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独、廃炉費用どう負担 脱原発決定から3年 官民、水面下でさや当て
ドイツが2022年までに段階的に「脱原発」すると決めてから30日で3年を迎える。発電量に占める原発比率は3年で7ポイント低下の15%となり順調にみえるが、大きな課題になっているのが、脱原発にかかる費用を官民がどう負担するかだ。ここに来て廃炉費用の一部を政府が肩代わりする構想が浮上。国策民営で進めた原発の「出口」を巡る議論は日本にも影響が及びそうだ。
「原子力売り出し中」。23日の独紙ハンデルスブラットにこんな見出しが躍った。民間の電力会社が保有、運営する原発の廃炉を官民共同出資の組織に移す構想があるとの内容だ。金融機関の再建のため不良債権の受け皿を別につくる手法に模して原発版「バッドバンク」とも呼ばれる。ドイツの原発は11年以降に停止した8基、運転中で22年までに停止する9基、廃炉作業に着手済みの16基の計33基。電力会社が積み立ててきた廃炉準備金は360億ユーロ(約5兆円)。1基あたりの廃炉費用は数十億ユーロとされ準備金だけで足りるのかという不安は当初からあった。
そこに政府が22年という脱原発の期限を区切り、廃炉費用が増える可能性が高まった。5月中旬にはエーオン、RWE、EnBWの独電力3社の原発を政府が関与する別組織に移す案をつくっていると独誌が報じた。
電力会社には、廃炉費用が膨らめば他の事業に影響が出るとの不安が募る。政府内にも電力の安定供給を維持するため、一定の負担を検討する声が出ているようだ。水面下で負担のあり方を巡り官民のさや当てが続く。
もう一つ政府を悩ませるのが、核燃料税を巡る行政訴訟だ。メルケル首相は10年秋にいったんはシュレーダー前政権時代の脱原発方針を転換し、原発の運転期間を平均12年延長する方針を決めた。その際、電力会社は引き換えに核燃料税を支払うことで合意した。
その後メルケル政権は「脱原発」に回帰したが、核燃料税の徴収は続いている。株主訴訟リスクも抱える電力会社は、支払った税金の返還を求める訴訟を起こした。4月にはハンブルクの裁判所が、原告のエーオンに17億ユーロを返還するよう命令。判決は確定ではないが、同じく訴訟を起こしたRWE分とあわせて計22億ユーロを政府が返還する可能性が高まってきた。
独世論は今も脱原発を支持する声が多い。主要政党も足並みをそろえ、脱原発政策自体が揺らぐことはなさそうだ。ただ急激な電気料金の上昇など様々なひずみへの対策を迫られている。
(フランクフルト=加藤貴行)
[日経新聞5月30日朝刊P.6]
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