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お母さんのための原発資料展望(11) ホルミシスの反逆
http://takedanet.com/2014/05/post_58ff.html
平成26年5月24日 武田邦彦(中部大学)
放射線の被曝に「ホルミシス効果」があると言われているが、一般的には耳慣れない用語だが、医学や生物防御を少しは勉強した人でホルミシス効果を知らない人はいない。細菌やウィルスの場合の免疫という概念や、生物の自己防御、馴化などはいずれもホルミシスで、別に被曝に特有のものではない。
一方、「無菌状態で生活すると病気に対する抵抗力がない」とか、「細菌の多い川で沐浴していると下痢にならない」など誰でも知っている。それと同じで、生物は外から攻撃を受けると体内にその防御系ができる。これがホルミシス効果である。私があるテレビで「ホルミシス効果は当然ですよ」と言ったら、悪意の人が「武田の裏切り」と書いていたが、まったく誠実味の無い人だ。
被曝の限度を1年1ミリシーベルト決定したのは、「ホルミシス効果を良く知っている日本の専門家集団」であり、もちろんホルミシス効果は考慮に入っている。しかし、研究と議論の結果、「被曝による被害は交通事故並」ということで、1年1ミリシーベルトの限度が決まった。国立がんセンターによると、10万人に6.6人が「死ぬかそれと同程度の打撃を受ける」としており、それは日本全体では1年に8000人に当たる。
交通事故死が5000人程度だからおおよそ原発の事故などで国民が被害を受ける限度を交通事故並とした結果である。お母さんにしてみれば、交通事故が2倍になる感じだから、これでも「原発のためにそんな危険にさらされるの!」と怒るかも知れない。
ところが、事故が起きてから政府が法令を隠そうとし、御用学者が被曝の影響を少なく見せようとして動いたことに合わせ、「ホルミシス効果の専門家」と称する人が、「ホルミシス効果から考えると、1年1ミリシーベルトなど間違いだ」と言い、人によっては「悪法も法だ」と言うのは間違いだとまで言うようになった。
日本人の被ばく限度は、日本の専門家が集まり、研究と議論を重ね、慎重に決められたもので、その最初の適応例が不幸にも福島原発事故になった。その最初の時に「自分が決めた規則」を守ろうとしないなら、何のために規則を決めたのだろうか?
もちろん規制を決める時からホルミシス効果を大きいと言う学者もいたが、採用されなかったというだけで、それを事故が起こり、多くの人が被曝している最中に社会に発信した場合、もし病気の人がでたら、犯罪になる。これはイタリアの地震予知と同じである。
ホルミシス効果を唱えて、1年1ミリシーベルト以上の被曝を容認する発言をした学者は、法令に背いて危険を煽ったわけだから、甲状腺ガンなどの被害者には金銭の補償が必要だ。
学者は学問の自由を持っているが、それは内的・精神的なもので、実行力を持つことは許されない。だから、国の委員会で発言したり、「法令を破っても良い」と危険に瀕している人たちに言って被害を出したら、責任は免れない。1年1ミリシーベルト以上の被曝は大丈夫と国民に言う人は、「病気がでたら責任を取る」という覚悟でやってもらいたいし、もともとやるべきことではない。
安楽死を研究するのは学問の自由で問題がないが、患者に具体的に安楽死を施すと犯罪になる。これと同じである。こんな単純な理屈が理解できない人は学問を止めたほうが良いと思う。
ところで、法令は別にして、学問的にはどうだろうか?
被曝の程度と病気の関係は「わかっていない」。つまり学説によって1000倍も違うので、まだ「学説」段階だ。学問は、1)訳が分からない時期、2)学説が対立する時期、3)真実が分かった時期、の3つの時期があり、被曝と健康は現在のところ第二段階にある。学説が対立している時には、学者はそれが良く分かっているのだから、自制して自らの学説だけを一般人に言うことを厳に慎まなければならない。
専門家はずるいな・・・と私はややがっかりする。
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