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福島原発「作業員6000人」の現実 最終弾 ジャーナリスト・水石徹 消えない放射能の疑い! 作業員に発症した深刻な病名(1)
http://wjn.jp/article/detail/0820885/
週刊実話 2014年8月14日 特大号
尾てい骨の瘡蓋は、当初診断通り、疥癬虫(ヒゼンダニ)感染によるものなのか。それとも、その後に指摘された、放射能の影響なのか−−。
瘡蓋の精密検査結果が原発作業員・桜井正雄さん(仮名)に伝えられたのは、7月15日のこと。
「ホッとしたのも束の間、心配の種が前より膨らんでしまった」
と、桜井さんの心中は穏やかではない。
虫(ヒゼンダニ)じゃなくカビにやられたようだ。専門用語で“白癬菌”というらしいが、これがカビの一種だってことだ。わかりやすく言うと、サオ(陰茎)やフクロ(陰嚢)にできる“いんきんたむし”と同じものだが、医者からは、
「尾てい骨の上にだけ感染するのは珍しい」
と言われた。
風通しの悪い、湿ったところに感染するのが白癬菌の特徴だそうだ。原発作業員になってからは全身汗まみれの日が多い。特に股ぐらはジトジトになっている。まあ、白癬菌にとっては願ってもない環境だ。原発作業員には職業病みたいなものだね。
いんきんたむしと同じなら、そんなに大騒ぎすることもない。そのうち治るだろうと、ひとまずホッとしたよ。だけど、最後にこう言われたからまた、ビクッとしてしまった。
「白癬菌は通常、飼い猫から感染することが多い。しかし、放射能とまったく関係ないとは言い切れない」
ってね。よくよく聞いてみると、こういうことらしい。チェルノブイリ原発が爆発(1986年)して、日本とは比べものにならないほど広い土地が放射能に汚染された。そこで俺と同じ白癬菌の感染者がものすごく増えているらしい。医者はこう言っていた。
「日本と違って、ロシアではそうした研究報告がすでに出ている」
ということは、俺の白癬菌感染だって放射能と関係あるかもしれないってことだ。尾てい骨の上に感染するのが「珍しい」と言うなら、被曝特有の感染かもしれない。
ロシアの放射能汚染地帯で増えている感染者は、どの部分に感染しているのか、そこを知りたいし、日本でも早く調査、研究を進めてほしいね。このままほったらかしにしていたら、事故原発敷地内は“いんきんたむし村”になっちゃうかもしれない。口に出さないだけで、すでに相当な数の感染者がいるかも。
放射能も熱中症も怖いけど、白癬菌にやられると、ものすごく痒い。痛いのはまあまあガマンできるけど、痒いのはどうにもならない。だから、やっかいだ。寝ても覚めても尾てい骨をカリカリ掻いていると、尻尾が生え出てきて猿になる夢を見ることがあるんだよ。
作業員宿舎で夢にうなされ、同じ部屋の連中から、
「猿みたいな鳴き声を出していたぞ」
とからかわれたことがある。連中には笑い話で済むかもしれないが、俺にとっては深刻な問題だ。『美味しんぼ』の“鼻血”問題はピンとこないが、白癬菌感染は現実だからね。
◇
福島原発「作業員6000人」の現実 最終弾 ジャーナリスト・水石徹 消えない放射能の疑い! 作業員に発症した深刻な病名(2)
http://wjn.jp/article/detail/1582824/
週刊実話 2014年8月14日 特大号
4つも開いていた配管バルブ
ただただ呆れるしかないが、放射能汚染水のタレ流しが相変わらず続く。
昨年8月に地上タンクから漏れ出した汚染水は、ベータ線を出すストロンチウム90などが超高濃度の4億1000万ベクレルと判明。それが発覚当初の東京電力発表は、半分の2億ベクレルと過小評価。
2011年3月の事故発生以来、国民はおろか専門家の間でさえ「何がホントで何がウソかわからないのが国や東電の発表」と言われ続けてきた。
最悪のメルトダウン(炉心溶融)の事実が最初からあっても、「事実無根」と否定し、大量の放射能漏れがあっても、
「直ちに健康に悪影響を及ぼすとは言えない」
と国民を愚弄する曖昧発言の繰り返し。
雨水保管タンクから放射能汚染水が漏れた問題では、原子力規制委員会の田中俊一委員長が今年6月、
「持続、安定性のある対応ができず、その場限りの対応を繰り返している」
と東電の汚染水対策を批判。トリチウム(三重水素)など放射性物質の海への排出がこの先も続く。
この7月には、排水量を測定する流量計の表示が消える事態が起き、これは東電社員の人為ミスと判明。その前日には、使用済みの核燃料プールを冷やす配管バルブ付近から水漏れがあり、それにはコバルト60が含まれていた。
「福島県沖の魚なんか食べたくない、と思うのは当然だろ。サンマ大好きだが、それも食べない」
と話すのは、先の桜井さんとは別の原発作業員・西島洋平さん(仮名)。所属する下請け会社は違うが、同じ東日本出身で、事故原発で働き始めて1年以上になるという。
海へ流す放射能汚染水の濃度が、「排出基準値を下回っている」と東電がいくら言い張っても、消費者は信用しないはずだ。試験操業で何十種類もの魚が福島県沖で水揚げされているが、いまも基準値(100ベクレル/kg)オーバーの魚が見つかっている。
汚染水のタレ流しが続く限り、消費者の信頼を勝ち取る秘策なんかないんだ。そんなこと、漁師だってわかっているはず。そんなわかりきったことを東電が性懲りもなく続けているから、漁師が怒るのは当然だ。
