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「電気料金再値上げ」は誰の責任か? 政治と行政の不作為が招く電力コスト高止まり(石川和男の霞が関政策総研)
http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/799.html
投稿者 会員番号4153番 日時 2014 年 8 月 21 日 15:03:41: 8rnauVNerwl2s
 

3.11以前の状況を反映する10年度末に1兆4900億円あった関西電力の純資産は、その後の3年間で8100億円にまで減少した(単体)。しかも、この8100億円のなかには、将来の利益を見越して計上している繰延税金資産が5000億円含まれており、実質的な純資産は3100億円程度にとどまる。つまり、実質的な純資産はすでに資本金(4900億円)を下回るレベルにまで毀損しているのであり、このままの状況が続けば債務超過も視野に入れざるをえないのである。(プレジデント オンライン)

・・・・・

再稼働もできない、値上げもできない・・・。
もうちょっと原子力規制委員会と経産省が頑張れば、電力会社を潰せそうですね。


ダイヤモンド オンラインから
http://diamond.jp/articles/-/51218


収益を生み出す発電が
行われていない原発

 2011年3月11日の東日本大震災における大津波による東京電力福島第一原子力発電所の事故の後、日本国内では原子力発電所が“発電を再開できない”状態が続いている。原子力規制委員会による新規制基準の適合審査によって安全性を確認されないと発電再開が認められない運用となっている。

 この状況に関しては、しばしば“原子力発電所が稼働していない”と言われるが、正確には“原子力発電所の発電が停止している”ということ。使用済燃料の管理を始めとして、必要な業務は停止していない。日本の原子力発電所はどこも、福島事故にかかわらず現在でも『業務継続中』なのであって、収益を生み出す発電が行われていないだけだ。

 発電が再開できないでいることより、火力発電の焚き増しに伴う追加的な化石燃料費が激増し、電気料金が高止まっている。現在まで、東京、関西、九州、東北、四国、北海道の6電力会社が、その追加燃料費を賄うための電気料金値上げを認可されている(資料1)。


http://diamond.jp/mwimgs/7/b/500/img_7b8767b1d93ae0d4523ad405c4523523215092.jpg


収益を産む発電は許されず
収益を生まない業務は継続

 経済産業省は、この6社の値上げについて、「最大限の経営効率化努力を踏まえた内容か厳正に審査の上、認可。値上げを行った各社は原発の再稼働を織り込んで料金原価を算定しており、想定よりも再稼働が遅れた場合には収支が悪化し、更に財務基盤が毀損されるおそれあり」としている。

 多くの原子力発電所では、「再稼働」の想定時期が過ぎている。収益を生み出す発電は行われていないのに、収益を生まない他の業務は継続中なのだから、赤字幅は広がるばかりだ。「再稼働」の時期が過ぎても「再稼働」が許されていない場合には、料金の認可条件が変更されたことになる。そうなると、理論的には、上記の電力6社は値上げ後の料金の認可条件の変更を求めることができる。それが即ち、『再値上げ』の申請である。

 去る2月17日、北海道電力が料金の再値上げの検討を表明した。上記の電力6社のうち、再値上げに向けて具体的な意思表明をしたのは北電が初めてである。同日の北電の発表によると、その背景は次の通り。

(1)震災以降、泊原子力発電所が順次停止したため、火力発電燃料費や購入電力料が急増。平成25年度については、昨年9月の料金値上げの増収効果とコスト削減によっても、1100億円超の経常損失が不可避(資料2)。

(2)純資産の取り崩しで、純資産は今年度末に資本金を大きく下回る見通し。有利子負債も1兆3000億円と、過去最高を更新する見込み(資料3)。

(3)原子力規制委員会による新規制基準に係る審査が始まって約半年、現時点でも泊原子力発電所の発電再開時期は見通せない。

(4)平成26年度については、料金値上げの増収効果、効率化、修繕費繰り延べなどの緊急的な支出抑制策によるコスト削減を計画。今後、設備投資抑制も含め更なるコスト削減に取り組むが、安全確保や安定供給に影響を及ぼさない範囲での上積みは難しい。

