http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/799.html
Tweet |
3.11以前の状況を反映する10年度末に1兆4900億円あった関西電力の純資産は、その後の3年間で8100億円にまで減少した(単体)。しかも、この8100億円のなかには、将来の利益を見越して計上している繰延税金資産が5000億円含まれており、実質的な純資産は3100億円程度にとどまる。つまり、実質的な純資産はすでに資本金(4900億円)を下回るレベルにまで毀損しているのであり、このままの状況が続けば債務超過も視野に入れざるをえないのである。(プレジデント オンライン)
・・・・・
再稼働もできない、値上げもできない・・・。
もうちょっと原子力規制委員会と経産省が頑張れば、電力会社を潰せそうですね。
ダイヤモンド オンラインから
http://diamond.jp/articles/-/51218
収益を生み出す発電が
行われていない原発
2011年3月11日の東日本大震災における大津波による東京電力福島第一原子力発電所の事故の後、日本国内では原子力発電所が“発電を再開できない”状態が続いている。原子力規制委員会による新規制基準の適合審査によって安全性を確認されないと発電再開が認められない運用となっている。
この状況に関しては、しばしば“原子力発電所が稼働していない”と言われるが、正確には“原子力発電所の発電が停止している”ということ。使用済燃料の管理を始めとして、必要な業務は停止していない。日本の原子力発電所はどこも、福島事故にかかわらず現在でも『業務継続中』なのであって、収益を生み出す発電が行われていないだけだ。
発電が再開できないでいることより、火力発電の焚き増しに伴う追加的な化石燃料費が激増し、電気料金が高止まっている。現在まで、東京、関西、九州、東北、四国、北海道の6電力会社が、その追加燃料費を賄うための電気料金値上げを認可されている(資料1)。
http://diamond.jp/mwimgs/7/b/500/img_7b8767b1d93ae0d4523ad405c4523523215092.jpg
収益を産む発電は許されず
収益を生まない業務は継続
経済産業省は、この6社の値上げについて、「最大限の経営効率化努力を踏まえた内容か厳正に審査の上、認可。値上げを行った各社は原発の再稼働を織り込んで料金原価を算定しており、想定よりも再稼働が遅れた場合には収支が悪化し、更に財務基盤が毀損されるおそれあり」としている。
多くの原子力発電所では、「再稼働」の想定時期が過ぎている。収益を生み出す発電は行われていないのに、収益を生まない他の業務は継続中なのだから、赤字幅は広がるばかりだ。「再稼働」の時期が過ぎても「再稼働」が許されていない場合には、料金の認可条件が変更されたことになる。そうなると、理論的には、上記の電力6社は値上げ後の料金の認可条件の変更を求めることができる。それが即ち、『再値上げ』の申請である。
去る2月17日、北海道電力が料金の再値上げの検討を表明した。上記の電力6社のうち、再値上げに向けて具体的な意思表明をしたのは北電が初めてである。同日の北電の発表によると、その背景は次の通り。
(1)震災以降、泊原子力発電所が順次停止したため、火力発電燃料費や購入電力料が急増。平成25年度については、昨年9月の料金値上げの増収効果とコスト削減によっても、1100億円超の経常損失が不可避(資料2)。
(2)純資産の取り崩しで、純資産は今年度末に資本金を大きく下回る見通し。有利子負債も1兆3000億円と、過去最高を更新する見込み(資料3)。
(3)原子力規制委員会による新規制基準に係る審査が始まって約半年、現時点でも泊原子力発電所の発電再開時期は見通せない。
(4)平成26年度については、料金値上げの増収効果、効率化、修繕費繰り延べなどの緊急的な支出抑制策によるコスト削減を計画。今後、設備投資抑制も含め更なるコスト削減に取り組むが、安全確保や安定供給に影響を及ぼさない範囲での上積みは難しい。
(5)コスト削減だけでは燃料費等の増加を吸収できない。純資産の毀損拡大が継続すると、燃料調達や設備の保守・保全に必要な資金調達も困難となり、電力の安定供給にも支障をきたすおそれ。このような状況を踏まえ、料金の再値上げについて、具体的な検討を行うこととした。
◆資料2
http://diamond.jp/mwimgs/d/d/500/img_dd878babe8e920b6e377e2a62073c0ab145294.jpg
◆資料3
http://diamond.jp/mwimgs/1/2/500/img_1248821bea910b3010b659be67e74fbf156026.jpg
審査はコスト削減ばかり
本質は電気事業継続の追求
これに関して、翌2月18日の日本経済新聞によると、茂木敏充経済産業相は「慎重に検討を行うことを期待したい」と述べた。この発言は、北電に対して再値上げを回避するための努力を促したものと受け止められたようだ。その後、経産省と北電の間で水面下の調整がなされたことは想像に難くない。
3月28日のNHKニュースによると、3月27日に北電が再値上げの年度内の申請を見送るとしたことについて、茂木経産相は「料金の値上げは、事業者みずからの経営判断で行うものだが、まず、北電は最大限の経営効率化など値上げを回避するために、ありとあらゆることをやるのが何より重要だ」と述べたようだ。
茂木経産相の発言趣旨は、ごもっともに聞こえる。安易な料金値上げは許されず、それ以前にきちんと経営効率化などコスト削減努力をすべきだ、と。昨年9月に値上げが認可された現行料金に関する申請から査定までの経緯を考えると、経産相・経産省が北電に対して更なるコスト削減努力を半ば命ずるようなことは、妥当なことなのだろうか。
