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大飯原発「再稼働」裁判「国富の喪失」とまで断じられて 「原発はもう動かすな」この判決をどう考えるべきか(週刊現代)
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/581.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 6 月 06 日 09:35:25: igsppGRN/E9PQ
 

大飯原発「再稼働」裁判「国富の喪失」とまで断じられて 「原発はもう動かすな」この判決をどう考えるべきか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39464
2014年06月06日(金) 週刊現代 :現代ビジネス


古賀茂明×若杉冽(『原発ホワイトアウト』著者)

福島の汚染水処理問題の解決もままならないというのに、安倍政権は勇み足で原発再稼働に突き進もうとしている。元エリート官僚と霞が関の覆面作家が、改めて原子力行政と電力業界の闇を暴く。

■原発の倫理学を提示した

若杉 5月21日、関西電力の大飯原発3・4号機をめぐって、「再稼働差し止め」の判決が福井地裁で出ました。福島の原発事故後、運転再開を認めないという判決が出たのは初めてのことですね。

菅義偉官房長官はすかさず、原子力規制委員会が安全性を確認した原発については再稼働させるという政府の方針は「まったく変わらない」と述べましたが、裁判で反原発派の主張が認められたことに安倍政権も関電も怒り心頭でしょう。ついに原発推進政権の自懐が始まった気がします。

古賀 判決文は「住民が生命を守り、生活を維持する権利の根幹を具体的に侵害する恐れがある」という内容で、原発の問題を人格権の観点から堂々と論じきった。原発の倫理学を提示したと言ってよいでしょう。人格権は原発稼働という経済的自由よりも上位にあるとして、少しでも危なければ動かしてはいけないという大原則を初めて明らかにしました。関電の会長・社長は、この判決文を胸に手を当てて読んでほしい。少しでも良心があるならば、納得して原発は止めようと思うはずです。

大飯原発に関しては、活断層の問題もあって、なかなか再稼働が難しいと言われてきましたが、関電は原発を動かさないと破綻する可能性があり、必死になっています。

今夏も、西日本は原発を稼働させないと、電力需給がギリギリのラインだというキャンペーンが行なわれているのに、節電などの数値目標は出さないことになっています。国民に本気で節電に取り組まれると、原発を再稼働したときに逆に電力が余ってしまうんです。

若杉 企業も一度本気で節電をしてみると意外にできてしまって、しかもコストダウンにつながるので、もう以前のように電力を使うのはやめようという話になります。だから電力会社としても、あまり節電されては困るんでしょうね。

いちばん近いところでは、九州電力の川内原発が今年の9月以降に再稼働する予定になっています。九電も経営状態が非常に苦しいので、かなり前のめりになっています。しかし、どんなに経営が苦しくても、彼らには「電気料金の値上げ」という切り札があるので、破綻は免れることになるでしょう。いまだに市場原理とは無縁の不健全な構造があるわけです。

古賀 海外に目を向けてみると、4月末に、テキサスの大手電力会社EFHが破綻しました。負債総額は400億ドル(約4兆円)で、かなりの規模ですが、アメリカではこのように潰すべき会社は潰している。同じ基準で考えるなら、関電や九電、北海道電力などは潰してしまったほうがいい状態でしょう。

若杉 日本では「電力会社が潰れると、電気が止まってしまって大停電になる」という神話を信じこまされていますが、そんなバカな話はあり得ません。会社が破綻しても、電力を供給しながら再建計画を立てればいいだけのことなんです。

古賀 やはり東電を破綻させなかったことが、大きな禍根になっていますね。東電を破綻処理して、政府が支援する条件として発電所を全部売却させていれば、とうに発送電分離はできていたはずなんです。

若杉 日経新聞などのメディアは「原発が止まったせいで燃料の輸入が増えて貿易赤字が拡大している」と騒いでいて、原発を再稼働しないと日本が凋落するかのように報じていますが、これもおかしな話です。確かに貿易赤字は増えていますが、実は燃料の輸入量は増えていないのです。

もっとも、今回の福井地裁の判決では、「原発停止で多額の貿易赤字が出るとしても、豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失だ」と言い切っています。まさに正論です。