(5)コスト削減だけでは燃料費等の増加を吸収できない。純資産の毀損拡大が継続すると、燃料調達や設備の保守・保全に必要な資金調達も困難となり、電力の安定供給にも支障をきたすおそれ。このような状況を踏まえ、料金の再値上げについて、具体的な検討を行うこととした。

◆資料2

http://diamond.jp/mwimgs/d/d/500/img_dd878babe8e920b6e377e2a62073c0ab145294.jpg

◆資料3

http://diamond.jp/mwimgs/1/2/500/img_1248821bea910b3010b659be67e74fbf156026.jpg

審査はコスト削減ばかり
本質は電気事業継続の追求

 これに関して、翌2月18日の日本経済新聞によると、茂木敏充経済産業相は「慎重に検討を行うことを期待したい」と述べた。この発言は、北電に対して再値上げを回避するための努力を促したものと受け止められたようだ。その後、経産省と北電の間で水面下の調整がなされたことは想像に難くない。

 3月28日のNHKニュースによると、3月27日に北電が再値上げの年度内の申請を見送るとしたことについて、茂木経産相は「料金の値上げは、事業者みずからの経営判断で行うものだが、まず、北電は最大限の経営効率化など値上げを回避するために、ありとあらゆることをやるのが何より重要だ」と述べたようだ。

 茂木経産相の発言趣旨は、ごもっともに聞こえる。安易な料金値上げは許されず、それ以前にきちんと経営効率化などコスト削減努力をすべきだ、と。昨年9月に値上げが認可された現行料金に関する申請から査定までの経緯を考えると、経産相・経産省が北電に対して更なるコスト削減努力を半ば命ずるようなことは、妥当なことなのだろうか。

 北電は、先の値上げに至る料金認可までの過程で、経済産業省と消費者庁による二重の厳格な査定を受けた。詳細な内容については経産省の公開資料を参照されたいが、主要なものは次の通り。

(1)人件費:539億円を▲34億円(従業員一人当たり年間給与を、一般的な企業の平均値と類似の公益企業の水準の平均まで料金原価から削減〈643万円→624万円〉)

(2)燃料費:1460億円を▲0.07億円(石炭は各国別の全日本通関CIF価格まで料金原価から減額)

(3)購入・販売電力料:469億円を▲33億円(総体的に見て高い水準の供給予備率であるため、卸電力取引所を最大限活用することを前提に、売り入札に係る利益額を想定し、料金原価から減額)

(4)設備投資関連費用(減価償却費、固定資産除却費、事業報酬):1394億円を▲10億円(先行投資及び不使用設備等に係る減価償却費について料金原価から減額)

(5)その他(修繕費、公租公課、バックエンド費用、その他経費、控除収益等):2314億円を▲57億円(販売促進的な側面が強い節電や省エネ推進を目的とした費用や優先度が低い費用を料金原価から減額。周辺物件の平均的賃料水準を上回る社宅賃料について料金原価から減額)

(6)資材調達の経営効率化((2)〜(5)の内数):▲16億円(今後契約を締結するもの、契約交渉を行うものについて原則10%のコスト削減を前提に未達分を料金原価から減額。子会社・関連会社に本社並の経営合理化を求めるため、今後の契約取引に係る費用のうちコスト削減可能な部分について、出資比率に応じ10%の追加的コスト削減を行うことを前提に料金原価から減額)

(7)スマートメーター関連費用((4)、(5)の内数):▲3億円(東京電力の査定単価である約1万円/台を基準に原価算入を認める)


これは、昨年9月の値上げに係る査定内容だ。北電の件も含めて、昨今の電力各社に係る一連の値上げ申請から査定までの過程を見ていると、申請内容がコストを減額することばかりに焦点が当たっている。

 だが、査定の本質的役割は、電気事業の持続性を追求することでもある。電力会社は原則として、それぞれの供給区域で電力供給を拒むことはできない。申請内容を減額するにしても、赤字に陥るような査定は電気事業法の趣旨に反する。

