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吉田調書の要旨
http://www.nnn.co.jp/dainichi/knews/140830/20140830999.html
2014年8月30日 20:00 大阪日日新聞
政府事故調査・検証委員会による福島第1原発・吉田昌郎元所長の「聴取結果書(吉田調書)」要旨は次の通り。
【震災発生】
〈2011年3月11日午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9・0の東日本大震災が発生した〉
―最初の対応は。
「運転している1、2、3号機について自動停止しているかどうかと、電源関係の異常や設備の損傷がないか確認する」
―津波の危険性は予測していたか。
「NHKだったと思いますけれども、津波警戒警報ですか、注意報が出ているというのは見ています」
―その時点で対策は。
「プラント運転上、津波の対応というのは、この時間で手を打てるものが全くない」
【津波襲来】
〈第1原発に津波の第1波が到達したのは午後3時27分だった〉
「異常が起こったのは(3時)37分の全交流電源喪失が最初でして、非常用DG(ディーゼル発電機)動かないよ、何でだという話の後で、津波が来たみたいだという話で、『えっ』という感覚ですね」
【非常用復水器の操作】
〈午後6時すぎ、当直員が1号機非常用復水器(IC)を停止させたが、吉田氏には情報が伝わっていなかった〉
「少なくとも私は聞いてないですね。当直長が私のところに電話をしてくる仕組みになっていません。その時点でICは大丈夫なのかということを何回も私が確認すべきだった。SOSが来ていれば、人を手配するんですけれども、炉の中に燃料が入っているもの全部を見ていますから、いちいち『ここはどうだ』と、こちらから指示することは難しいんです。炉水位は1回見えた時があって、それであるんじゃないかという思い込みがあって、こちらから聞かなかった。私は今、猛烈に反省しているんです」
【格納容器ベント】
〈12日未明、1号機格納容器の圧力が上昇し、蒸気を外部放出するベントの実施を迫られた〉
「私もこの事象に初めて直面しているので、細かい現場の状況が分からないんですよ。AO弁(空気作動弁)のエアがない、もちろんMO弁(電動駆動弁)は駄目だと。手動でどうなんだと言うと、線量が高いから入れないと。そんなに大変なのかという認識がやっとでき上がる。本店は早くやれ、早くやれというだけの話です。遠く離れている本店と認識の差ができてしまっている」
〈業を煮やした政府は、12日午前6時50分、海江田万里経済産業相によるベント実施命令を出した〉
「一番遠いのは官邸ですね。大臣命令が出ればすぐに開くと思っているわけですから、そんなもんじゃない。何か意図的にぐずぐずしていると思われていたんじゃないかと思うんですけれども」
【首相の視察】
〈菅直人首相は12日午前7時11分、視察のため第1原発にヘリコプターで降り立った〉
―何のために来ると。
「知りません」
―首相は何と。
「かなり厳しい口調で『どういう状況だ』と聞かれたので、電源がほとんど死んで制御が利かない状態ですと。『ベントどうなった』と言うから、一生懸命やっていますけれども、現場は大変ですという話はしました」
―視察でベントが遅れたのでは。
「全くないです。早くできるものは(首相のヘリに蒸気を)かけてしまったっていいじゃないかぐらいですから」
【官邸からの電話】
〈吉田氏は事故対応の傍ら、官邸との電話のやりとりに忙殺されることが何度もあった〉
「官邸と電話なんかする気は全くなかったんですけれども。向こうからも電話が来ますし、何かあったら連絡くれという話があったので。ずっとおかしいと思っていました」
【海水注入中止命令】
〈12日午後7時4分、1号機原子炉への消防車による海水注入が始まった。直後に官邸側から中止せよと連絡が入り、吉田氏はテレビ会議で「中止」を宣言しながらも、独断で注水を継続した〉
「官邸にいる武黒(武黒一郎・東電フェロー)から電話がありまして『官邸ではまだ海水注入は了解していない』と。だから海水注入は中止しろという指示でした。ただ私はもうこの時点で水をなくすなんていうこと、注水を停止するなんて毛頭考えていませんでしたから、私の判断でやると。担当している防災班長に『中止命令はするけれども絶対に中止しては駄目だ』と指示して、本店には中止したという報告をしたということです」
【1号機爆発】
〈12日午後3時36分、1号機の原子炉建屋が水素爆発した〉
「われわれは格納容器の爆発をすごく気にしたわけです。今から思えばあほなんですけれども、格納容器が爆発するぐらいの水素、酸素が発生しているのに、それが建屋にたまるということに思いが至っていない。原子力屋の盲点、ものすごい大きな盲点」
