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広野火力発電所の高線量放射能汚染 東電と食い違う従業員の証言〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140618-00000013-sasahi-soci
週刊朝日 2014年6月27日号より抜粋
福島県広野町にある広野火力発電所の一部が高線量放射能で汚染されていた実態が本誌の取材で明らかになった。福島第一原発から21キロの距離にある同発電所は11年4月22日、「屋内退避指示区域」の指定が解除され、同6月には運転が一部再開された。また、6号機の増設工事は事故後も続き、13年12月には運転を開始している。従業員や工事関係者、帰還者たちの健康被害が懸念される。ジャーナリストの今西憲之氏と本誌記者・小泉耕平がリポートする。
* * *
増設工事にかかわった作業員はこう不安を口にする。
「当時、周辺ではかなりの人数が作業していた。たしか事故から1年ほどして、6号機近くで除染が行われたと聞いて驚きました。いまだにそんな高線量が出ているとは知らなかった。それまで全面マスクなどの装備もなく仕事していたので、心配です」
東京電力幹部もこう証言する。
「高線量廃棄物があるとわかってからしばらくは、隔離して上からシートをかぶせるなど簡易な対応でした」
問題はこれだけではない。火力発電所から1キロほど先に、東電の新広野単身寮がある。原発事故収束に動員されている作業員たちの寮だ。住人が語る。
「広野火力に高線量廃棄物があるという話ははじめて聞いた。友人の同作業員から、敷地内で線量が高く立ち入れない場所があると聞いたことがあったけど……。この寮も近いので心配です。原発でも被ばくするのに、帰って休息する場所も汚染されているとしたら、あまりに悲惨だ」
原発事故後、東電を取材し続けているジャーナリストのおしどりマコ氏はこう語った。
「広野火力発電所周辺は単身寮やJヴィレッジがある東電の重要な拠点。昨年冬には、新設が決まっている最新鋭の石炭ガス化複合の発電所について、東電福島復興本社の代表が会見で説明していました。東電は高線量の廃棄物が出たことを、表ざたにしたくなかったのではないか」
一方、広野町では12年3月に町役場機能が町内に戻り、現在は住民に帰還をうながしている。町の環境防災課はこう話す。
「今、住民の帰還が進んでおり、6月9日時点で人口5150人中1471人が帰還しています。1年前は帰還者が912人ですから、かなり増えた。広野火力の高線量廃棄物の話は聞いたことがありません。事実なら心配ですね」
発電所近くの住民は、こう憤った。
「高線量廃棄物が原発から放出されたプルームによるものなら、このあたりにも飛散している可能性もあるし、高い木などに放射性物質が残存しているかもしれない。東電は住民に事実を知らせてほしい」
広野町や、火力発電所のすぐ北側にある楢葉町の幹部にも話を聞いたが、いずれも高線量廃棄物の話は聞いたことがないという。
「東電はまた隠しているのか? 調査を申し入れたい」(楢葉町幹部)
東京電力広報部に事実関係を問い合わせたところ、大筋で事実関係を認めた。
「放射性物質により汚染された工事廃材などについては、線量確認を行うなかで、処分先が現時点で未定のものについては、構内で管理しております」
現場の従業員や町役場に伝えたのかについてはこう回答した。
「当該工事廃材等の囲いには、空間線量を明記した掲示板を設けるなど、構内で従事する方々への周知を徹底しております」
「広野町さまへはご認識いただいております。近隣の楢葉町さまについてはお知らせはしておりません」
従業員や広野町の話と食い違っていた。また、作業員の健康被害についてはこう否定した。
「屋外作業時のマスク着用などの装備品による放射性物質の人体への付着、取り込み防止対策や、放射線量当量の限度値を設定するなどの社内ルールを定めて運用してきており、放射線による健康への影響はないものと考えております」
なぜ対応は遅れたのか。本誌はいつから高線量廃棄物の存在を把握していたかを再三、問い合わせたが、回答をこう拒否した。
「お話が何の情報に基づくものかわからない中で、お答えしかねます」
作業をしているゼネコンも取材したが、こう回答するばかりだった。
「場外へ搬出処分できないものについて、適切に管理するため、コンテナボックスに保管作業を実施したのは事実です」
事故から3年近く高線量廃棄物を“野ざらし”にしていたことに、問題はなかったのだろうか。本誌が入手した東電の担当者とゼネコンとのメールのやりとりでは、こんなくだりがあった。
<処分場で受け入れて頂くのに10年後か20年後になるかは不明ですがその時に、搬出します>
すべてを公にすべきだ。
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