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【 福島第一原発、凍土策の実施に対し膨れ上がる疑念と疑問 】〈前篇〉
http://kobajun.chips.jp/?p=19126
2014年7月17日 星の金貨プロジェクト
破壊された4基の原子炉を囲い込むため、3,200億円をかけて行われる地中の凍結
果たして地下水の流れ込みを本当に回避することはできるのか
事故発生以来、無数のミス・トラブルを犯し続けた東京電力が、凍土壁対策に限っては完全に実行できる、そう都合よく考えることはできない
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 7月13日
光明がどんどん遠のき、無数の危険が次々に発生するという、21世紀に入り最も恐ろしい現実を作りだした福島第一原子力発電所。
その場所にあって、このまま放置すればさらなる大きな脅威となる問題に今、現場にいる技術者たちが解決を目指し、次回との戦いに挑んでいます。
数万トンに昇る高濃度の放射能汚染水の問題です。
すべてが計画通り進めば、来年3月には破壊された原子炉4基の敷地をぐるりと取り囲む氷の壁が地中に完成します。
これにより、溶け落ちた核燃料を冷却し続けるために使われ、原子炉建屋の地下に溜まっている高濃度の汚染水と、福島第一原発の敷地の西側から流れ込んでくる地下水が交じり合う事を防ぐことが出来るようになります。
現在は一日あたり最高で400トンに上る地下水が原子炉建屋の基礎部分に流れ込むため、これをポンプでくみ上げ、いったん貯蔵した上で浄化する作業が続けられています。
しかし福島第一原発の現場では、その貯蔵の限界にじりじりと近づく事態となっています。
この汚染水の問題を解決しない限り、東京電力は福島第一原発の廃炉作業に本格的に着手することはできません。
2014年6月、東京電力と鹿島建設(株)から派遣された作業員名が、原子炉を取り囲んで設定された四角形の線に沿って、1,550本のパイプを地下33メートルの深さに垂直に挿入する作業に着手しました。
このパイプに−30度になる冷却剤がセットされていくことになります。
パイプに挿入された冷却剤が周囲の地中を凍結させることにより、水の透過を許さない凍土壁が地中に出現することになるのです。
「私たちは約一カ月間の作業で100本以上のパイプをセットしました。作業はほぼ予定通りに進んでいると言って良いと思います。」
福島第一原発で凍土壁建設作業の責任者を務める、鹿島側の浅村忠文氏がこう語りました。
4号機原子炉建屋は爆発事故を起こした3基の原子炉のうちのひとつですが、今回その周囲にパイプを埋め込む作業では、労働者は雨、高い湿度、そして高い放射線量とも戦いながら、スケジュール通り作業を進めた点を、浅村氏は強調しました。
しかし、メルトダウンを引き起こした3基を含む4基の原子炉を完全に隔離するのは、多額の費用を要する上に危険がつきまとう作業です。
そして今回3,200億円を費やして行われる凍土壁建設の技術は、これ程の規模で用いられたことはありません。
「私は、凍土壁が最良の解決手段であるとは確信していません。」
米国原子力規制委員会のもと委員長で、現在東京電力の特別相談役を務めるデール・クライン氏が共同通信のインタビューに対し、こう返答しました。
「私が心配するのは、この対策を実施したことにより、予想外の結果が生じてしまう事です。 凍土壁に行く手を阻まれた水はどこに向かうのでしょうか。
向かった先で起きうる事態は?
私は、事前にもっと実証実験をするべきだと思うし、分析も不足していると考えています。」
東京電力側の資料によれば、建造された延べ1,500メートルにわたる凍土壁は2020年まで使用が続けられることになります。
地中の凍結を続けるために使われる電気量は一般家庭13,000世帯分になります。
これから8ヵ月以上、東京電力と鹿島の合計360名の職員が一日4時間勤務のローテーションを組み、暑さによる疲労と戦いながら凍土壁の建設に取り組むことになります。
この作業に取り組む人々は多重防護服とフルフェイスの防護マスクを着用し、その上にタングステンで裏張りされたゴム製のカバーを身に着けて作業をしなければなりません。
福島第一原発で3基の原子炉がメルトダウンした事故発生から3年間、東京電力は無数のミス・トラブルを犯し続けてきました。
その東京電力が凍土壁対策に限っては完全無欠にやり遂げる、そう都合よく考えることなどできるはずがありません。
〈後篇に続く〉
http://www.theguardian.com/environment/2014/jul/13/doubts-giant-ice-wall-fukushima-nuclear-reactors
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福島第一原発の事故報道を見ていると、金銭感覚がおかしくなります。
その廃炉のために必要な金額は40〜100兆円…
被災者の方々への補償は数兆円を費やしても追いつかない…
凍土策には3,200億円…
事故収束・廃炉作業作業全体のために必要な金額から見るとね思わず
「その程度か…」
と思ってしまいそうです。
しかしこの金額を教育や福祉の現場から見たら、どうなのでしょうか?
