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心の疲れはもはや限界 福島原発事故の被災者たち
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2014年6月27日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
世間の忘却と反比例するように、苦悩が深まっている。福島原発事故の被災者たちだ。自殺を防ぐ電話相談「福島いのちの電話」には昨年、過去最多の相談があった。自殺の増加にも歯止めがかからず、アルコール依存症も深刻化している。仮設住宅での孤独死も後を絶たない。被災者たちの心の疲れはもはや限界に近づいている。閣僚の「金目」発言は、そうした心にまた一つ重荷を加えた。(出田阿生、榊原崇仁)
◆福島の被災者は苦しんでいる 「お金いらない 元に戻して」
今月4日、福島県二本松市の仮設住宅。浪江町から原発事故で避難していた一人暮らしの男性(74)が、自室で息絶えているところを自治会長に発見された。
「ぶっきらぼうで、あんまり近所付き合いもない人だった。体は元気のように見えたんだけど」。隣人はそう話す。前夜からテレビがつけっぱなしだったのを近所の人が不審に思い、自治会長に連絡した。死因は心筋梗塞だったらしい。
亡くなった男性は毎日、午前10時から午後3時まで車で出掛けるのが日課だった。パチンコ店に通い詰めていたらしい。息絶えた姿を発見される前日も、午後3時ごろに戻ってきた。
男性には息子や孫がいるが、福島市の仮設住宅で暮らしているという。別居の理由は周りの人たちも詳しくは知らない。男性宅の玄関前には麦わら帽子や長靴、バケツなどが片付けられないまま置かれていた。
一人暮らしの人が誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」は、仮設住宅で暮らす浪江町民に限っても最近2カ月で3件あった。浪江町以外でも、避難者の孤独死は決して珍しくない。
原発事故から3年がたつが、大半の避難住民の心は疲れ切っている。「福島いのちの電話」の昨年の相談件数は、過去最高の1万8194件だった。
埼玉県春日部市では25日、福島からの避難者の交流会が開かれていた。
参加していたのは支援者と、福島県の浪江町と楢葉町から避難する男女8人。楢葉町の女性(65)が「誰かの家で毎日、お茶飲みしてたよね。おしゃべりしてると時間があっという間で」と言えば、別の女性(67)が「お金なんかいらないから、元に戻してほしい」と応じる。懐かしいふるさとの話の合間に聞こえるのは、今後の生活不安だ。
浪江町で息子夫婦と孫と暮らしていた女性(72)はいま、埼玉県内で一人暮らしをしている。息子は福島県南相馬市で仕事に就き、その妻子は同県いわき市で生活する。一家離散の状態だ。いわき市の災害復興住宅の抽選に申し込むつもりだが、見通しは立たない。
「テレビでも福島のニュースは3・11の時だけ。事故は終わったのに、なんでここにいるのと人から聞かれる。仲間と話すとホッとするけど、家で独りぼっちになると不安で…。ろくなこと考えない」
こうした交流会を定期的に開催しているのは、専門家の立場から被災避難者の支援を続ける震災支援ネットワーク埼玉(SSN、さいたま市)。愛甲裕事務局長は「3年が経過しても、復興や生活再建の遅れで、被災者の苦悩は一層深まっている。こうした交流会にも出てこられず、賠償も受けずに孤立している人は少なくない」と説明した。
◆心のケアでは解決せず…法整備しかない
SSNは今年3〜4月に、早稲田大と共同で埼玉と東京に避難中の3599世帯を対象に被災者の現状を調査した。
4月末までに回収したアンケート600件分を分析すると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性のある人が57.7%もいることが分かった。
阪神・淡路大震災で、3年8カ月後に実施された調査では39.5%だった。愛甲さんは「さらに今回の調査では具体的な病名を挙げる人や、自殺を示唆する言葉を書く人が増えた。心と体の不調を訴える人が急増している」と語る。
自由記述欄に書かれた言葉は切実だ。「夫婦ともにうつ。家族全員が被ばくをしている。生きていてもしかたがない。一家心中を考えている」(双葉町から埼玉に避難・42歳女性)「頭が円形はげになったり、歯が9本も折れたり抜けたり、薬が増えたり、身体も精神面も東電にイジメられてズタズタです」(南相馬市から埼玉に避難・50代男性)「避難してうつになり、家事もできなくなったり、心身共につらくて仕方ないです。自殺を考えたくなる」(浪江町から東京に避難・45歳女性)
避難先で就職口が見つからない人も多い。「ハローワークにどれほど通ったかわかりません。(中略)損害賠償請求は一度もしていない。手持ちの現金を使い果たし焦ってきているが、気力が出ず、請求ができない」(大熊町から埼玉に避難・57歳女性)
調査を主宰した早稲田大の辻内琢也准教授(医療人類学)は「各国の事例をみても、天災より人災の方がPTSDからの回復が遅いという結果が出ている。人災の要素がある原発事故では、進まない賠償などの社会的要因が被害者をさいなんでいる」と懸念する。
分厚い損害賠償請求書を読まなければならず、細かな領収書を求められ、請求しても「ダメ」といわれる連続。同じ町民でも帰還困難、居住困難、避難指示解除準備──の3地区に分断され、賠償に格差がある。
福島県は県内6カ所に「心のケアセンター」を置いて、臨床心理士や保健師らを仮設住宅などに派遣している。だが、予算的な制限もあり、こうしたスタッフは60人しかいない。
ただ、辻内教授は「この精神的苦痛は、心のケアでは根本的に解決しない。被災者が分断され、PTSDの質が深刻化している。解決策は法整備しかない。子ども・被災者支援法を機能させ、自主避難を含めて社会がきちんと対応する制度が必要だ」と訴える。
一方、福島県内の震災や原発事故が原因とみられる自殺者は今年に入り、5月末までに8人。宮城、岩手の各県はそれぞれ1人だった。賠償や帰還を含めて先の見通しが立たず、精神的に追い込まれる人が少なくない証しといえる。
アルコール依存症も深刻だ。県は福島医大と連携して、プロジェクトチームをつくった。仮設住宅を回る生活支援相談員から「朝から飲酒している」といった報告が増えたためだ。
こうした被災者たちの厳しい現実の傍ら、事故責任の一端を負うべき政府の本音は石原伸晃環境相の「金目」発言の形で表れた。
福島大の佐藤彰彦特任准教授(地域社会学)は、その発言をこう批判した。
「原発事故は人びとから住み慣れた土地や仕事を奪い、少なからずの家族がバラバラになって避難せざるを得なかった。しかも慣れない環境になじみ、新生活を始めるための支援が絶対的に足りず、絶望感を募らせる人たちを増やしてしまった。この深刻な状況から目を背け、『被災地の問題はカネで解決できる』と考えてはいけない」
[デスクメモ]
東京都議会のやじ事件のごまかし決着を見て、福島原発事故が社会に与えた影響の深さに思い至った。どんなに非道なことをしても、被害者そっちのけで、形だけ頭を下げれば済んだことになってしまう。東電も政府もこれだ。それが被害者の心をさらに追い込む。倫理の崩壊がこの国を深部から壊している。(牧)
2014年6月27日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014062702000144.html
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