http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/331.html
Tweet |
福島第1原子力発電所の4号機南側で、鹿島の作業員が凍結管用の穴を掘削していた 写真提供:東京電力
福島第1原発の地中に建設中 初公開された“氷の壁”の難題
http://diamond.jp/articles/-/56085
2014年7月15日 週刊ダイヤモンド編集部
報道陣を乗せたバスが、福島第1原子力発電所の敷地内を走る。座席や床はビニールで覆われ、乗り込んだ人も全員、全身を白いツナギ、顔をマスクで覆われている。
山側から原子炉建屋がある海側へ進み、5・6号機の脇を抜けて回り込むと、バスは北から南に向かって海岸沿いを進んだ。いまだ津波の爪痕が残る、ひどいデコボコ道だ。1〜4号機の前を順番に通り過ぎた先に、目的地である凍土壁の建設工事現場が姿を現した。
凍土壁とは、福島第1原発での汚染水対策の柱の一つで、1〜4号機の周囲、約1.5キロメートルの地下を氷の壁で囲むことで、原子炉建屋に流れ込む地下水を遮断する取り組みだ。7月8日、地中を凍らせるために埋め込む凍結管の設置工事現場が、着工後初めて報道陣に公開されたのだ。
現場では、鹿島の作業員が4台の重機を使って、凍結管を入れるための直径約15センチメートル、地下約30メートルの穴を掘削する作業中だった。この穴に3重構造の管を入れ、その中にマイナス30℃の冷却液を流すことで、地中を凍らせる仕組みだ。全部で約1550本の凍結管を埋め込む予定で、7月7日時点で90本が完了したという。
そうした作業と同時進行で除染など現場状況の改善も着実に進んでいる。例えば、この日公開された工事現場はかつて事故が起きた際に、水素爆発を起こした4号機のすぐ脇の通路。従来は顔を全て覆う全面マスクの着用が必要だったが、除染活動によって、鼻より下を覆う半面マスクの着用で済むようになったのだ。
今回訪れた報道陣も顔上部はゴーグルを着けてはいるものの、メガネの人はそれで代用するくらいのもので、直接外気に触れても大丈夫という状態。工事現場の放射線量は最大値で毎時36マイクロシーベルトだった。
■実験室と現場の違い
とはいえ、前例のない大規模な凍土壁の建設には課題も山積みだ。
まず、本当に凍土壁を形成できるのか不透明さが残る。というのも、海側のトレンチ(地下坑道)で先行して同様の凍結工事が進められているが、十分に凍らない問題が起きているからだ。
凍結管を無造作に打ち込めない点も困難が予想される。原発は地下に無数の配管が張り巡らされているなど非常に複雑な構造だ。そのため、掘削予定ポイントの約170カ所で原発の構造物とぶつかる。また、掘ってみると、「図面と実際の構造物の位置がずれていることもある」(現場の作業員)という。
場合によっては、構造物を貫いて凍結管を入れることも想定するというが、工事、地中の凍結共に難易度が上がるとみられる。
福島第1原発の小野明所長は、実証試験で凍土壁の有効性を検証できているとしながらも、「実験室レベルと実際の現場は違うことを認識して、入念な計画と検討を進めることは反省材料ではある」と現時点での考えを語った。
今も建屋の下には1日400トンの地下水が流れ込み、汚染水は増え続けている。スピードと慎重さが同時に求められる難題は続く。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素39掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。