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消えた汚染水
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2014/05/post-3ef6.html
2014.05.18 きっこのブログ
5月15日と16日、新聞やネットニュースの社会面は「美味しんぼ」の件と「集団的自衛権」のことで埋められてたけど、その裏で小さくコッソリと報じられた福島第一原発に関する2つのニュースが、あたしの目にとまった。15日に報じられた「3号機の漏水箇所を初めて特定した」というニュースと、16日の「港湾内と港湾外から過去最高値の放射性物質を検出した」というニュースだ。
まず、16日のニュースから要点だけを書くと、福島第一原発の港湾内と港湾外の5カ所で定期的に計測してる海水の汚染度が、港湾内も港湾外も過去最高値を更新したというもの。新聞の記事によると、12日の測定で、港湾内では先月の計測で1リットルあたり1400ベクレルだったトリチウムが1900ベクレルに、先月の計測で540ベクレルだったストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が840ベクレルに、それぞれ上昇して過去最高値を更新した、とのこと。
また、港湾外でも、港湾のすぐ外の北側の計測ポイントでトリチウムが8.7ベクレルと過去最高値、さらには港湾の南へ3キロの沖でもトリチウムが4.3ベクレル検出され、これまでの最高値の2倍超を記録した。港湾内の濃度と比べれば、この1リットルあたりの量は少なく思えるかもしれないけど、そう思った人は、海にどれだけの海水があるのかを想像してみてほしい。3キロも離れた沖でもこれだけの数値が出ているということは、このエリアの海にどれほどの放射性物質が流出し続けているのか、それは、「想像を絶する量」だということだ。
‥‥そんなワケで、今回も「いかがお過ごしですか?」は省略して先へ進むけど、港湾内の数値が過去最高値の1.5倍以上になり、港湾外の数値が過去最高値の2倍以上になったことに対して、東電は「原因は分かりません」とコメントした。海では自然界に存在しない放射性物質の濃度がどんどん上昇し続けていて、原発からは高濃度の放射能汚染水が来る日も来る日も大量に海へ流出してるのだから、「原因」は小学生でも分かると思うんだけど、東電には「分からない」そうだ。
で、この前日の15日には、「3号機の漏水箇所を初めて特定した」というニュースが小さく報じられた。これも簡単に説明すると、これまでまったく分からなかった3号機の漏水箇所について、事故後、初めて、配管の継ぎ目から漏れていることを確認した、というもの。ただし、今回見つかった場所からは「鉛筆2〜4本程度の太さの水が漏れている」だけなので、「溶け落ちた核燃料を冷やすための毎時4.5トンの注水よりも遥かに少なく、東電は他にも漏水箇所があるとみている」というもの。
ここで驚くべきことは、事故から3年以上も経って、ようやく漏水箇所が1カ所だけ見つかった、ということだ。ちなみに、1号機は去年の11月に2カ所の漏水箇所が見つかってるけど、もちろん、それ以外の漏水箇所は見つかってない。2号機は、未だに1カ所も見つかってない。そして、今回、3号機に1カ所だけ、初めて見つかったってワケだ。
‥‥そんなワケで、ここで、1号機から4号機まで、現在の状況を説明しておく。まず、1号機は、溶け落ちた核燃料が床のコンクリートまで溶かしてる可能性が指摘されてて、どんどん注水を続けて冷やし続けてるけど、内部の状況がまったく分からないから、手がつけられない状態だ。水位は推定で280センチくらいあると言われてるけど、毎時1万ミリシーベルトを超える放射線が出続けているので人間が近づくことはできない。そして、使用済み核燃料が392体あり、地下には高濃度汚染水が約1万3800トン溜まっていると推測されている。