【3号機爆発】
〈14日午前11時1分には3号機が爆発した〉
「最初、現場から四十何人行方不明という話が入ってきた。私、その時死のうと思いました。それが本当で四十何人亡くなっているんだとすると、腹切ろうと思っていました。(しかし)一人も死んでいない。仏様のおかげとしか思えないんです」
【2号機の危機】
〈事故発生以来、動き続けていた2号機RCIC(原子炉隔離時冷却系)が14日午後1時25分に停止し、原子炉水位が低下した〉
「われわれのイメージは東日本壊滅ですよ。完全に燃料露出しているにもかかわらず、減圧もできない、水も入らないという状態で、本当にここだけは一番思い出したくないところです。ここで本当に死んだと思ったんです。2号機はメルト(ダウン)して、完全に格納容器の圧力をぶち破って燃料が全部出て行ってしまう。最悪の事故ですから。チェルノブイリ級ではなくて、チャイナシンドロームではないですけれども、ああいう状況になってしまう。1号、3号の注水も停止しないといけない。そうなると結局、退避しないといけない。たくさん被害者が出てしまう。細野さん(細野豪志・首相補佐官)に、2号機は危機的状態だと。水が入らないと大変なことになってしまうという話はして、その場合は、現場の人間はミニマムにして退避ということを言ったと思います」
―所員には何と。
「総務の人員をひそかに呼んで、運転、保修に関係ない人間の人数を調べておけと。使えるバスは何台あるか。運転手は大丈夫か、燃料入っているか、表に待機させろと。何かあったらすぐに発進して退避できるように準備を整えろというのは指示しています」
【退避問題】
〈菅首相は東電が第1原発から全面撤退すると考え15日午前5時35分ごろ、本店に乗り込んで叱責した。免震棟にもテレビ会議でその様子が伝わっていた〉
―首相は何をしに。
「叱咤激励に来られたのか知りませんが、えらい怒ってらしたということです。『おまえらは何をしているんだ』と。気分悪かったことだけ覚えています。退避騒ぎに対して言うと、何をばかなことを騒いでいるんだと。逃げていないではないか、逃げたんだったら言えと。本店だとか官邸でくだらない議論をしているか知らないですけれども、現場は逃げたのか。逃げていないだろう。これははっきり言いたいんです」
―ある時期、菅さんは自分が撤退を止めたと。
「辞めた途端に。あのおっさんがそんな発言する権利があるんですか。あのおっさんだって事故調の調査対象でしょう」
〈15日午前6時14分ごろ、衝撃音とともに2号機圧力抑制室の圧力がゼロになったとの連絡が免震棟に入った〉
―退避の判断は。
「圧力がゼロになっているということは、格納容器が破壊された可能性があるわけです。非常事態だと判断して、運転に関わる人間と保修の主要な人間だけ残して1回退避しろという命令を出した。2F(福島第2原発)まで退避させようとバスを手配したんです」
―退避した人たちは15日午前中に戻り始めた。
「本当は私、2Fに行けとは言っていないんですよ。ここがまた伝言ゲームのあれのところで、『行くとしたら2Fか』という話をやっていて、伝言した人間は運転手に福島第2に行けという指示をしたんです。私は福島第1の近辺で、所内にかかわらず線量の低いようなところに1回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんですが、2Fに行ってしまいましたと言うんで、しようがないなと。確かに考えてみれば、みんな全面マスクしているわけです。それで何時間も退避していて死んでしまうよねとなって、2Fに行った方がはるかに正しいと思ったわけです」
【津波対策】
〈東電の試算で事故前の08年、第1原発に大津波が来る可能性があるとの結果が得られたにもかかわらず、具体的な対策は取られなかった。吉田氏は当時、本店原子力設備管理部長だった〉
―女川原発では869年の貞観津波を考慮している。第1原発ではどうだったか。
「福島県沖の波源というのは今までもなかったですから、そこをいきなり考慮してやるということは仮想的にはできますけれども、費用対効果もあります。根拠もないことで対策はできません」
―別の原発で貞観津波を考えているのに、第1原発で考えないのはおかしいとは思わないか。
「貞観津波を起こした地震よりももっと大きなものが来たわけですから。日本の地震学者、津波学者の誰があそこにマグニチュード9が来るということを事前に言っていたんですか。それを言い始めると、結果論の話になりますと言いたいです。マグニチュード9が来ると言った人は、今回の地震が来るまで誰もいないわけですから、それを何で考慮しなかったんだというのは無礼千万だと思っています」(肩書は当時)
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