02. 2014年5月21日 15:41:33
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鼻血が放射線による急性障害によるものだとしたら、粘膜に付着したくらいでは科学的にありえないということらしいね つまり議論の前提が放射脳とは違うということだろう http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014051200007.html 《112》 鼻血漫画をバネにして進めるべきこと 坪倉正治 (つぼくら・まさはる) 2014年5月13日 Clip to Evernote mixiチェック 最近、とある漫画で、鼻血の件が話題になっているのを知りました。 確かに大量の放射線(現在の福島県内の1時間あたりに浴びる空間線量の100万倍とか、そういう大量の場合です)の被曝により、出血傾向となり、鼻血が出ることはあります。 人間は骨の中にある骨髄という場所で血液を作っていますが、大量の被曝によって血液を作る細胞などがダメージを受けて、血液を作ることができなくなります。 その際、血小板という出血を止める糊のようなものが減ってしまって出血しやすくなります。ただこの場合の出血は、「鼻血が出た」という表現で済むレベルではありません。血を止めるすべがなくなってしまう訳ですから、実際の粘膜を焼灼しなければ失血死するリスクすら負うような厳しいものです。 身体からすれば、出血しやすい場所は鼻だけというわけではなく、歯を磨けば歯茎から血が止まりませんし、どこかをぶつければ大きなあざになりますし、痔や生理なども問題になります。 骨髄で血小板を作れなくなり、出血傾向になるのは白血病も同様です。実際の白血病の初回治療時には、生理を止めるために女性ホルモン剤を使用します。 話が逸れました。繰り返しになりますが、これは大量の被曝の際の問題なのです。たとえば、頭のCT検査(現在の南相馬市内で受ける外部被曝の数年分を、一瞬で浴びるレベルになります)やレントゲン検査で鼻血には誰もなりません。誰も、です。 空気中の放射性物質が粘膜に付着することによって起こりうるとか色々おっしゃる方もいますが、いずれにせよ現状の福島県内のダストサンプリング含む被曝線量の検査結果から考えれば、噴飯物の話です。鼻血が医学的に放射線被曝との因果関係を疑う必要のある状況にはありません。南相馬市や相馬市でそんな患者さんが増えていることは、震災直後も含めて全くありません。 この話を聞いて私の頭に思い浮かんだことは、今まで放射線の授業もしてきた福島県浜通りの中学生や高校生が、どこかでこの話をされた時に、きちんと自分の言葉で説明できるだろうか?ということです。 ただ、一言です。 「放射線の影響は量の問題です。福島県内での線量については、これこれという検査がされていて、そんな線量にはありませんよ」とだけでも、言えるようになってほしいと思っています。 3年経った今でも、現状で起きることはありえない急性放射線障害にまつわるような風説が流布されるような状況があるのだと言えるでしょう。今後もきっと何らかの形で、同じような話が繰り返されるのだろうと思います。 でも、「どうやら違うらしいよ」という認識だけで終わらないでほしい。そのエネルギーは、批判したり、抗議したりといった他罰的な方向ではなく、子供達が自信を持って生活していくために、必要な情報を現場の子供達にいかに伝えるかという方向に向かってほしい。特に子供達みんなが、今回のようなことに対して、自分の言葉で一言でも良いから説明できるようになるきっかけになってほしいのです。 福島県内だけではなく、可能であれば日本全国で考えるべきことなのです。きっと教育なのでしょうけれど、家庭でも、学校でも、誰かが子供達に少し伝えてあげるだけで良いのだと思います。 この週末、南相馬でICRPのダイアログがあったので参加してきました。 最後のまとめで、色々な問題で苦しんでいる南相馬の住民や参加者に向けて Life is a gift to be enjoyed, not a problem to be solved. 人生は享受されるべき贈り物であり、解決されるべき問題では無い。 という話が出たのが印象的でした。 坪倉正治 (つぼくら・まさはる) 東京大医科研医師(血液内科)、南相馬市立総合病院非常勤医。週の半分は福島で医療支援に従事。原発事故による内部被曝を心配する被災者の相談にも応じている。 坪倉正治さんインタビュー 健康・医療フォーラム2012 |