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福島原発「作業員6000人」の現実[前編] ジャーナリスト・水石徹 現役作業員が内部告発! 「美味しんぼ」ではわからない監視、密告、人間不信の敷地内(1)
http://wjn.jp/article/detail/8442430/
週刊実話 2014年7月10日 特大号
俺たちは、東照宮(栃木県日光市)の三猿と同じだ。要するに“見ざる、聞かざる、言わざる”ってこと。東電(東京電力)、現場の監督から厳命があってよ。「敷地内で見聞したことは、外で絶対に喋っちゃダメだ」ってね。新聞、雑誌に書かれるのを異常なほど恐れているんだ。
俺たちは命令通りのことをやってるだけだけど、上層部は何もかも隠したいんだ。外部に知られちゃ都合悪いことがあるから、喋られると困る。作業員には、そうとしか思えないんだ。
外で喋ったのがバレたら、あの手この手で圧力がかかり、現場(敷地内)に出入りできなくなってしまう。つまり、クビってことだ。圧力うんぬんの前に、「明日から来るな」と即刻、クビを言い渡してくる下請けもある。
原発での体験が文章になったりマンガになったりして話題になってるけど、ありゃ元作業員であって現役じゃない。現役なら、チェックが厳しくて、あんなこと、できるわけないんだ。
桜井正雄さん(仮名)は、爆発事故(2011年3月)が起きた福島第一原発の敷地内で働く一般作業員。「ひどい汗かき」らしく、額から吹き出る汗をタオルで拭き取りながら、事故原発での作業体験を語り始めた。現役ゆえに、「実名はもちろん、詳しい年齢、出身地も伏せてくれ。クビになるのは嫌だから」と事前に釘を刺された。
「俺は技術者ではないんで、専門的なことには触れられない」
と前置きし話を続けた。
テレビに上空から撮った第一原発の映像が出るけど、どれくらいの数の作業員がいるか、あまり知られていないよね。俺自身、「えっ、そんなに!」と驚いたけど、常時6000人が働いているんだ。これだけの人数がいれば、ワイワイガヤガヤと賑やかだと思うだろうけど、実際は逆。
休憩時間になると、喫煙所に20〜30人が集まってくるが、会話はほとんどない。たとえ話しても、せいぜい出身地くらい。関西弁がいちばん幅を利かしているけど、出身地は北海道から沖縄まで全国にまたがっている。こんな暑さの中で働いているんだから、普通ならグチの一つや二つ出てもおかしくないんだが、それがなかなか出ないんだ。
なぜ、グチや不満が出ないかというと、上司に密告されるのを怖がっているからだ。俺たち原発作業員は、薄気味悪いほどの沈黙、そして密告の世界に生きているんだ。黙々と働くだけ。ただただ命令に従ってね。
作業員同士で話さないのは、いや、話せないのは、互いに不信感を持っているからだ。最近の話では、こんなことがあった。
小名浜(いわき市)のソープランド街へ5人でオンナ抱きに行ったとき、ひょんなことから仲間うちで口喧嘩になった。殴り合いにはならなかったけど、路上で大声で言い争う様子を仲間のだれかがスマートフォンでこっそり撮って、声も録音していた。
翌朝、現場に出たら、上司が喧嘩の一部始終を知っていたのにはビックリだ。仲間うちでも、そこまで密告してしまうヤツがいるということだ。だから、信用できるわけがない。相互不信の極みだね。
◇
福島原発「作業員6000人」の現実[前編] ジャーナリスト・水石徹 現役作業員が内部告発! 「美味しんぼ」ではわからない監視、密告、人間不信の敷地内(2)
http://wjn.jp/article/detail/0837233/
週刊実話 2014年7月10日 特大号
こんなことが下っ端作業員に限らず起きている。下っ端を監督する立場にある上のクラスの連中が休みの日、何人かでゴルフに行った。その中の1人がプレー終了後、芝生に寝転がった。青空の下で、そうしたくなる気持ちはわからないでもない。ところが、いつの間にか、寝転がっている写真がだれかに撮られ、連中の上司に送られていたんだ。
それだけじゃない。ゴルフの帰り「一杯やろう」となって、JRいわき(平)駅近くにある田町という飲み屋街でスナックに入った。そこで上機嫌になった1人が、ホステスと肩組んでカラオケ歌ったら、その様子までスマートフォンで撮られていた。その写真も連中の上司に送信されていた。
寝転がったり肩組んだりするのが仕事に悪い影響を与えるわけでもないし、就業規則に違反するわけでもない。それなのに、息抜き、気晴らしの様子までいちいち上司にこっそり報告されるんだから、こんな気色悪いことはないだろう。
スパイごときのヤツがどこにいるかわかんないから、それぞれが警戒し合うのは当然だ。休日だろうが何だろうが、どこにいても監視されている、追われていると警戒心が先に立ってしまう。そんなこんなで作業員は被害妄想になっている。下っ端、上役問わずだ。
莫大な税金をつぎ込んでいる国もそうだと思うが、東電はじめ、元請けの鹿島、大成建設、清水建設、竹中工務店などの大手ゼネコンは、外で原発作業員に問題を起こされるのはマズイと神経をピリピリさせている。だから、監視を厳しくさせている。