 昨年9月の認可料金について考えると、@原価算定期間は平成25〜27年度の3年間であり、この間に上記のような経営効率化のノルマを課す、Aその上で、平成25年12月以降に原子力発電所が順次稼働していけば電気事業は持続できる、B原子力発電所で発電が再開していないので、今は赤字が積み上がっているが、原価算定期間の3年間で見れば電気事業が持続できる水準の利益は確保される、と政府は判断したわけだ。

 ところが、上記の政府判断の前提は、看過し得ないほど大きく崩れている。昨年12月、今年1月に順次予定されていた泊原子力発電所1号機、2号機の発電再開が未だ実施されておらず、しかもその見通しは全く立っていない。

 これに関しては、先の認可時点において、政府が料金値上げの水準を抑えたいがために、原子力発電所の発電再開に関して確たる見通しもなく、楽観視し過ぎていたのではないかと勘繰りたくもなる。

「ありとあらゆること」
北電がひねり出した秘策

 そうしたなか、北電は渇水準備引当金取崩しの申請について3月27日に表明したが、これは残された最後のコスト捻出手段ではないだろうか。河川流量の増減によって生じる損益変動を防止するため、電力会社に計上が義務付けられている渇水準備引当金を取り崩すという“目的外使用”は、まさに苦渋の選択であろう。茂木大臣が語った「ありとあらゆること」としてひねり出したのが、この目的外利用であったのだ。そして、北電は4月1日に申請し、同3日付けで許可を得た。

 冒頭で述べたように、今は、原子力規制委員会による新規制基準の適合審査によって安全性を確認されないと、原子力発電所の発電再開が認められない運用となっている。法令上では、原子力規制委員会の審査で合格したものでなくとも、原子力発電を再開することは可能だ。日本の電力会社は、政府がお墨付きを与えなければ原子力発電を再開させないであろう。日本の電力行政は、『法治』でななく“人治”なのだ。

 発電と審査を同時並行させることを政府が容認さえすれば、原子力規制委員会の審査も不経済の誹りを免れるとともに、むしろ徹底的かつ相応の時間をかけて安全対策を追求できるというものだ。それが、安全と経済を両立させるための唯一無二の、かつ世界的にも常識的な規制運用である。

 北電以外の電力5社についても、同じ理由で再値上げの検討が必要な情勢にある。このままでは、『収益を生む、約束通りの原子力発電の再開』が反故にされた挙げ句に、『再値上げの検討』すら表立って許されないことになる。これは、電力会社にとっての大事に止まらない。我々一般の電気の利用者にとっても大変な事なのだ。

 そうしたなか、4月1日の日本経済新聞では、日本政策投資銀行が経営不振の続く北電を資本支援するということで、『議決権のない「優先株」で今夏に500億円規模を出資する』と報じた。泊原子力発電所の発電が再開できないという政府の不作為による北電の損失を、政府が別の形で穴埋めしようというものだ。この方式が他の電力5社にも広がる可能性があるが、そうなると原子力発電という電気事業による経営回復が更に遠のく。

“原子力発電の停止の継続 → 電力会社の経営悪化 → 政府による穴埋め”という悪循環が政府によって作り上げられようとしている。もはや、電力コストの高止まりは政府自身が招いているようなものだ。安倍政権は、支持率がほんの一瞬下がることを恐れて原子力発電の再開を徒に引き延ばしているとしか思えない。安倍首相は、法令に抵触するわけはない原子力発電の再開を容認する会見を開くだけで必要十分だ。即刻、実行されたい。
 

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コメント
 
01. 2014年8月21日 16:43:45 : MyYsyCE1sU
また「石川和男」ですか?

