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入手した内部文書
原発賠償:「一律5割」内部文書明記 「存在せず」は虚偽
http://mainichi.jp/select/news/20140830k0000m040198000c.html
毎日新聞 2014年08月30日 02時30分(最終更新 08月30日 15時26分)
◇紛争解決センター、慰謝料算定で
東京電力福島第1原発事故の賠償問題を裁判外で解決する国の手続き(原発ADR)を担当する原子力損害賠償紛争解決センターが、避難後に死亡した人への慰謝料を算定する際、原発事故の影響をほぼ一律に50%としていた問題で、毎日新聞は「一律5割」と明記された内部文書を入手した。文書はセンター内で保管・共有され、実務上も利用されている。センターは「50%ルール」の存在を否定してきたが、虚偽説明だった疑いが強まった。
センター側は、和解案で提示する死亡慰謝料額を「基準額」×「原発事故の影響の度合い(%)」で算定する。毎日新聞は7月9日、センターの実務を担う文部科学省の「原子力損害賠償紛争和解仲介室」の野山宏前室長が取材に「『(原発事故の影響の度合いを)大体50%にしましょう』と決めた」と証言した事実や、50%と認定されている事例が多いことを報じた。
その後、野山氏の後任である団藤丈士(じょうじ)室長(裁判官出身)が取材に対し「野山氏が何を話したかは分からないが、ルールは存在しない」と否定。7月14日にあった原発事故の被災者支援を行う複数の弁護団との定期的な会合でも「『内部基準(50%ルール)があるのか』と各方面から言われているが、一貫して否定している」と説明した。
しかし、毎日新聞が入手した2012年12月26日付のA4判4枚の文書には、「一律5割とし、4割か6割かといった細かい認定は行わない」と記載。50%ルールを「実務上確立されつつある運用」と説明している。さらに「5割の判断に無理がある場合、例外的に1割と示すこともできる」と記載され、より低額の和解案提示を可能にする内容になっている。
このほか(1)基準額を通常訴訟より低く設定できる(2)(判断の際)医師の意見やカルテを重視すべきでない−−とも記され、これまでの毎日新聞の報道に沿った内容になっている。
センターには仲介室職員のほか、被災者、東電の双方から提出される書類を整理する「調査官」、実際に和解案を作成する「仲介委員」(いずれも弁護士)がいる。関係者によると、毎日新聞が入手した文書は仲介室職員が作成し、複数の調査官に配布された。調査官経験者は取材に対し「文書の内容を仲介委員に説明した」「文書に沿わない和解案になりそうであれば、仲介委員に指摘する」と話し、文書が基準として利用されてきた実態を認めた。
センターはいったん「文書はない」と否定。その後「文書があった(見つかった)」と認める一方、「個人のメモの可能性もある」として、基準として使用していることは認めなかった。【高島博之、関谷俊介】
◇他にも内部文書があるなら、すべて公開せよ
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長の話 業務に利用されているならば「個人のメモ」との主張は成り立たない。事例の蓄積などから判断のベースができているのであれば、それを記載した文書は公表すべきだ。原発ADRでは、東電は情報を蓄積できるが、被災者側には情報がない。他にも内部文書があるならば、センターの中に閉じ込めておかず、すべて公開し、被災者と東電の格差を是正しなければならない。
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