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原発電気 国が赤字穴埋め提案 「割高」を認識?
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2014年8月27日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
2016年の家庭向けの電力小売り自由化で、電気価格は引き下げ競争になり、原発事業は赤字になる可能性がある−。経済産業省は有識者会議でこう説明し、政府が赤字を穴埋めすると提案した。原発の運転コストは「低廉」というこれまでの主張 と矛盾する。提案に際して提出された資料を読み解くと、政府も原発を「割高」と認識している実態が浮かび上がった。(白名正和、鈴木伸幸)
◆投資回収 長期に 事故の賠償拡大
21日の有識者会議「原子力小委員会」で、経産省資源エネルギー庁は「競争環境下における原子力事業の在り方」と題する資料を提出した。この中で、三つの「原子力事業の特殊性」が説明されている。
一つ目は「事業の長期性」だ。原発の建設費用は巨額で、最終的に黒字にするためには長期間の運転が必要だと説明する。そのため、「これまで、原子力事業者は長期的な投資回収を保証する地域独占・総括原価料金規制の下、原子力事業を行ってきた」という。
各電力会社は独占市場で、必要な費用を上乗せして電力価格を高めに設定してきたということだ。
「地域で需要を独占し、コストを電気料金に転嫁するシステムを用意しなければ、原発を維持できなかったという意味だろう」。委員の一人、吉岡斉(ひとし)九州大教授(科学政策)はこう解説した。
「原発の投資回収イメージとリスク」というグラフは、原発の運転をやめる少し前にようやく黒字になることを示している。安全設備のための追加投資や、トラブルによる発電の中断、計画よりも早い廃炉が決まると、黒字になることなく負債が残る。政府のエネルギー基本計画では原発の「運転コストが低廉」とあるが、高コストを認識していることは明らかだ。
「投資の回収に時間がかかる原発は、電力会社にとって良い事業ではなかったはず。国は原発を安い電源と主張してきたが、さまざまなサービスがないと成り立たない、という見方ができる」(吉岡氏)
二つ目は「万一の事故の際の対応」で、「事故の収束、被災者の方々への賠償に万全を尽くす必要がある」とある。
賠償は当然で、ここで言う特殊性は、原発事故は補償が巨額になるという趣旨だろう。福島第一原発事故では、政府は賠償資金を原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて、東京電力に四兆円以上交付している。東電は数十年かけて返済しなければならない。
「今回の資料の賠償について記載からは、国による電力会社の賠償支援を今後も続ける、という意図を感じる。回収できなければ結局、国民の負担になるので納得できない」(吉岡氏)
三つ目は、核燃料サイクルと使用済み核燃料の最終処分についての「共同事業実施・リスク構造」。原発事業と同様に、「極めて長期の事業期間を要し、事業の不確実性が大きい」という説明がある。
核燃サイクルと最終処分の総事業は18兆8000億円とも記されている。だが、今もって、核燃料サイクル工場は完成せず、最終処分場は用地選定すらできていない。吉岡氏は「電力会社の負担は想定よりも大きくなっている」と指摘し、こう強調する。
「原発が安い電源であるなら、政府が金を出す必要はないのに、電力自由化後は、新たな『原発延命策』を導入しなければならないという。保護がなければ成り立たない原発が、安い電源だなんて真っ赤なウソでしかない」
◆国民不在「延命が前提」
資源エネルギー庁の資料には、「原子力事業を巡る課題・懸念」についての記載もある。
まずは、「原子力事業の特殊性」と関連するが、「長期的に投資・費用の回収ができなくなるリスクの顕在化」だ。「費用回収が中断し損失が発生することから、財務会計上の理由から廃炉の判断が影響を受ける可能性有り」と具体例が挙げられている。
福島の原発事故の対応コストを11兆円以上と試算した立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「『原発は投資に見合った回収ができない』と言っているようなものだ。これまでの『原発は発電コストが低い』という主張と矛盾する。原発も火力発電所も水力発電所も条件は同じ。電力自由化になったら、原発だけ影響を受けるという理屈は通らない」と指摘した。
続く課題・懸念は、「安全規制の変更で、多額の財務的な損失が発生する可能性」だ。これについても、大島氏は「公害の規制でも何でも、安全規制は強化されて当たり前。そもそも、安全性と経済性はトレードオフ(二律背反)の関係で、懸念すること自体がおかしな話だ。逆ギレといってもいいぐらい」と苦笑する。
資料では、さらに、「現在の実施主体の性質から、考えられる懸念点はないか」と、発電や廃炉について、「各(電力)事業者が実施していくことが原則か」と問いかける。「官民の役割分担・政策措置」という続いて記載された項目と合わせて考えると、政府が発電・廃炉に関与する必要性があるという意味とみられる。
大島氏は「『原子力事業が必要』という前提が先にある。ロジックの立て方が間違っている」と首をかしげる。
原子力行政は、さまざまな矛盾を抱えて続いてきた。一般的な事業者は産業廃棄物を自らの責任で処理する義務が法律で定められているが、放射性廃棄物は対象外とされているのも、その一つ。やっかいな使用済み核燃料の処理問題を棚上げしたまま、原発は全国に次々と建設された。
「安全神話」など、ごまかしもあった。電力の小売り自由化後、原発の電気を買い取る「基準価格」を決めて政府が電力会社の収入を保障する制度の提案も、新たなごまかしにほかならない。
資料には、同じような制度の具体例として英国の「CfD(差額決済契約)」の概要が載っている。だが、実はこの制度は、まだ実施されていない。
英BBC放送は「ストライク・プライス(基準価格)は火力などの電気料金の2倍にもなり、欧州連合(EU)が禁じている特定産業への補助に該当する可能性が指摘される」と報じている。しかも、対象は英国内の全てではなく、南西部サマセットにある「ヒンクリー・ポイントC」と呼ばれる原発だけの特例措置にすぎない。
そして注目しなければならないのは、英国がそうした制度の導入を検討している理由だ。「原発の発電コストが高いから」にほかならない。
大島氏は「本当に発電コストが低いのなら、日本で電力が自由化されたところで問題ないはず。経産省の提案は、むちゃくちゃな原発の補助制度だ」と批判する。「どうしても原発を残したいのだろう。原発の再稼働ですら反発が強いのに、国民不在のひどいやり口だ」
[デスクメモ]
ウラン濃縮をできる国は少ない。多くの国が挑んだが、断念した高度な技術だ」。日本原燃(青森県六ケ所村)の技術者が自慢げに話し、こう続けたのを覚えている。「原発に使うウランを濃縮し続けると、原爆の材料になる」。原発事業は電力のためなのか。日本が潜在核保有国であるためなのか。(文)
2014年8月27日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014082702000156.html
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