02. 2014年8月21日 20:49:12 : E2ISCJfxQc
原発は高コスト、実質敗北宣言w

原発の電気に価格保証制を提案 自由化にらみ経産省
2014/8/21 20:28
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040004_R20C14A8000000/

 経済産業省は21日、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会を開き、電力の完全自由化後も
電力会社が原発の新増設や建て替えをしやすくするためとして、原発で発電した電気に一定の販売
価格を保証する制度の導入や、廃炉による経営への影響を緩和するための会計制度見直しを提案した。

 自由化で電気料金が下がった場合も建設や廃炉の費用を確保できるようになるが、政府の掲げる
脱原発依存の方針や、「原発は安価」としてきた従来の政府側の説明と矛盾する可能性がある。
価格保証で消費者の新たな負担も必要になり、世論の反発を招きそうだ。

 経産省は原発の維持策として、廃炉や使用済み核燃料の処分に必要な費用を含めた基準価格を設定
し、市場価格が下回った場合に差額を電気料金に上乗せして補う仕組みを説明。同様の制度がある
英国をモデルにした。

 電力会社は電力小売りの全面自由化や発電と送配電部門の分離が進むと、原発の維持が難しくなる
と訴えている。これを受け、経産省は「官民の役割分担の見直しや新たな政策措置が必要」として、
国の関与を強化する姿勢を強調した。〔共同〕


03. 2014年8月21日 22:56:44 : AQLSPLIkCw
こちらオーストラリアでは、電力料金値下げですよ。9%値下げすると発表がありました。こちらでは大半が火力発電ですが、自動車産業の現地生産の撤退など工業部門の需要減退が進むことや、家庭向けもソーラーパネルを取り付ける家が増えており、こちらも重要減退が進んでいます。そこで、顧客離れを防ぐためにも「値下げ」なんだと。

04. 2014年8月21日 23:05:32 : MGRnshXmKA
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41499?page=4 スマートエネルギー情報局 TOP>JBpress>欧州 
脱原発の“不都合な真実”:ドイツの実態に目を向けよ 偏向した情報を伝える日本の報道、議論すべきは最善のエネルギーミックス
2014.08.20(水)川口マーン 惠美http://goo.gl/4r4uPv  

8月1日、ドイツでは、改訂版の再生可能エネルギー法(以下「再エネ法」)が施行された。昨年12月に第3期メルケル内閣が立ち上がって以来、ガブリエル経済・エネルギー大臣が、わき目もふらずに推し進めていた改訂だった。
 現在、ドイツはメルケル首相のCDU(キリスト教民主同盟)とSPD(社民党)の大連立で、SPDの党首ガブリエル大臣は、副首相、そして、経済・エネルギー大臣を務めている。言うまでもなく、再エネ法の早急な改訂は、ドイツ国にとって、危急の重大事項であった。
ドイツが再生可能エネルギー法の改訂を急いだ理由

ドイツ・ベルリンの住宅の屋根に設置されたソーラーパネル〔AFPBB News〕
 再エネ法というのは、ドイツの脱原発の一番の要となる法律だ。なぜか? それは、この法律が、再エネ電気の“固定価格20年間全量買い取り(FIT)”を定めているからだ。
 再エネ法が制定されたのは2000年。ちょうど、シュレーダー首相の下、SPDと緑の党が政権を握ったときだった。以来、この“固定価格20年間全量買い取り”によって、再エネの発電施設はどんどん増えた。
 特に急増したのが太陽光発電の施設で、この14年間で、発電容量は90メガワットから3万6008メガワットと400倍に伸びた。しかし、太陽光発電の稼働率はわずか9.5%なので、実際、全体の発電量に占める割合はまだ5%弱に過ぎない。
 また、風力発電も急増し、再エネは、容量だけで見れば、すでにピークの電力需要を上回る巨大施設となっている。純粋に設備を増やすという意味合いから見れば、再エネ法は偉大な功績を果たした。
 ただ、今では、再エネ法の欠点も多く露出してきている。欠点が無ければ、もちろん、ガブリエル大臣がこれほど慌てて改訂に走る理由もなかった。再エネをもっと増やし、電源は再エネだけにすべきだと主張している人たちは、「あまりの成功のため、ブレーキを掛けなければならなくなった」などと言っているが、それは詭弁だ。
 本当に成功ならばブレーキは必要ない。実際には、成功の裏に不都合が生じ、その不都合が無視できないほど大きくなり、ブレーキが必要になったというのが正しい。だから、私たち日本人は、一歩先を行っているドイツでどんな不都合が起こっているのかを、ちゃんと見た方がよい。
 不都合の1つは、電気代の高騰だ。「再エネはすでに世界の多くの地域で最もコストの安い発電方法」と言っている人がいるが、これは正確ではない。太陽や風は確かに無料だが、しかし現実には、ドイツ政府は電気代高騰を抑えるため、再エネの拡大にブレーキを掛けなければならなくなっている。