俺たち原発作業員も消費者には違いないが、一般消費者とは訳が違う。タレ流しを続ける事故原発で働いていると、福島県沖の魚だけでなく魚そのものが食いたくなくなるんだ。
どうしてかというと、タレ流しは事故やミスではなく、わざとやっているんじゃないかと思うときがあるんだよ。そう思っているのは、俺だけじゃない。作業員6000人のうち何割が、という数字までは出せないが、俺が知る限り、かなりの数の作業員が「タレ流しはわざと−−」という認識を持っている。
上にすぐ密告するヤツがいるんで、本音はなかなか出したがらないが、その認識だけは一致してしまう。なぜ、そんな認識を持ってしまうのか−−。
実は、配管のバルブが4つ開いていたことがあって、そこから汚染水が流れ出た。たった一つなら、「ミスだ」と言われれば、「あっ、そう」と聞き流すこともできる。でも4つも開いていて、「ミスだ」はないだろ。
だから、間違ったフリをして、だれかが開いたのだろうと思ってしまう。いったん、海にタレ流した放射能汚染水は回収できるわけがない。油と違って、色も臭いもないんだから。
要するに“流すが勝ち”ってわけだ。バカをみるのは漁師と消費者ということ。
それなら、流さずに済むのかというと、そうはいかない。汚染水の保管場所がなくなっていくんだから、海に放出するしかない、それが現実だ。海で拡散されて濃度が薄まる−−それに期待するしかないのが現状。もはや、どうにもならないってわけだ。こんなことが、これから先何十年も続くと思うと、気が遠くなるよ。
◇
福島原発「作業員6000人」の現実 最終弾 ジャーナリスト・水石徹 消えない放射能の疑い! 作業員に発症した深刻な病名(3)
http://wjn.jp/article/detail/3217770/
週刊実話 2014年8月14日 特大号
隔離する汚染水放出の作業員
敷地内で、こんな場面にぶつかったことがある。配管が外れていたものがあって、それは見るからに使い古しだったので、処分されるものと思った。ところが、そこで片付けをやっていた作業員が職長から、
「配管にキズつけるな。大事に扱え!」
と指示されている。つまり、あんな古びたものを再使用するってわけだろ。配管やバルブの劣化で何度も水漏れが起きているが、あんな使い古しを使えば、そうなるのは当たり前だ。だから、汚染水漏れは起こるべくして起こったとしか言いようがない。
東電は、これまで何度も福島県から「漏水点検をしっかりやるよう」言われているが、しかし漏水はなくならず、この7月だけで少なくても3回は起きている。それも同じ系統の配管で起きている。東電のていたらくはどうしようもない。
海への汚染水放出に関わっている作業員の顔ぶれはほとんど同じ。着替え室も休憩所も他の作業員と違うから、情報がなかなか回ってこない。上のほうは、そうして隔離することで情報漏れを防いでいるから、汚染水漏れについては実態がなかなか掴めない。秘密のタレ流し作戦というわけだ。
事故当時、立て続けに起きた原子炉建屋の水素爆発で大量のガレキが残された。そして昨年8月、そのガレキを撤去する大規模な作業が行われたが、その際、放射性物質に汚染された高線量の粉塵が飛び散った。
それによって、事故原発の北に位置する南相馬市で昨年秋に収穫されたコメから基準値オーバーのセシウムが検出されたため出荷停止。収穫地は原発から20キロ以上離れているが、専門家は「50キロ飛散した可能性もある」と指摘する。
ところが、東電はそうした可能性について口をつぐんだままガレキ撤去再開を目論んでいる。
去年夏のガレキ撤去のときは、同じ敷地内にいた作業員2人が被曝して病院に運ばれている。いちばん線量が高いのは、大震災の翌日、真っ先に爆発した1号機のガレキだ。これは今もそのままで、まもなく建屋を覆ってあるカバーを取り外すようだ。
鉄も泥も砂、ガレキも同じだが、線量の高いものは、トンバッグと呼ばれる黄色っぽいバッグに詰めて敷地内に山積みにしておく。1トンぐらい入るね。「被曝なんて怖くない」と言うヤツが10人のうち2〜3人いるけど、俺はガレキ撤去には関わりたくないね。上から配置されてしまったら、従うしかないけど。
俺は、広島県に住む女房の叔母さんが原爆症で苦しんだという話を聞いているので、できれば、原発なんかで働きたくないんだ。いろいろ事情があって、ほかに働き口がないから、覚悟決めて原発に来ている。
仕事をきちんとこなすヤツ、上に従順なヤツ、東電や元請けの正社員は、「あいつは惜しい人材だから」と評価され、線量の低いところに回される。そうでないヤツは、「あいつは投げちゃえ!」と言われ、高線量のところへ回される。
5年は働いてみたい。そのためには年間の被曝線量が40ミリシーベルト以下でないとダメ。この6カ月間で約20ミリシーベルトだから、いまより高いところへ回されたら年間40オーバーになってしまうかも。だから、「投げちゃえ!」と言われるのが怖いんだ。
被曝線量は預金の残高と同じ。浪費すれば残高は減り、先がなくなってしまう。預金と違うのは、入金して残高を増やせないこと。最初から決まった残高で、いつまで持ち堪えられるかは人それぞれだ。浪費を強いられることだってある。
原発作業員になるのは簡単だけど、無事に働き続けるのは容易なことではない。思っていたよりずっと過酷な世界だ。(了)
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