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集中廃棄物処理施設に放射能汚染水が貯まる(東京電力提供)
成否は「かき氷作戦」次第…福島原発オソマツ凍土計画
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/152269
2014年8月1日 日刊ゲンダイ
もはや潔く断念した方がいいのではないか。東京電力が福島原発の汚染水対策の「切り札」と位置付ける凍土壁の実現性に、また新たな「障害」だ。凍土壁に先行して進めている、地下トレンチ(トンネル)内の高濃度汚染水を取り除くための作業が難航し、やり方を変更せざるを得ない事態となったのだ。
凍土壁は1〜4号機の周囲1・5キロに1550本の凍結管を埋設。冷却剤を循環させて地下30メートルまで凍らせ、地下水の流入を防ぐ計画で、6月から工事が始まった。東電はこれに先立ち、4月から、タービン建屋と地下トレンチの接合部の凍結作業を開始。建屋からトレンチに水が流れるのを防いだ上で、トレンチ内にたまった1万トン以上の高濃度汚染水を抜き取ることにしていた。
■凍らない接合部
ところが、3カ月経っても接合部が凍らないため、東電は30日、トレンチに1日15トンの氷を2週間程度、継続投入する――と発表。汚染水の温度を下げ、接合部を凍りやすくさせると説明した。抜かなければならない水に、わざわざ氷を追加するというのである。
当然、大量の氷が溶ければ、汚染水は増える。それも100トン以上になる可能性があるという。トレンチの凍結計画が頓挫すれば、凍土壁もパーになる。なりふり構ってはいられないのだろう。だが、汚染水を「減らす」作業で「増やして」どうするのか。急場しのぎとはいえ、「かき氷で冷やせ」とはお笑いだろう。
元大阪市立大学大学院教授(環境政策論)の畑明郎氏がこう言う。
「やはり地下水の流量、速さなどが(東電が)想定している以上なのだと思います。だから、なかなか冷やせない。まずは地下水の詳しい状況をきちんと把握するべきです。ボーリング箇所を増やし、基礎調査を実施する。必要なことをやらずに先を急ぐだけでは、何をやっても焼け石に水です」
凍土壁に投じられる国の予算は今のところ320億円だが、こんな「場当たり作戦」が出てくるようでは、この先もカネがいくら必要になるのか分からない。一刻も早く別の解決策を考えた方がいい。
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