 つまり、「再エネは最もコストの安い発電方法」というだけでは、再エネの急増と電気代高騰の真の因果関係が見えてこない。もし、本当に最もコストが安いのならば、法律の改訂は必要ないし、もっと増やせばよいということになる。さらに単純に言えば、市場で競争すればよいだけである。
 なぜ、再エネが増えて電気代が高騰したかの理由は、言うまでもなく、再エネに掛かっている“固定価格20年間全量買い取りの補助金”が膨れ上がってしまったからだ。しかも、今までの再エネ法には施設拡大の上限もなく、いくらでも増やせた。だからこそ再エネは増えたが、しかし、安い電気代からはかけ離れたものになった。
 反対に、この補助金なしでは、再エネがこれほど増えることもなかっただろう。再エネは、補助金なしで普及し、市場で競争できるところまで、まだ進化していない。
電気代高騰、滞る送電線建設、増加するCO2・・・
 電気代高騰の原因は、太陽光と風力による発電が計画的に制御できないために起こる。太陽光は曇りや雨の日はもちろん、夜は絶対に発電できないし、風には凪がある。
 反対に、需要がないのにたくさん電気ができてしまうこともあるが、その場合、蓄電ができない。そうなると、しかたなく捨て値、あるいは持ち出しで、隣国に買ってもらうことになる。
 生産者は、電気の卸値が安くても、固定価格で全量を20年間にわたって買い取ってもらえるのでどんどん発電する。その買い取りのお金は、一般消費者の電気代に乗っている。買い取りと卸値の差額は、電気がだぶつくとますます増える。
 だから、いずれにしても電気代は上がり、つまり、損をするのは一般国民ということになる。別にむずかしい話ではない。
 ただ、この問題は、蓄電ができればある程度片付くはずだ。だから、現在、ドイツはその研究に余念がない。しかし、まだ、大量の電気を蓄電できる採算の取れる技術は確立していない。まもなくできる見込みもない。
 そんな方法があれば、皆、使っているだろう。風力電気の生産の多いデンマークも、余った電気は隣国に安値で買ってもらっているのが実情なのだ。
 ドイツの脱原発の実態について、日本ではかなり偏向した情報が出回っている。ドイツの電気代は頭打ちで、これから安くなっていくような報道も目立つが、ドイツ政府によればその予定はない。
 法律の改訂で買い上げ値段を下げても、すでに設置されている施設に対しては既定の額を払い続けなくてはならないから、すぐに電気代は下がらない。