続いて、2号機は、溶け落ちた核燃料は何とか容器の底に留まっていると推測されてるけど、水位はわずか60センチしかなく、どんどん注水している冷却水はどんどん漏れている。放射線量は最も高く、最大で毎時7万ミリシーベルトを超える殺人的な放射線が出続けている。使用済み核燃料が615体あり、地下には高濃度汚染水が約2万700トン溜まっていると推測されている。
3号機も、2号機と同じく、溶け落ちた核燃料は何とか容器の底に留まっていると推測されてるけど、これも東電による「希望的観測」なので、実際のことは何も分かっていない。水位は3基の中では最も高くて、約800センチほどをキープしてるけど、これもどんどん注水してるからの話で、注水をやめたら数時間で核燃料が剥き出しになってしまう。放射線量は毎時5000ミリシーベルト、3基の中では最も低いが、とても人間が作業できるレベルではない。使用済み核燃料が566体あり、地下には高濃度汚染水が約2万3000トン溜まっていると推測されている。
4号機は、皆さんご存知の通り、事故時には点検中で核燃料が抜かれていたから、原子炉そのものは大事故は起こしていない。しかし、事故時には1500体を超える使用済み核燃料があり、クレーンで移送を続けている現在でも700体以上が残っている。放射線量は0.5ミリシーベル前後なので、短時間であれば人間が近づくことができる。地下には高濃度汚染水が約1万7300トン溜まっていると推測されている。
これが、1号機から4号機までの現在の状況だ。で、現在は、4号機の冷却用プールから使用済み核燃料を移送する作業を続けてるワケだけど、ここまでの説明を読めば分かるように、これは、4号機が原子炉の事故を起こしていないから作業できてるワケだ。1号機から3号機までは、冷却用プールから使用済み核燃料を移送するどころか、中がどうなっているのか確認することすらできないのが現状だ。
だから、今回、3号機の漏水箇所が見つかったというのも、遠隔操作のカメラを使って、ようやく見つけられたワケで、他の漏水箇所が見つかるのは、何ヶ月先になるか、何年先になるか、まったく分からない。何しろ、人間が近づくことができないのだから。
‥‥そんなワケで、あたしには、ずっと不思議に思ってることがある。それは、1号機から3号機までを冷却し続けている大量の水の行先だ。今回、3号機の漏水箇所が見つかったというニュースでは、「(配管の継ぎ目からの漏水は)溶け落ちた核燃料を冷やすための毎時4.5トンの注水よりも遥かに少なく、東電は他にも漏水箇所があるとみている」と報じられたので、3号機は1時間に4.5トンの水を注入し続けているということが分かる。
これも、小学生でも分かることだけど、1時間に4.5トンの水を注入し続けているということは、1時間に4.5トンの水が漏れ続けてるということになるよね。漏れてる量よりも入れてる量のほうが多かったら、そのうち上から溢れちゃうし、少なかったら冷却できないからだ。で、東電は、今年の1月に、1号機の冷却状況について、「現在、1号機には毎時4.4トンの注水を続けて冷却しているが、そのうち毎時3.4トンが圧力抑制室付近から漏水していたことが分かった」と発表した。
ようするに、事故から3年以上が経った現在、1号機から3号機までで分かったことは、1号機の圧力抑制室付近と3号機の配管の継ぎ目から水が漏れているということだけで、それ以外はまったく分からない、ということだ。そして、この3つの原子炉に注入し続けている毎時15トンもの大量の水が、いったいどこへ消えているのか、それもまったく分かっていない。
事故から1年後の2012年3月、東電は「2号機に注水している冷却水がすべてどこからか漏れていた」ということをようやく認めたけど、この時点では、2号機だけでも毎時8トン、3基合わせると毎時20トン以上、1日に500トンの水を注入し続けていた。それが上から溢れずに消えてなくなってるんだから、下から漏れてるに決まってんじゃん。こんなことを認めるのに1年も掛かったんだから、まるでギャグ漫画だ。