事故原発の敷地内は、北朝鮮もいいところだ。あちらじゃ、いたるところにスパイ網が張り巡らされ、家族間でも監視し合っているというじゃないか。大袈裟でも何でもなく、それが福島第一原発の現実なんだ。
ついでに言うなら、テレビ、新聞などに「福島第一原発の真実」なんて言葉がちょくちょく出るけど、目に見える現実はあるが真実なんてありゃしないんだ。はっきり真実といえるのは、俺たちが働く現場には放射能がたっぷりあるということだけ。
先ごろ、漫画『美味しんぼ』に端を発した福島県民の“鼻血”騒動について話を聞いてみた。
原発作業員の中にも鼻血が出たのは何十人もいる。俺も放射能が原因かと怖くなった。しかし、よくよく聞いてみると、よそ見歩きで現場の鉄骨や重機の端に鼻をぶつけたとか、鼻クソをほじくりすぎて粘膜を傷つけたとか、盛り場で喧嘩してパンチ食らわされたとか、そんな類の話ばかりだ。『美味しんぼ』には被曝が原因とあるが、あれは俺が知る限り現実じゃない。真実かどうかは、はたして被曝で鼻血が出るものなのか、その道の専門家が調べなきゃわからない話だろ。
現場作業員の間では、『美味しんぼ』なんて話題にもならんよ。あれは、あくまでも漫画の世界なんだという認識だから、話題にならないのは当然といえば当然。それに対して総理大臣までが口を挟み、福島県知事まで「許せない」という論調だ。放射能を浴びながら、汗水流して働いている俺たちにとっては、バカバカしい限りだよ。「被曝で鼻血が出た」と漫画で描かれて、どうして、あんなに問題になるのか理解に苦しむね。
◇
福島原発「作業員6000人」の現実[前編] ジャーナリスト・水石徹 現役作業員が内部告発! 「美味しんぼ」ではわからない監視、密告、人間不信の敷地内(3)
http://wjn.jp/article/detail/2984082/
週刊実話 2014年7月10日 特大号
“作業員”を送り込むヤクザ
心配させるのが嫌だから、女房にもまだ言っていないけど、俺には鼻血なんかより深刻な問題があるんだ。原発で働き始めてから、体じゅうのあちこちが赤くなって痒くなり、尾てい骨のところに吹き出物ができて困っている。
作業中、そこが急に痒くなるので作業服の上からゴシゴシ掻くと、とたんにチンポがむずむずして小便が漏れそうになる。上下ツナギの服だから、その場で立ち小便というわけにはいかない。急ぎトイレに駆け込もうにも、そこまで車で10分近くかかるから我慢するにも限界がある。結局、タレ流しのまま作業を続けるということもあるのさ。
皮膚科に診断してもらったら、「ダニに噛まれたか、ヘルペス(帯状疱疹)かもしれない」と言われ、塗り薬を処方してもらったんだが、半年経っても尾てい骨の痒みは消えない。この2〜3カ月は、そこに瘡蓋ができて、それをカリカリ掻いてはがすと瘡蓋がまたできる−−の繰り返しだ。
つい最近、塗り薬をもらいに行ったとき、医者に仕事の内容を打ち明けると、「危なっかしい場所で働いているんだな。ひょっとしたら放射能の影響かもしれんな」と言われ、ゾッとしたよ。ピンセントではぎ取った瘡蓋を精密検査に回している最中だが、結果が出るまでは気が気じゃない。結果が出たって、『美味しんぼ』の鼻血と同じで、放射能との関係はわからないんじゃないか。
爆発を起こした建屋の内部、特に原子炉に近い地下部分は放射能が高く、当然、防御服を着用せねばならない。しかし、建屋周辺で働く作業員の服装は驚くほどの軽装だ。
冬はともかく、この時期は下着を着ても着なくてもいいが、白い上下のツナギ服だけで作業する。化繊(化学繊維)の薄っぺらな服でウィンナースーツと呼ばれ、触った感じは紙と間違うくらいだ。胸の左右に30センチ四方の窓があって、内側に放射線量計などを入れる。この部分だけ外から見えるようビニールでできている。ただし、この服では放射能から身を守ることはできない。当然、放射能に汚染されているから、1日で使い捨てにするし、敷地外に持ち出すことはご法度だ。
今回は、俺たちがどんな軽装で働いているか知ってもらうために、袖を通していないものを必死の思いで持ち出してきた。後でまたこっそり返却するつもりだ。
最初は、こんな軽装では危ないんじゃないかとビビッていたが、1カ月も過ぎると、自分がバカじゃないかと思うくらい気にしなくなってしまう。慣れるというのは、ホント、危険だよ。
背中に昇り龍の刺青ある30代の男が仕事終わって着替えの最中、
「男の子ばかりだから女の子がほしいんだ」
と言ったら、両腕にこれまた刺青ある年配の男から、
「子供なんかつくれるわけないだろ。ただの子供じゃなくて手足がなかったら、これ以上の後悔はないだろ。親が死んでも子供はずっと苦しみ続けるんだ。国や東電が保証してくれるわけじゃないんだぞ!」
と、たしなめられていたね。先にも言った通り、沈黙と密告の世界だから、こんな会話が耳に飛び込んでくると、無性にホッとするんだ。この刺青男2人を原発に送り出している会社の社長は、ある地域で名の知れたヤクザだからね。いまは足を洗っているのかどうか知らないけど、そっち系統の作業員はいくらでもいる。世間が知らされていないだけで、これが事故原発の現実なんだ。(以下次号)
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