 また、送電線の建設がほとんど捗っていないことも、日本ではあまり報じられない。来年はいよいよ、バイエルン州のグラーフェンラインフェルトの原発が停止される予定だが、その代替となるのは、北部ドイツの風力電力ではなく、近隣の火力電気になる。というのも、北から南に電気を運ぶ送電線の建設が整っていないからだ。
 原発は、その後、17年と19年にさらに1基ずつ、21年と22年に3基ずつと、あと8年ですべて停止することになっている。それまでには、再エネの生産量はもっと増えているだろうが、送電線の建設は間に合いそうにない。だから、実際に原発を代替するのは再エネではなく、火力発電になるだろう。
 それを見越して、ドイツではこの2年の間に10基の石炭火力発電所が建設される予定だ。すでに今でも、経営が苦しくなってしまった電気会社は、高いガスではなく安い石炭を使っているので、CO2の排出が増えている。
 褐炭(石炭よりももっと空気を汚す)の消費は、東西ドイツが統一した1990年と同じ水準まで戻ってしまった。ドイツの脱原発の進捗具合については、こういう全体図を見る必要があるのではないか。
「好き、嫌い」だけの議論は不毛
 再エネの技術はどんどん開発すべきだ。それには誰も異存はない。しかし、現実の電力供給は、まだ再エネだけではやっていけない。そのために絶対必要な、採算の合う蓄電技術が確立していないからだ。
 水力電気は、蓄電(正確には蓄水)が簡単にできるので、例えばノルウェーは水力という自然のエネルギーで国内のほぼすべての需要を賄っている。
 ただ、それは、ノルウェーの自然が山と水に恵まれていて、しかも、人口がたったの400万人で、電気消費の規模が、ドイツや日本などとは比べ物にならないほどの小さい国であるから可能なのだ。
 ドイツではこれだけ再エネの発電設備が増えたのに、現実は、それにもかかわらず、原発が無くなった時のために火力発電所を建設している。それは何故なのか?
 ドイツの電力会社が悪徳で、自分たちの利益だけを考えているからだという説明だけでは、あまり説得力はない。どんなに再エネが増えても、それだけではドイツという産業国の電気をまだ安定に供給することができないから、建設しているのである。
 日本は、そのドイツよりももっと厳しい状況に置かれている。自前のエネルギー(褐炭)もなければ、地続きの隣国もない。だから、電気が足りなくても買うことはできないし、余っても売ることもできない。
 それどころか、すでに今、化石燃料の輸入に、年間4兆円近くの超過出費を強いられている。原発の稼働を阻止し続ける限り、この出費は無くならない。そして、一番不都合なのは、再エネが伸びても、この出費は大して変わらないということだ。それは、ドイツの例を見ればよく分かる。

 今、私たちが論じなければいけないのは、原発が好きか、嫌いかという話ではない。原発を稼働させるか、させないかの選択は、日本という国が生き延びることができるか、できないかの選択だ。
 原発を全部なくせという人は、国を見ていない。エネルギー問題は、そもそも国家の安全保障にかかわる問題なのだ。
 すべてを輸入に頼り切り、しかも、莫大な国富を費やしていたら、日本はどんどん疲弊していく。国際情勢の不安定な昨今、石油やガスの供給国の現状を思うと、いつ止まるか、いつ価格が高騰するかと恐ろしくなる。
 疲弊した国は、国民の生命も、財産も、人権も守れなくなる。繰り返すようだが、好きか、嫌いかなどという問題ではないのだ。次の世代の人たちに、疲弊した国を残すわけにはいかない。子供や孫にも、今の私たちと同じように豊かに暮らしてほしいというのは、皆の願いではないだろうか。
 そのためには、対立ではなく、一致協力しなければならない。皆で、冷静に知恵を絞り、今の時点で可能な、最善のエネルギーミックスを模索すべきだ。
 原発の安全性を高めて、確認のできた原発は適宜動かし、産業を健全に回しながら、再エネ技術を鋭意開発すればよい。そして、無理なく、確実に再エネに移行していくのが、一番良い方法だと思う。
 今のままでは、火力のせいで空気は汚れ、燃料輸入費のせいで国富が失われ、再エネの補助金のせいで電気代は上がる。日本は確実に疲弊する。「手術は成功しました。でも、患者は死にました」という話がある。これが私には、「原発稼働は駆逐しました。でも、日本は亡びました」と聞こえる。それは、とても愚かなことである。

一覧 »

