05. 2014年8月18日 21:43:32
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アングル:東電火力提携の有力候補に中部電、不透明な自由化への影響 2014年 08月 18日 19:14 JST ◐http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0GI0UT20140818&channelName=topNews#a=1 1 of 1[Full Size] [東京 18日 ロイター] - 東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)が経営再建の柱に掲げる火力発電事業の包括提携候補として、中部電力(9502.T: 株価, ニュース, レポート)が有力視されている。火力発電の設備更新資金の確保などを求める東電にとって、中電は財務体質が傷んでおらず、LNG(液化天然ガス)の共同調達などを進めやすい。この提携により、中部電が首都圏の電力供給に競争原理を持ち込むのか、あるいは東電に取り込まれる結果に終わるか、電力自由化の行方を占うひとつの試金石ともなる。 <包括提携、資金不足の窮余の策> 東電の火力包括提携は、1月に政府が認定した同社の再建計画(総合特別事業計画)の柱の一つ。提携相手と合弁会社を設立して、LNG(液化天然ガス)の調達から発電まで火力発電の全事業領域を共同で手掛ける方針を示している。 同社では原発に依存してきた結果、火力発電設備の更新が進まず、運転開始から50年前後という老朽設備が少なくない。しかし、福島第1原発事故により実質国有化されたため、古い火力の建て替えに充てる資金がない。他企業との包括提携はそうした事情を反映した東電としては窮余の策といえる。 東電は、中部電のほか、東京ガス(9531.T: 株価, ニュース, レポート)、関西電力(9503.T: 株価, ニュース, レポート)、大阪ガス(9532.T: 株価, ニュース, レポート)、JXホールディングス(5020.T: 株価, ニュース, レポート)の5社と提携交渉を進めているが、関係筋によると中部電が有力だという。 <中部電、東電の代役に意欲> 同関係筋は「水野明久社長ら中部電力の現経営陣は、東電が首都圏の安定供給の役割を果たせないなら、中部電がその役割を担うしかないと腹を括っていた」と話す。 中部電は、製造業が盛んな東海地方を営業区域とし、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)をはじめ有力顧客を多く抱える。しかし、製造業の海外生産の増加や省エネルギーの進展、人口減少などの要因で、いずれ電力需要の減退に直面するという事情は、他の地方電力と共通する。 原発依存度がもともと低い(06年─10年度平均15.8%)ことから、中部電力は原発が停止長期化する中でも、関西電など原発依存度が高い同業他社に比べ、財務体質の傷み具合が軽く済んでいる。 大阪ガスと組んで米国産シェールガスの輸入許可について国内で一番乗りを果たすなど、中部電の火力分野での先進的な取り組みには定評がある。中部電のLNGの年間調達量は東電に次いで国内2位。東電が火力分野での提携先で有力候補と考える要素は少なくない。 <競争促進、カギ握る柏崎刈羽の行方> 政府は、家庭向けを含めた電力小売り全面自由化(2016年)、発電事業と送配電事業を別会社にする発送電分離(18─20年)など電力システム改革を段階的に進める方針だ。 中部電力が東電と火力分野で提携することで、首都圏における中部電の存在感が増し、競争促進の起爆剤となるのか。国のエネルギー政策議論に参加する一橋大学大学院の橘川武郎教授は、ロイターの取材に「具体的な条件でだいぶ変わる」と述べた。 「(東電の)柏崎刈羽原発(新潟県)が再稼動しない場合、中部電力が東電の(火力)発電所を買い取って、東京に進出するというのが一つの流れだ。もう一つのシナリオは、包括提携を通じて、中部電の勢いを東電が取り込んでしまうことだ」と橘川教授は語った。 東電は、柏崎刈羽原発は今年7月から順次再稼動するという前提で収支計画を立てているが、すでに大幅に遅れている。新潟県の泉田裕彦知事は柏崎刈羽の再稼動に厳しい姿勢を崩さず、福島第1原発では汚染水への対応に依然として苦戦するなど、東電の原発再稼動に対する国民の目は厳しい状況にある。 橘川教授は、柏崎刈羽の再稼動について「イリュージョン(幻想)だと思う」と指摘した上で、中部電の悩みどころは二つあると解説する。「包括提携に乗らないと、東京ガスなど(提携の好機を)他社に持っていかれる点がひとつ。もう一つが、柏崎刈羽はやがては動く、という東電の(強気の)態度だ。柏崎刈羽のイリュージョンが生きているなかで、中部電力にプレッシャーがかかっている」と同教授は語る。 <大手電力同士の提携は望ましいのか> 電力市場は、2000年3月から工場など大口需要家に対象を限定して小売りが自由化されたが、営業区域を越えた大手電力による供給の実例はわずか1件止まり。経産省の電力システム改革の担当者は「大手電力同士の競争進展がシステム改革の成否を握る」と述べるが、電力業界に根強い競争忌避の体質が簡単に改まるのか。 政府の電力システム改革に関する議論に参加した富士通総研経済研究所の高橋洋・主任研究員はロイターの取材に対し、「東京電力と中部電力が提携することは好ましいことではない」と指摘した。 その上で高橋氏は、「単なる業務提携だから問題ないのか、これまでの電力市場の競争に鑑みて、(提携案が)競争阻害ではないのか。独占禁止法の対象として判断すべきだ」と語った。 (浜田健太郎 編集:北松克朗)
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