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原子力規制委員会の新しい委員になった田中知氏
原子力規制委 “現場”を知る人材の登用を
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140629/dms1406290830001-n1.htm
2014.06.29 大前研一のニュース時評
原子力規制委員会の新しい委員に、核燃料サイクルや放射性廃棄物を専門とする田中知(さとる)東京大学大学院教授と地質学者の石渡明東北大学教授が決まった。9月に任期が切れる島崎邦彦東京大学名誉教授と大島賢三広島大学特任教授の後任として就任する。
なぜ、2012年9月19日に同時に任命された5人の委員のうち2人だけの“任期”が切れたのか不明だが、再稼働を急ぐ安倍晋三政権の臭いが濃厚な人事であることをうかがわせる。
例えば日本原子力学会の元会長だった田中知氏をめぐっては、「過去に日本原子力産業協会の理事を務めていたことが、原子力規制委員としての欠格要件にあたるのではないか」という指摘もあり、野党から「原子力ムラの人間だ」「再稼働賛成派だから、公正中立な審査ができない」と批判を浴びていた。
しかし、若干は電力会社寄りかもしれないが、原子力規制委員会の田中俊一委員長の下では、露骨なことはできないだろう。
それよりも、“活断層オタク”ともいわれる地震学者の島崎氏のように、何が基準かもわからないのに、「活断層の疑いがある」と騒いで、巨額の掘削調査費用を使われるほうが、よくないと思う。
原発の重要施設は活断層の上に建設することが禁じられているわけだが、設置されてしまった原子炉付近に後になって活断層が見つかった場合に関しての規制はなかった。
しかし原発の地震対策の審査を担当する島崎氏は、活断層と認定されたら直ちに再稼働を認めない、とする立場だった。田中委員長もそれを支持する発言をしている。しかし07年7月の中越沖地震の時に炉心上部で1200ガルもの加速度を記録した柏崎刈羽原発は正常にスクラムできている。
活断層が見つかった場合には、それによりどのくらいの地震が起きるのか、現有施設でそれに十分対処できるのか、という順序で議論を詰めるべきで、活断層発見即再稼働中止という議論はあまりに性急すぎる。
この人に限らず、規制委には原子炉の専門家がほとんどいない。田中委員長も放射線の専門家で3・11の後は除染で活躍していたが、原子炉本体に関しては素人だ。今回任命された田中知氏がそこを補ってくれることに期待したいが、私はもう少し設計現場に近い人をメンバーに入れるべきだと思う。
現場とはつまりメーカーの人たちだ。そうすると、また「メーカー寄りだ」「原子力ムラの人間だ」という批判が出てくるだろう。しかし、知識のない学者をメンバーに持ってきて多数決で決めるよりはマシではないか。
原子力専門学者といっても従来は電力会社の提供したデータを読んでいるだけのお飾りが多かった。だからこそ、3・11の後、福島第一原発で何が起こっているのか説明できる人が1人もいなかった。テレビを見ただけで炉心のメルトスルーが起こっている、と主張した私に対して、批判することも肯定することもできなかった。
その後、私がボランティアでやった「一人事故調」の報告文を今となっては東京電力もすべて認めている。つまり当事者は事故の分析も対策も自分たちではできなかったのだ。
現在の電力・原子力業界の悪しき習慣を乗り越えようと思うなら、メーカー側からの人材も入れなくてはならない。原子炉の設計をしていた私のような経験を持った人は業界にはたくさんいる。要は退路を断って国民のために残る人生をささげよう、という決意のある人を選んでくるだけだ。
原子炉は学者や研究者が見かけだけの議論ばかりをしていても安全性は高まらない。規制委はいまだに福島第一の事故分析を自分でやっていない。すべてはそこから始まる、と私は考えている。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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