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土下座行脚から3年半…/(C)日刊ゲンダイ
狙うは財界復帰か…東電・清水元社長「慶応評議員」に立候補
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153056
2014年9月2日 日刊ゲンダイ
「原発事故から3年半。収束作業は遅々として進まず、12万人を超す避難者は今も漂流生活を強いられたまま。それなのに事故当時のトップがどうして」――ある慶応OBの感想だ。
先週末、学校側から約33万人の慶応の全卒業生のもとに一通の封書が届いた。中には4年に1度の「評議員選挙」の知らせと投票用紙、立候補者一覧が入っていた。
評議員101人のうち、30人が卒業生の直接投票で選ばれる。今回の立候補者は56人。日清食品の安藤宏基社長、三井不動産の岩沙弘道会長、大林組の大林剛郎会長、住友商事の岡素之相談役、サントリーの佐治信忠会長、パナソニックの松下正幸副会長、トヨタの渡辺捷昭相談役…とまあ、財界重鎮や創業家ジュニアら名だたる面々が居並ぶ中、あの「土下座社長」が交じっていた。
原発事故当時の東電社長、清水正孝氏(70=68年経済学部卒)だ。
■理事会より古い最高議決機関
評議員会は私立学校法に基づく組織で、どの学校法人にもある。おおむね理事会の御用機関として形骸化しているが、慶応の評議員は無報酬とはいえ、その権力は絶大だ。
理事会よりも古い最高議決機関として、「塾長(理事長兼学長)や常任理事の選任、予算及び重要な資産の処分の承認、学部や研究所の設置」(慶応義塾広報室)など幅広い権限を持つ。慶応は約1000億円の運用資産を誇る“金満学校”だ。その全権をほぼ掌握できる立場は魅力だし、原発事故以前から現在も評議員を務める清水氏が再選されれば、また違う意味合いを持つ。財界中枢での「復権」を約束されるようなものだからだ。
「ここまで財界のお歴々が名を連ねる組織は、他に日本経団連ぐらいしか見当たりません。評議員選出は慶応出身の財界人にとって最高の名誉であり、だからこそ、行き過ぎた集票活動が時に新聞や雑誌のネタになる。清水氏の再選は、あれだけの事故を起こしてなお、財界に確固たる地位を占めていることの証しとなり、事実上の財界復帰を果たしたと言っても過言ではないのです」(経済ジャーナリスト)
評議員選挙への立候補は理事会推薦と塾員推薦の2通りあり、清水氏は理事会の推薦候補のひとり。慶応の規則には<理事会は評議員会の意見を聞いた上、評議員の候補者を推薦することができる>とある。はたして評議員会を構成する財界の“お友だち”同士が、清水氏の復権に手を貸したのだろうか。慶応義塾広報部は「理事会がいかなる理由で推薦したかは分かりかねます」とコメント。ちなみに、東電は「清水氏は当社を退社しているので、コメントする立場にない」(広報室)とのこと。清水氏の自宅も訪ねたが、何度インターホンを鳴らしても反応はなかった。
投票の締め切りは10月1日。慶応OBはいかなる判断を下すのか。
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