■ゼロでも「成長」してるのに

古賀 日経新聞は貿易赤字の原因として必ず「原発が止まっているから」と言い続けてきましたが、さすがに最近はそういう論調を抑えてますね。むしろ円高の影響や輸出が伸びないことのほうが大きいという事実が明らかになって、自らの間違いに気が付き、恥ずかしくなったのでしょう。

そうなると客観的に見て、原発を動かす必要性がありません。ドイツやスイス、イタリアなど原発ゼロを目指している国が世界にはいくつもありますが、まだどこも達成できていません。一方、日本政府は必死になって「原発ゼロなんてありえない。必ず再稼働する」と言っているのに、実際は原発ゼロでやっている。なんだか皮肉な話ですよね。

若杉 原発が全部止まったら日本は破滅だとまで言われていたのに、景気は好調で、消費税も10%に上げても大丈夫だという状況になってきている。

現に原発ゼロでやっていけているし、再生可能エネルギーのコストも下がってきますから、経済的にこれからどんどん楽になるはずです。今年の夏も原発ゼロで乗り切って、再生可能エネルギーを経済成長の柱にしていけば莫大な投資が期待できるはずなんですが、安倍総理はあくまで、原発推進での成長戦略にこだわっていますね。

先日も、外遊でフランスを訪問したときに「もんじゅ」の延命策を打ち出しました。プルトニウムを燃やすために、国際共同開発としてもんじゅを使いましょうというわけです。放射性廃棄物も出るし、冷却材に金属ナトリウムを使用する非常に危険な構造であることは変わらないのに、「フランスの大統領と約束してしまったから、これはもう決定事項です」と国際公約にしてしまう。

古賀 安倍総理らしいやり口ですよね。まずは海外で発表して、決まったことにしてしまうという……。新聞にも「もんじゅ延命」と書かれると、大きな記事になってしまいますが、「フランス政府と合意」となると、問題点がぼやけてわからなくなりますから。最近はマスコミも、政府の原発政策に対する矛先が鈍ってきていますしね。

■福島は利権のカタマリに

若杉 都知事選での細川・小泉両氏に関する報道もひどかったですね。正直、あの二人が名乗りを上げた当初は私も期待しました。霞が関の連中も、明らかにびくついていましたよ。ところが蓋を開けてみると、テレビではほとんど小泉氏は映らないし、意外なくらいに盛り上がらなかった。

古賀 一方で、安倍政権は着実に原発政策を進めようとしています。「世界最高水準」の安全性という大法螺を吹いて、成長戦略の柱に、などと宣伝していますが、そうなると今度はいくらカネがあっても足りないはずです。

現在、イギリス政府は原発を推進していますが、安全基準が厳しくなりコストが高くなって、民間にそっぽを向かれてしまった。そこで、風力や太陽光と同じように原子力のエネルギーも買い取り制度の対象にしました。

政府が高く電気を買ってあげるから、原発を作りなさいというのですから驚きですよね。しかも買い取りのための補助は35年保証で、実質的には洋上風力発電により大きい。原子力は、そこまでしないとペイしないほど高コストなエネルギーになっているのです。

若杉 原発で作られた電気が安いと信じているのは、もはや日本だけです。今、日本では原発1基作るのに5000億円と見積もられていますが、世界最高水準の安全性を目指すのであれば、そんなに安く上がるはずがありません。少なくとも兆を超える額になるはずです。

古賀 日本は、なまじ技術力があるため、自分たちで原発を作り、安全基準も都合よく設定してしまいます。逆に途上国は、米国やフランスの原発を輸入する場合、安全基準もそのまま輸入するので、日本より基準が厳しいこともある。

若杉 日本もアメリカの原発をそのまま輸入していれば、今頃、再稼働する気にはならなかったかもしれませんね。国産の原発となると、さまざまな利権に群がる企業が出てきて、なかなかやめられなくなりますから……。

古賀 いまや、福島では新しい利権システムが完全にでき上がってしまいました。東電ができないなら、国が何でもかんでもサポートしてくれるのですから、それも当然です。汚染水のタンクの発注から、遮水壁、凍土壁、廃炉まで、何兆円もの公共事業を経産省がすべて差配している。談合をくり返してきた国交省とまったく同じやり口です。

