、できるだけ電圧を上げたほうが有利であり、東電は100万ボルトの送電線の導入を進めている。
100万ボルト送電には100メートル以上の高い鉄塔、8導体の送電線などが必要となり、さらにコストがかかる。
「電気を高電圧で効率的に送る送電線」 (東電資料)
http://www.tepco.co.jp/solution/power_equipment/transmission/index-j.html
このほかに変電施設も必要だし、何百キロにも渡る送電線の保守管理費用、借地料も莫大である。
原発からの送電のためだけに1兆円単位のお金がかかるのである。
長距離送電のコストだけを考えても、原発の電力が安いというのは大嘘であることがわかる。
もっとも、いくらかかろうと電力会社は痛くもかゆくもない。総括原価方式で、電気料金にすべて上乗せできるからだ。
こんなバカなことがあるだろうか? 恐喝、強奪以外の何ものでもない。
これが、"総カツアゲ原価方式"と言われる所以である。
送電ロスも無視できない。100万ボルト送電でも全総電力の5%程度が失われる。
原発20基につき1基は全く無駄な発電をしている勘定だ。
送電線が長くなればそれだけトラブルも増える。地震や台風で鉄塔が倒れれば電力供給は停止する。
福島第一の事故では、送電鉄塔が倒壊したため、外部から電力を供給することができず、全電源喪失となり、
致命的な原子炉爆発を引き起こした。
テロや他国からの攻撃にも弱い。
あちこちの発電所を破壊しなくても、送電鉄塔を1本破壊するだけで大規模の停電を引き起こすことが可能だ。
電力需要地の近場にいくつも発電施設を建設して分散供給したほうが、トラブルにより強く頑強になることは明らかだ。
それができず長距離送電に頼らざるを得ない原発は、信頼性のある、安全で安定した発電システムとはとても言えない。
原発で電力の安定供給ができるというのは幻に過ぎない。
また鉄塔が倒れたり、送電線が切れて落下したときの近隣住民に対する安全確保にも不安がある。
とくに超高圧送電では危険だ。
さらに電磁波の問題もある。
高圧線が発生する低周波磁界が、白血病や脳腫瘍などを引き起こす可能性が指摘されており、
世界的に規制が厳しくなっているのである。
東電は、柏崎刈羽原発のために100万ボルトの送電線を建設したが、電磁波による健康被害を懸念する近隣住民の反対で、
やむなく50万ボルトに抑えて送電している。100万ボルト送電の見通しは立たず、巨額投資が全く無駄になっているのだ。
「南新潟幹線」 (ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%96%B0%E6%BD%9F%E5%B9%B9%E7%B7%9A
電磁波の問題については、長くなるので稿を改めて議論したい。
原発の問題は放射能汚染だけではない。
長距離・超高圧送電という危険で脆弱な金喰い虫も抱えていることを忘れてはならない。
(関連リンク)
「原発は莫大な送電線コストや電力ロスを生ずる無駄なシステムだ」 (五十嵐仁の転成仁語 2011/6/29)
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2011-06-29
「よくわかる原子力 ばかにならない送電ロス」 (原子力教育を考える会)
http://www.nuketext.org/yasui_soudenhiyou.html
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