‥‥そんなワケで、東電のこれまでの工程表を見てみると、冷却用の注水をなるべく「必要最小限」にするように努力してきたことが分かる。事故直後は、2号機だけでも一気に75トンも注水し、その後も毎時60トンずつ注水し続けた。それを少しずつ減らしてきて、3基合わせて毎時20トンでしばらく横ばいして、ここ1年で、また少しずつ減らしてきた。今回、配管の継ぎ目から漏水してたことが分かった3号機も、今年の1月までは毎時5.5トンを注水してたけど、今は毎時4.5トンになった。
だけど、現在でも、3基合わせて毎時約15トン、1日に360トンもの水を注入し続けている。そして、これほど大量の水が、溶け落ちた核燃料に触れて高濃度に汚染され、原子炉や配管の複数の場所から漏れ続け、地下や周辺の土壌へと流出し続けているのだ。
一方、東電は、毎日汲み上げて巨大な貯水タンクに溜め続けてる汚染水について、「山のほうから流れてくる地下水が1日に400トンほどあり、それが原子炉の周辺で汚染されて汚染水になっている」「毎日400トンの地下水を汲み上げないと溢れてしまう」と説明した。だから、流れてくる地下水を原発より手前の「まだ汚染されていない段階」で汲み上げて海へ放出する「地下水バイパス計画」なんてのを発表して、周辺の漁協の了解も取り付け、今月の21日から放水を始めることになった。
でも、そしたら、3つの原子炉に注水し続けて、どこからか漏れて、どこかへ消えてる、毎日360トンの高濃度汚染水はどこへ行ってるの?さらに言わせてもらえば、東電が「1日400トンの地下水を汲み上げないと溢れてしまう」と発表した時点では、3つの原子炉に注入してた水の量は毎時17〜18トン、1日に408〜432トンだったんだよね。
さっきの1号機から4号機までの現状の説明のとこで、それぞれの原子炉建屋の地下室に溜まってる高濃度汚染水の膨大な量も書いたけど、それぞれの地下室が完全に防水になってたら、とっくに上から溢れてるだろう。地下室のいろんな隙間から外部へ漏れ続けてることは、簡単に想像できる。
ここまで書けば、あたしの疑問は分かったと思うけど、「ホントに地下水なんか流れて来てるの?」ってことだ。もちろん、ある程度の地下水は流れて来てるだろうけど、「毎日400トンずつ汲み上げ続けないと溢れてしまうほどの汚染水が、ホントにぜんぶ地下水なの?」ってことだ。そして、ホントにぜんぶ地下水だと言うのなら、「毎日どこかへ消えてる360トンの高濃度汚染水は、いったいどこへ行ってるの?」ってことだ。つーか、今年1月の東電の最新の工程表には「汚染水をできるだけ減らすために各原子炉への注水量を減らす」って書いてある。なんだ、東電自身が「注水した水が汚染水になってる」って認めてんじゃん。
今回の「地下水バイパス計画」では、当初、試し掘りした汲み上げ用の井戸から採取した地下水のサンプルから、次々と放出基準値を超えた放射性物質が検出された。あたしが記憶してるだけでも3回は基準値を超えたと報道された。それなのに、福島県のすべての漁協がこの計画を容認したとたんに、東電は「これまでに汲み上げた約500トンの地下水の汚染度が放出基準値以下だと分かったので、早ければ21日から海への放出を開始する」と発表したのだ。
‥‥そんなワケで、今年の1月には、福島第一原発から40キロもはなれた、いわき市の沿岸で獲れたクロダイから1キログラムあたり1万2400ベクレルもの高濃度の放射性セシウムが検出され、今月12日には港湾内でも港湾外でも3キロ沖でも過去最高値の放射性物質が検出されたのに、ホントに東電の発表を鵜呑みにして放水なんかさせてもいいの?百歩ゆずって、最初のうちは基準値以下の汚染水だけを放出するかもしれないけど、嘘に嘘を重ねてきた東電なんだから、そのうちまたお得意の「現場の作業員が開閉レバーを間違えた」とか何とか言って、故意に20億ベクレルの汚染水を放出しちゃうんじゃないの?‥‥ってワケで、とりあえず、あたしは、「汚染水は港湾内で完全にブロックされている」と断言した安倍晋三に、港湾外や3キロも沖からも過去最高値の放射性物質が検出された件について、きちんと説明責任も果たしてもらいたいと思ってる今日この頃なのだ。
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