鹿島建設と東電が共同で遮水壁を落札したときも、公募期間が20日間で、もちろん応募は彼らだけ。他社は参入する時間の余裕がないですからね。表向きは「世界の叡智を集めて問題解決に当たる」なんて言っていますが、実態はひどいものですよ。

若杉 本当は既存のシステムを壊していくチャンスなのに、昔通りの談合で誰も文句を言わない。それどころか、「次のオイシイ話はうちにください」と砂糖の山に群がる蟻みたいになっています。そのような状況では、どうしても安全基準は二の次になってくる。

そもそも日本みたいに地震が多い国で、これだけ原発があるということ自体が異常です。アメリカでは原子力規制委員会がストップをかけたら、絶対に安全だということを証明しなければ原発を作れません。

古賀 日本ではそこが真逆なんですね。規制委員会が危ないと判断するなら、逆に証拠を出せと言われる。大飯原発の断層の問題にしても、規制委員会が一生懸命に調査をして、これは絶対に活断層だと証明しなければいけない。

「活断層かどうかわからないけれども、その可能性がある。もし事故が起きたらたいへんなことになるから原発を作るのはやめておこう」という当たり前の発想ができないんです。

若杉 避難経路の問題もまったく同じです。事故が起きた際には数時間でメルトダウンし、ベントして原子炉内の空気を抜く必要が出てくるため、近隣の人たちは避難しなければいけないのですが、そのシミュレーションが甘すぎます。

事故のときには、皆マイカーで逃げ出すに決まっているので、渋滞が起こるはずなのに、それをきちんと計算しない。この前静岡県が真面目に試算したところ、浜岡原発の周囲31q圏からの避難が完了するのに30時間以上かかるとわかりましたが、これではとても間に合いません。

古賀 地震や津波で道路が破壊されていたら、もっとかかるに決まっている。

普通の国では、事故が起こった場合の避難対策まで含めて安全基準を考えています。ところが、日本の規制委員会は「避難対策は私たちの責任の範疇にない」と言って、国や自治体に丸投げしてしまっている。自治体にしても目先のカネのために再稼働を待ち望んでいるところが多いですから、世界一の安全基準なんて机上の空論ですよ。

■少しは反省しましょうよ

若杉 再稼働が予定されている鹿児島の川内原発なんて、隣の熊本県が「私たちはカネをもらっていないから、避難民がうちに入って来ない計画にしてくれ」なんて言っています。しかし実際に事故があれば、熊本に避難民が殺到することは明らかです。

福島の事故から3年もたっているのに、結局なにも学んでいないんです。いざ事故が起きたら警察も消防も自衛隊もみんな投入しなければいけないのに、総合的な避難計画を立てるための音頭を誰も取ろうとしません。本気でやるならば、原発を推進している経産省が表に立つべきなんでしょうが、福島の事故以来、「戦犯官庁」として頭を下げてばかりなので、とても新しい計画を提案するどころじゃないのでしょう。

古賀 川内原発の近くには甑島があります。その島民の避難がいちばん難しい。船で逃げなければならないのですが、民間のフェリーに被曝を覚悟で救出に行けと言えるのか。台風が来て航行できなかったらどうするのか―確認しておくべき問題は山積しています。アメリカだと、特別な救助隊が組まれていて、最後の最後に突入する人は「被曝の限度を上回っていても現場に行きます」と、事前に契約書にサインをしています。そこまで危機管理が徹底しているんです。

日本はあれだけの事故を経験しているのに、今また「安全神話」が復活しようとしている。関電は、福井地裁の判決が出た翌22日に控訴しました。喉元過ぎれば熱さ忘れる、というような気持ちでいると、間違いなく取り返しのつかないことになりますよ。


わかすぎ・れつ/現役のキャリア官僚の立場にありながら、経産省と電力業界、政界の闇を告発した小説『原発ホワイトアウト』を発表、ベストセラーに

こが・しげあき/1955年生まれ。元経産官僚。大阪府市エネルギー戦略会議で大飯原発再稼働反対を提言。著書に『日本中枢の崩壊』『原発の倫理学』など

 

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コメント
 
01. 2014年6月06日 23:38:09 : gli9B2RAJ6
うちの近くに建売住宅が15棟くらい建ちました。
オール電化ですって!

電気料なんかどんどん上げれば良いでしょ!

こんな家を買うばかがいなくなるまで!


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