今、全国で莫大な金額を投じて原発再稼働のための整備事業が進められています。
しかし福島第一原発の事故を経験した私たちは、次のような疑問を持たざるを得ません。
「莫大な金を費やして、もっと莫大な費用を要することになる原発事故の原因を作っているのではないか?」
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【 福島第一原発、凍土策に対し膨れ上がる疑念と疑問 】〈後編〉
http://kobajun.chips.jp/?p=19137
2014年7月18日 星の金貨プロジェクト
失敗に終わった、凍結技術を使った汚染水の応用実験
フクシマでは何も終わっていない、本格的な事故収束・廃炉作業は始まってさえいない
深刻化する事故収束・廃炉作業の現場を維持するための、作業員数の維持・確保
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 7月13日
東京電力は凍土壁と同じ技術を用いた汚染水を凍結させる対策において、すでに問題を引き起こしています。
汚染水が地下の排水溝に溜まり、凍結策の応用は無残な結果に終わってしまい、今後の展開に懸念が持たれています。
「これまでの3年間は難しい課題に取り組み続けざるを得ませんでしたが、一方では大きな前進もありました。」
福島第一原発の尾野マネージャーが今週、現地を訪れたガーディアン他のジャーナリストにこう語りました。
「我々の対応が万全ではないことは承知していますが、状況を改善するための取り組みは続いています。
大切なことは私たちが問題の内容を把握し、現在その解決のための具体的な取り組みが行われているという事です。」
福島第一原発では津波が押し寄せたことにより、非常用電源を含めたすべての電源供給を停止させてしまい、3基の原子炉がメルトダウンする事故が起きました。
この際4号機のみは原子炉内に核燃料は無く、使用済み核燃料プール内に約1,500体の核燃料アセンブリが保管されていましたが、東京電力はすでにこのうちの1,200体を安全に取り出すことに成功したと語りました。
小野マネージャーは残る核燃料アセンブリも、予定通りに行けば年内にすべて取り出し、より安全な格納場所に移し替えることが出来ると付け加えました。
しかし原子炉建屋の基礎部分に溜まっている高濃度の放射能汚染水を組み上げ、これを長期間安全に保管する課題については昨年、貯蔵タンクからの汚染水漏れのトラブルが相次ぎ、問題の深刻さを再認識させられることとなりました。
そしてトリチウム以外の放射性物質を取り除く浄化装置も、度々故障し、その都度工程を停止させざるを得ませんでした。
現在は全部で3基ある浄化装置が稼働していますが、まだ試運転の段階である事を東京電力の広報担当の永野氏が認めました。
「私たちは来年の3月までには、福島第一原発の敷地内に保管しているすべての汚染水の浄化作業を完了させたいと考えています。」
小野マネージャーは、最近完成した地下水を汚染される以前にそのまま太平洋に流し込むための排水設備、そして地下の井戸とともに凍土壁が機能する予定であると語りました。
先月、日本の原子力規制委員会は東京電力が地下排水溝内の汚染水凍結作業における失敗について懸念を表明しました。
小野氏は、作業の失敗について認めた一方、その事が直ちに凍土技術が不完全なことを意味するわけではないと語りました。
「排水溝内の汚染水は、地下水と比較して私たちが考えた以上の早さで流動していたため、結果として計画通りに凍結させることが出来ませんでした。」
「しかし来年3月までには、排水溝内の汚染水も凍結させることができると確信しています。」
福島第一原発の事故収束・廃炉作業が危機的状況を迎えてから、東京電力は現場の作業員たちの士気の低下という問題と直面し続けています。
2011年3月の事故発生以来約3,000人がすでに退職、あるいは早期退職しました。
多くは原子力発電に背を向け、もっと重圧の少ない、そして給与条件の上でも恵まれている他のエネルギー産業に再就職しました。
小野氏は現場で働く作業員を確保することの困難さを認識してはいますが、福島第一原発の事故収束・廃炉作業を行うために充分な人数を揃えることが出来ないという指摘に直接答えることはありませんでした。
「ある意味では、原子力発電所の事故収束・廃炉作業は後ろ向きの仕事です。しかし先例のない難しい課題に取り組むことは、前向きな努力であるはずです。」
このように語り、小野氏は最近配置された溶け落ちた核燃料の状況を明らかにし、それを取り除くために新たに設計されたロボットに言及しました。
「それは福島第一原発の現場で働く技術者たちに、希望と前向きな意欲を与えてくれるはずです。」
ここで働いている東京電力職員、そして下請け・孫請けの巨大なネットワークの作業員を合わせた6,000人が、世界で最も困難を極める事故収束・廃炉作業の完遂を見届けることになる、小野氏はそう主張します。
「廃炉作業の完了まで何年かかるのか、その確実な見通しを明確にするのは困難です。私たちが今予想しているのは30年、40年という時間です。」
「しかし私は、福島第一原発の従業員には強い使命感があると思っています、言ってみれば東京電力魂です。すべての世代の従業員が、それを心に抱いていると思います。」
〈完〉
http://www.theguardian.com/environment/2014/jul/13/doubts-giant-ice-wall-fukushima-nuclear-reactors
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この凍土策の問題と直接は関わりがありませんが、鹿児島県川内原発の再稼働について、7月17日付の河北新報の第4面に『再稼働思いとどまれ』と題した吉岡斉九州大学教授の評論が掲載されました。
以下はその抜粋です。
「政府もまた、原子力ムラの全関係者が将来にわたって利益を得られるように、東京電力福島第一原発事故以前の状態への復帰を目指してきた。」
「新規制基準そのものが、日本のすべての既設原発について、再稼働の許可を得られるよう規制委員会が配慮した不十分なものである。原子炉自体の構造的弱点の評価を行わず、付属設備の強化のみで良しとした。」
この指摘を見る限り、安倍政権が常々「世界一厳しい」と豪語する安全基準には、予めいくつかの『抜け穴』が用意されていたことになります。
こうした手段を用いての再稼働は、民主主義の原則を無視した暴挙のひとつであると言わざるを得ません。
滋賀県知事選挙の勝利に気を緩めることなく、私たちができることをさらに真剣に考えていきましょう。
もうひとつ、正論だと感じたのが田中秀征氏のダイヤモンド・オンラインの以下の記事です。
http://diamond.jp/articles/-/56228
ぜひ一度、お目を通されてみてください。
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