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前双葉町長が憤る「“放射能で鼻血”は風評ではなく実害」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140522-00010003-jisin-soci
週刊FLASH 6月3日号
拡大する「ビックコミックスピリッツ」の『美味しんぼ』騒動。福島原発を取材した主人公の山岡士郎が、極度の疲労を訴え、突然、鼻血を出す……。『美味しんぼ』で描かれたこの場面に、石原伸晃環境相が「何を訴えようとしているのかまったく理解できない」と不快感をあらわにするなど、大騒動となった。
漫画に実名で登場しているのが、福島県双葉町の前町長・井戸川克隆氏だ。自らも鼻血が出ると明かし、その理由を「被ばくしたから」と語っている。さらに「今の福島に住んではいけない」という発言に、地元の双葉町は「許しがたい風評被害」と小学館に抗議文を送った。はたして「放射能と鼻血」に因果関係はあるのか。埼玉県内で避難生活を続ける井戸川さんを訪ねた。
「『美味しんぼ』で話したことはすべて真実です。鼻血はほとんど毎朝出ていますよ。私だけじゃない。福島には同じ症状の人が大勢います。今日も旧町民から電話があって、双葉町が『鼻血が出ている者はいない』と言っているのはおかしいと。別の人からは『鼻血のことは言うな』と口止めされたと聞いています」
鼻血だけではない。あるとき銭湯に行ったら、ほかの客に『あんた、足がきれいだね』と言われて驚いた。もともと毛深い体質なのに、すね毛がすっかりなくなり、女性の肌のようにツルツルになっていたのだ。異変は次々と現れた。
「事故直後から喉がずっといがらっぽいし、朝起きるとこのへん(胸の上あたり)が焼けるようにジリジリするんです。じつは病院のエコー検査で甲状腺にしこりがあると診断されています。血小板が少ないとも言われました」
井戸川氏は被曝している。’11年3月12日夕刻、双葉町の福祉施設「ヘルスケアー」には取り残された300人ほどが集まっていた。井戸川氏は町長として避難誘導をしていた。そのとき、鈍い爆発音が響く。福島第1原発の1号炉が水素爆発を起こしたのだ。その直後、ぼたん雪のように黄色い破片が降ってきた。
「原発建屋に使っていた断熱材でした。軽いから風に乗って飛んできたんです。目に見えない放射性物質も一緒に降っていたはずです。線量計は針が振り切れてピーッと鳴っていましたよ。『もうこれで死ぬのか』と思いました。私は原発事故直後に大量の放射能を浴びている。その事実は誰も否定できないでしょう」
井戸川氏はチェルノブイリを訪れている。そこで感じたのは、事故後の福島との違いだったという。
「チェルノブイリでは年間1ミリシーベルト以下が居住地域で、1ミリシーベルトを超えると移住する権利が発生する。5ミリシーベルトを超えると移住が義務になるんです。福島の避難基準は20ミリシーベルトです。チェルノブイリより甘い基準で、ひたすら『安全、安全』とだけ言って県民に本当のことを伝えていない。放射能のあるところにニコニコして住めなんて、外の人間に言われる筋はない。だから私は『福島に住んではいけない』と言っているんです」
井戸川氏の怒りは収まらない。
「石原大臣は私の発言を疑っているようですが、それなら石原さんにあえて言いたい。疑うのなら、自分が被ばくしてみろと」
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