北電は、先の値上げに至る料金認可までの過程で、経済産業省と消費者庁による二重の厳格な査定を受けた。詳細な内容については経産省の公開資料を参照されたいが、主要なものは次の通り。
(1)人件費:539億円を▲34億円(従業員一人当たり年間給与を、一般的な企業の平均値と類似の公益企業の水準の平均まで料金原価から削減〈643万円→624万円〉)
(2)燃料費:1460億円を▲0.07億円(石炭は各国別の全日本通関CIF価格まで料金原価から減額)
(3)購入・販売電力料:469億円を▲33億円(総体的に見て高い水準の供給予備率であるため、卸電力取引所を最大限活用することを前提に、売り入札に係る利益額を想定し、料金原価から減額)
(4)設備投資関連費用(減価償却費、固定資産除却費、事業報酬):1394億円を▲10億円(先行投資及び不使用設備等に係る減価償却費について料金原価から減額)
(5)その他(修繕費、公租公課、バックエンド費用、その他経費、控除収益等):2314億円を▲57億円(販売促進的な側面が強い節電や省エネ推進を目的とした費用や優先度が低い費用を料金原価から減額。周辺物件の平均的賃料水準を上回る社宅賃料について料金原価から減額)
(6)資材調達の経営効率化((2)〜(5)の内数):▲16億円(今後契約を締結するもの、契約交渉を行うものについて原則10%のコスト削減を前提に未達分を料金原価から減額。子会社・関連会社に本社並の経営合理化を求めるため、今後の契約取引に係る費用のうちコスト削減可能な部分について、出資比率に応じ10%の追加的コスト削減を行うことを前提に料金原価から減額)
(7)スマートメーター関連費用((4)、(5)の内数):▲3億円(東京電力の査定単価である約1万円/台を基準に原価算入を認める)
これは、昨年9月の値上げに係る査定内容だ。北電の件も含めて、昨今の電力各社に係る一連の値上げ申請から査定までの過程を見ていると、申請内容がコストを減額することばかりに焦点が当たっている。
だが、査定の本質的役割は、電気事業の持続性を追求することでもある。電力会社は原則として、それぞれの供給区域で電力供給を拒むことはできない。申請内容を減額するにしても、赤字に陥るような査定は電気事業法の趣旨に反する。
昨年9月の認可料金について考えると、@原価算定期間は平成25〜27年度の3年間であり、この間に上記のような経営効率化のノルマを課す、Aその上で、平成25年12月以降に原子力発電所が順次稼働していけば電気事業は持続できる、B原子力発電所で発電が再開していないので、今は赤字が積み上がっているが、原価算定期間の3年間で見れば電気事業が持続できる水準の利益は確保される、と政府は判断したわけだ。
ところが、上記の政府判断の前提は、看過し得ないほど大きく崩れている。昨年12月、今年1月に順次予定されていた泊原子力発電所1号機、2号機の発電再開が未だ実施されておらず、しかもその見通しは全く立っていない。
これに関しては、先の認可時点において、政府が料金値上げの水準を抑えたいがために、原子力発電所の発電再開に関して確たる見通しもなく、楽観視し過ぎていたのではないかと勘繰りたくもなる。
「ありとあらゆること」
北電がひねり出した秘策
そうしたなか、北電は渇水準備引当金取崩しの申請について3月27日に表明したが、これは残された最後のコスト捻出手段ではないだろうか。河川流量の増減によって生じる損益変動を防止するため、電力会社に計上が義務付けられている渇水準備引当金を取り崩すという“目的外使用”は、まさに苦渋の選択であろう。茂木大臣が語った「ありとあらゆること」としてひねり出したのが、この目的外利用であったのだ。そして、北電は4月1日に申請し、同3日付けで許可を得た。
冒頭で述べたように、今は、原子力規制委員会による新規制基準の適合審査によって安全性を確認されないと、原子力発電所の発電再開が認められない運用となっている。法令上では、原子力規制委員会の審査で合格したものでなくとも、原子力発電を再開することは可能だ。日本の電力会社は、政府がお墨付きを与えなければ原子力発電を再開させないであろう。日本の電力行政は、『法治』でななく“人治”なのだ。
発電と審査を同時並行させることを政府が容認さえすれば、原子力規制委員会の審査も不経済の誹りを免れるとともに、むしろ徹底的かつ相応の時間をかけて安全対策を追求できるというものだ。それが、安全と経済を両立させるための唯一無二の、かつ世界的にも常識的な規制運用である。
北電以外の電力5社についても、同じ理由で再値上げの検討が必要な情勢にある。このままでは、『収益を生む、約束通りの原子力発電の再開』が反故にされた挙げ句に、『再値上げの検討』すら表立って許されないことになる。これは、電力会社にとっての大事に止まらない。我々一般の電気の利用者にとっても大変な事なのだ。
そうしたなか、4月1日の日本経済新聞では、日本政策投資銀行が経営不振の続く北電を資本支援するということで、『議決権のない「優先株」で今夏に500億円規模を出資する』と報じた。泊原子力発電所の発電が再開できないという政府の不作為による北電の損失を、政府が別の形で穴埋めしようというものだ。この方式が他の電力5社にも広がる可能性があるが、そうなると原子力発電という電気事業による経営回復が更に遠のく。
“原子力発電の停止の継続 → 電力会社の経営悪化 → 政府による穴埋め”という悪循環が政府によって作り上げられようとしている。もはや、電力コストの高止まりは政府自身が招いているようなものだ。安倍政権は、支持率がほんの一瞬下がることを恐れて原子力発電の再開を徒に引き延ばしているとしか思えない。安倍首相は、法令に抵触するわけはない原子力発電の再開を容認する会見を開くだけで必要十分だ。即刻、実行されたい。
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素39掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。