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核のごみ:機構の理事長更迭へ…最終処分地選び促進
http://mainichi.jp/select/news/20140608k0000m010039000c.html
毎日新聞 2014年06月07日 20時24分(最終更新 06月08日 00時35分)
政府は、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定や建設・管理を担当する「原子力発電環境整備機構」(NUMO)の新理事長に、前内閣府原子力委員会委員長の近藤駿介氏(71)を充てる方向で調整に入った。機構は経済産業省所管の認可法人で、東京電力OBが理事長ポストを占めてきた。人事刷新で「核のごみ」の処分地選定を加速化させる。
一方、実質的な業務を担う副理事長には、関西電力元社長の藤(ふじ)洋作氏(76)を軸に調整している。山路亨(とおる)理事長(65)=東電出身=と、西塔(さいとう)雅彦副理事長=経産省出身=は任期を2年残しており、事実上の更迭となる。
機構は2000年に設置され、02年以降、自治体による公募方式で選定作業を始めたが候補地を決められなかった。政府は昨年末、選定を機構任せにせず、国が前面に出て複数の候補地を絞り込む方針に転換。機構組織の刷新も進めていた。
近藤氏は04年〜今年3月に原子力委員長を務めた。この間、政府による福島第1原発の廃炉工程表の作成を主導した。また、菅直人首相(当時)の指示で、福島第1原発の使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きれば首都圏を含む半径250キロに影響が及ぶとの「最悪シナリオ」を作成した。
藤氏は01年に関電社長に就任。11人の死傷者を出した美浜原発3号機事故(04年)の責任をとり、05年に辞任した。【中西拓司】
◇国民の信任は不透明
政府には、原子力専門家として国際的に知名度がある近藤駿介氏を起用することで、最終処分地選定を加速させるとともに、「トイレなきマンション」とされる原発のイメージを払拭(ふっしょく)して再稼働への道筋を整える狙いがある。
高レベル放射性廃棄物は、使用済み核燃料を再処理する過程で生じるが、ガラスで固めた直後の放射線量は人が浴びると20秒で死ぬほど高い。政府はこれらを地下300メートルより深い地層に埋める方針で、経済産業省専門部会は5月、「(地盤など)長期安定した場所を国内で選定できる見通しがついた」と結論付けたが、具体化していない。
現在、国内の使用済み核燃料は約1万7000トンで、再稼働すればさらに増える。候補地選定は喫緊の課題だが、機構が選定を始めてからの12年間に手を挙げたのは2007年の高知県東洋町のみ(後に取り下げ)にとどまる。
政府は、近藤氏について「候補地選定の起爆剤」(経産省幹部)と期待するが、福島事故当時は原子力委員長として政府側の当事者を務めていた経緯があり、国民の信任を得られるかは不透明だ。【中西拓司】
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