政府もようやく気づき始めた資源大国ニッポン
日本には知恵も資源もある〜セルロースナノファイバー(2)2014.8.20JBpress

脱原発の“不都合な真実”:ドイツの実態に目を向けよ
偏向した情報を伝える日本の報道、議論すべきは最善のエネルギーミックス2014.8.20JBpress

グーグル、電流変換機の小型化をコンペで奨励2014.8.15AFPBB News

エネルギー効率、ドイツが世界一2014.7.29AFPBB News


05. 2014年8月22日 00:28:16 : uEEk6aHu6A
 良いじゃねぇか、電力各社一度潰そうぜ(笑)。
 原発は電力本体から切り離してさ、今まで資産として評価して、今もリスクと見なさずに金出してきた銀行に借金棒引きの形に差し出して、徹底的なリストラをして頑張って貰い。儲かる発電に果敢に挑戦して貰う。
 反原発運動にはさ、原発ファンドの高利回りな商品を作ってさ、原発が動けば誰もが儲かるって、バブルを煽って懐柔してさ、ついでに将来の廃炉についても使用済み核燃料を証券化して、金融商品作って資金を集めさせる。
 そうして、原発が本当に儲かるなら、立地自治体へ余計な金廻す必要もないだろう。原発を持つ銀行と、課税優遇した第三セクターでも作らせて発電ビジネスで儲けて貰えば良い。なんか、日本の将来、バラ色じゃね。

06. 2014年8月22日 01:01:30 : CTqAigMV6E
原発の電気「価格保証」に経産省意欲、利用者転嫁強い批判も
2014年 08月 21日 23:47 JST
http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0GL1G120140821&channelName=topNews#a=1
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[東京 21日 ロイター] - 経済産業省は、21日開いた総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の原子力小委員会(委員長:安井至・独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長)で、市場価格が原発による電気のコストを下回る場合は差額を利用者に負担させる、という英国で採用予定の新制度を紹介し、導入に意欲を示した。

この日の会合では、電力自由化による競争環境下における原子力事業のあり方を議論、経産省は英国で導入予定の「差額決済契約」と呼ばれる仕組みを紹介した資料を提出した。

この制度は、廃炉費用や使用済み燃料の処分費用も含めた原子力のコストを回収するための「規準価格」を設定、市場価格がそれを下回る場合は差額を需要家から回収する、という内容。逆に、市場価格が基準価格を上回る場合は、原子力事業者が差額を支払う仕組みだ。

電力自由化については、事業に必要なコストを料金に転嫁する「総括原価方式」と地域独占が廃止されるため、原発への投資回収性が予見できなくなると電力業界が政策的な支援を求めている。経産省は同会合に、英エネルギー・気候変動省の担当者を招待し制度の仕組みを説明させており、電力業界の要請を受けて、同制度導入に前向きな姿勢をうかがわせた。

会合後、経産省の担当者は記者団に対し、市場価格と基準価格の差額のコスト回収の手段として「電気料金でも税金でも可能」と説明した。今後は専門家による作業部会を立ち上げ、議論を委ねるという。

<原発の電気は安いのか高いのか>

ただ、推進側が「安い」と主張してきた原発の電気は実際は高く、維持存続のために利用者にコストを転嫁する制度には強い批判が予想され、日本が英の取り組みにならうかどうかは不透明だ。

総合資源エネルギー調査会での議論をもとに、政府が4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では、原子力発電について「運転コストが低廉」とメリットを説いている。

しかし、経産省が今回、市場競争下では原発のコストを回収できなくなる懸念を示したことは、「原発は低廉」との主張は、対象コストを狭く捉えないと成立しないことを露呈したといえそうだ。

原子力小委のメンバーの吉岡斉・九州大学教授は、英の差額決済方式について委員会へ意見書(会合は欠席)を提出した。吉岡教授は、同方式を日本が採用することについて、再生可能エネルギーと同等の優遇策を原発への従来の優遇策に加えるものだとして、「まったく正当性を持たない」と批判している。


(浜田健太郎 編集:北松克朗)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GL1G120140821?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29&sp=true


07. 2014年8月22日 08:09:38 : 8z0JTJjQpY
発送電未分離と総括原価方式が原因!!
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/552.html#c434
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/552.html#c476
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/552.html#c540
●電力会社の法則
〈原発常識25〉■最大の問題は【発送電分離】ができず「電力独占帝国」であること!
〈原発常識26〉■★電事法改正し、「発送電分離」し「総括原価方式」をやめないと、我々の電気料金・税金の上乗せ分は永遠に【原発推進3大プロモーション費用=@政界工作費+Aマスコミの国民洗脳費+B地元黙らせ費】に使われる!世界中で日本しかやっていないオバカな「甘い汁システム」!!
〈原発常識27〉■「東電の、東電による、東電のための、政治」=〈1〉日本国最高権力者は「電力会社」!〈2〉「自民党」なんてパシリ!〈3〉「国民の命」なんて虫けら!→「電力会社の延命のために世の中の小さな事件まですべてが動いている」と仮定すると、すべてが非常によく説明できる。

