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被災地の“義援金ゴロ” 私的流用の発覚は氷山の一角だ〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140711-00000003-sasahi-soci
週刊朝日 2014年7月18日号より抜粋
多額の補助金、寄付などを狙って、被災地に付け入ろうとする“義援金ゴロ”が暗躍している。こんな不埒もののために、被災地の復興が停滞したらたまらない。ジャーナリストの桐島瞬氏が問題に迫った。
福島で、寄付金の着服も起きていた。毎年4月半ばに開かれる「アースデイ東京」。環境省などの中央省庁や旭化成ホームプロダクツ、キリンといった大手企業が後援や協賛に名を連ねる環境ビッグイベントだ。
ここに、東日本大震災後から「キッズウィークエンド〜福島こども保養ツアー〜」と呼ばれるプログラムが加わった。福島の子供たちに2泊3日のスケジュールで、郊外の自然のなかなどで過ごしてもらう取り組みだ。今年も150人が参加した。420万円ほどかかる費用の多くは協賛企業などからの寄付で賄われている。
だが、この一部が保養担当者によって私的流用されたことが発覚した。関係者が説明する。
「協賛企業が、自社商品の売り上げの一部を助成金として保養ツアーに寄付しています。ツアーの運営は福島市にある『子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク』(以下、子ども福島)という団体。ところが、ここの保養担当者Y氏が経費を不正に精算し、二重、三重請求していたのです」
Y氏は40代後半。福島で被災した子供たちの保養分野では、第一人者と呼ばれる人物だ。全国各地での講演などにも呼ばれている。
信頼していたのに裏切られたこの関係者は怒りが収まらない。
「善意の寄付を懐に入れられてしまっては組織の信用にも関わる。会の世話人たちからは、刑事告発も辞さずとの意見も出ています」(同)
震災後に発足した市民団体の子ども福島は、地元の子供たちを放射線から守るための活動に意欲的に取り組んでいた。いままでの累積活動資金は約5千万円。そのほとんどは、企業や団体からの寄付だ。
本誌は、Y氏の多重請求の証拠となる領収書を入手した。宛名空欄の領収書を用意し、カラーコピーをアースデイに提出。その後、原本を子ども福島に提出していたのだ。こうして二重請求ができてしまった。
一度の移動にかかった新幹線代金を、三つの組織から別々に受領していたケースもあった。
アースデイからの精算金は、Y氏の個人口座に振り込まれていた。このため、子ども福島は不正に気づくのが遅れたという。
別の関係者が語る。
「他の保養プロジェクトなどに要した経費として、Y氏へは総額120万円以上を支払い済み。ですが、領収書紛失などを理由に請求し、わかっているだけでも34万円を着服していたのです」
子ども福島ではY氏の不正を追及するために経費の再監査を行い、第三者委員会を立ち上げた。今後、返還請求をしていく方針だ。本人の弁明を聞こうとしたが、本誌の取材に対してY氏は、「お答えすることはありません」とだけ話した。
被災地には義援金など多額の寄付が流れ込む。福島県の職員によると、発覚したケースは氷山の一角に過ぎないという。支援金がどう使われているのか、チェックする必要がある。
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