08. 2014年8月22日 08:12:44 : 8z0JTJjQpY
コストをムダにかければかけるほど料金を上げられる日本のみの電力キチガイシステム「総括原価方式」「地域独占」「発送電未分離」(外国にはなし)
★ https://www.youtube.com/watch?v=wwGS56pWIt4&list=UUJP0zTC00cby9gnhMTCiOUQ&index=68
★ https://www.youtube.com/watch?v=sp-ggcOT9ec&index=66&list=UUJP0zTC00cby9gnhMTCiOUQ
★ https://www.youtube.com/watch?v=DwpP3-IatBY&index=62&list=UUJP0zTC00cby9gnhMTCiOUQ
★ https://www.youtube.com/watch?v=I2WDcAmfM4Q&index=61&list=UUJP0zTC00cby9gnhMTCiOUQ

09. 2014年8月22日 08:15:32 : 8z0JTJjQpY
★なんと!発電と貿易赤字はまったく無関係であることが判明!原油のうち発電用はたったの1割もない!しかも輸入量は減っている!「原発停止が赤字に関係するというウソ」の責任とれ!ダマスゴミと原子力ムラ!
「メディアの馬鹿さ加減(腹黒さ加減)が分かる、貿易赤字報道」(原発隣接地帯からブログ2014-08-20)
http://fkuoka.blog.fc2.com/blog-entry-1263.html

10. 2014年8月22日 22:36:33 : ptATcbehVM
債務超過なら倒産させ、破産処理すればいいではないか。株式会社ならそうすべき。株券も社債も無価値になるのだから、銀行も出資者も経営者も一定の責任を取ることになる。その分ずっと身軽になる。あとは別会社として経営者をそう入れ替えし再出発すればよい。

11. 2014年8月23日 20:09:34 : RprlwMgCrk
「実は大したことなかったドイツの再生エネ賦課金!! しかもこれからは負担減少!!」
http://fkuoka.blog.fc2.com/blog-entry-1254.html
「再生可能エネルギーは、もはや家庭用電気料金より安く発電できるだけではなく、産業用電気料金をも下回る発電コストへと達しつつあります。売電単価と買電単価の間の逆ざやはなくなり、そうなれば当然、再エネ賦課金も不要になります。」


「躍進続く風力・太陽光発電・・・これが現実のデータ(その2)」
http://fkuoka.blog.fc2.com/blog-entry-1251.html
「よく“不安定” と言われる自然エネルギーですが、送配電網で一定の広さに渡る集合的マネージメントをすれば、安定した、しかも安い電源となります。

 「再生可能エネルギー、日本の常識は世界の『真逆』/ドイツや米国の太陽光や風力が安い理由」(日経ビジネス 7月31日)
 「太陽光・風力発電はダメという洗脳工作に必死、伊藤敏憲」(当ブログ過去記事 2012年2月10日)

 ある程度の広さ(「九州」とか、「東日本」といった程度の広さがあれば十分・・・スペイン程度に相当・・・で、さらにこれらの地域間で連携すれば、EUで多国間連携するのに匹敵)をまとめて運営すれば、その全体で一斉に曇ったり、風が止まったりはしません。平準化されて安定した発電状況となります。
 またコスト的には、燃料費はもともとタダですし、設備費も、“競争的市場ができれば(欧米では既に出来ている)、十分に安価になる”と、上掲『日経ビジネス』記事は指摘しています。
 ま、要するに日本では、接続拒否したり、広域連携網の構築を怠ったりという、原発依存電力会社と経産官僚の嫌がらせがあり、そこへ業界内部の談合体質も加わり、再生可能エネルギーが力を発揮できない状況になっているわけです。」


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