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福島県地域別の心臓奇形の発生率〜相双地区は上昇しているのか?(おしどりマコ)
http://no-border.asia/archives/21285
2014年05月17日 DAILY NOBORDER
平成25年8月20日の第12回福島県県民健康管理調査検討委員会で発表された「妊産婦に関する調査」について、気になる点があった。
筆者は調査と取材を続けてきたが、中間報告としてまとめる。
3行まとめ
1.福島県相双地区において、平成23年度と24年度を比較すると、新生児の心臓奇形率の上昇がみられるのではないか。
2.県全体の平均のみで判断するのではなく、地域別、時期別の調査も必要ではないか。
3.小児甲状腺のみを議論するのではなく、「原発事故の影響は無い」と結論づけるのでもなく、様々な健康問題を調査する必要があるのではないか。
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第11回福島県民健康管理調査検討委員会での発表はこうある。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/6448.pdf
「平成23年度の集計をみると、県内各地域で若干の差は認めるものの、全国平均と比べ早産率は高くなかった。また、単胎出生児の先天奇形・異常の発生率は全県で2.7%であり、一般的な出生時の先天奇形・異常の発見率3−5パーセントと同様であった。先天奇形・異常の中で最も高かったものは心臓奇形0.86%であったが、これは心臓奇形の自然発生率約1%と変わらなかった。」
この会見で筆者は、いくつか質問をした。
全国平均ではなく、事故以前の福島県の同様のデータとの比較はできないのか問うと、
そのような調査は行っていなかったので、事故以前との比較ができないため全国平均と比較した、とのこと。
「県内各地域で若干の差」というものはどのようなものか具体的に発表していただけるか、には検討するとの回答を頂けた。
チェルノブイリ原発事故後、チェルノブイリ・ハートと呼ばれる新生児の心臓奇形が増加した。
(『チェルノブイリ・被害の全貌』岩波書店刊、ベラルーシ・ベルラド研究所)
福島県の発表では「先天奇形・異常の中で最も高かったものは心臓奇形0.86%であった」とあるが、
原発事故以前の日本でも、先天性心疾患は最も多く見られる先天性の奇形である。
これは日本母性保護産婦人科学会などの調査等において発表されている。
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そして次回に地域ごとのデータが発表された。
第12回福島県民健康管理調査検討委員会において配布された妊産婦に関する調査は下記である。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/6439.pdf
対象者は以下である。
平成23年度においては
○平成22年8月1日から平成23年7月31日までに、県内各市町村において母子健康手帳を交付された方。
○県外市区町村から母子健康手帳を交付された方のうち、県内に転入または滞在して3月11日以降に県内で妊婦健診を受信や分娩した方(いわゆる里帰りをした方)
平成24年度においては
○平成23年8月1日から平成24年7月31日までに県内各市町村において母子健康手帳を交付された方。
○上記期間うちに県外市区町村から母子健康手帳を交付された方のうち、県内で妊婦健診を受信し分娩された方。(いわゆる里帰り分娩をした方。)
この回では様々な情報が発表された。
筆者は2014年2月3月にドイツ・ベラルーシで行われたIPPNW(核戦争防止国際医師会議)に出席したが、その際に「チェルノブイリ原発事故後に目立って増加した奇形は、心臓奇形、多肢症、腎臓奇形」という報告を数回耳にした。
様々な問題が気にかかるが、まず心臓奇形について調べてみた。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/6439.pdf
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/6439.pdf
これは偏りがあるように見えるが、出生数で割り、パーセンテージを出してみないとわからない。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/6439.pdf
エクセルの表にしてみたものが下記である。
おしどりマコ作
発生数/出生数で出したパーセンテージを、福島県の地域別の地図上に載せる。
青字が平成23年度で、赤字が平成24年度の発生率である。
おしどりマコ・ケン作画
福島県全体の数字を見ると、変化が無いように見えるのだが、地域別で見るとかなり上下しているように見える。
筆者は統計学に造詣が無いため、統計学の専門家数名に見ていただいた。
すると、
平成23年度と24年度の比較において、相双地区に関しては意味のある心臓奇形率の上昇がみられた可能性がある、県北地区の心臓奇形率の低下も意味のある低下といえそうである、
相双地区の心臓奇形の発生率の上昇は有意である、などのコメントを得た。
ちなみに、福島第一原発があるのが相双地区である。原発事故後4か月の行動記録から外部被ばく線量を推定した基本調査を見ても、相双地区の外部被ばく線量が高いことが推定される。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/51045.pdf
放射線防護の大学研究者に取材すると、重要な情報だが、年度の区切りではなく第何週のときに原発事故があったか、何か月のときにどれくらい線量を浴びたのか、というような、もう少し詳細な調査、情報が必要ではないか、とのことであった。
チェルノブイリ原発事故と比較して、問題ない、ということを言う研究者もいるが、人口密度が全く違う、放出放射線量・被ばく線量は低くても、日本のほうがはるかに人口密度が高いので、リスクとしてかなり低い数字であっても、実数として出現してしまうのではないか、とも話していた。
小児の循環器の医師にも何名も取材したが、このような地域差の上下はわからない、とのことであった。
しかし「自分の子供に問題が発生するということは、数%の発生率ではなく、100%の問題になる。それに原発事故の影響があるのか無いのか、今の医学、科学では結論づけることはできないはずだ。影響はわからない、という視点で調査をするべきだ。」と言う医師は多数いた。
この取材において、何人かの医師・研究者は、実名でのコメントの許可を得た。しかし、スピリッツの「美味しんぼ」の例でもあるように、被ばくと鼻血の可能性をマンガで表現するだけで、国から圧力がかかり、休載に追い込まれる風潮にある。
心臓奇形と原発事故についての記事へのコメントはやはり匿名にしてほしい、との依頼があったことを付け加えておく。
医師の言葉にもあるが、原発事故の影響は「わからない」という視点で調査をすべきであると筆者は強く思う。
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この「妊産婦調査」の調査は、全てを網羅しているわけではない。
それは「母子健康手帳を交付された方」のみが調査対象だからである。
筆者は検討委員会において「中絶」について質問した。
筆者が取材した福島県の女性で中絶された方々よりはるかに数が少なかったからである。
回答は「母子健康手帳の交付後に中絶された方のみの数なので、交付前の中絶は含まれていない」とのことであった。
母子健康手帳交付前の診察で奇形が判明し中絶されたケース、診察時に知らないうちに検査をされ中絶を勧められたケースも存在している。
母子健康手帳交付後に、中絶された方の理由はなぜか、と質問すると
「奇形が判明したので中絶された方がほとんど。その奇形の種別までは調査していない」とのことであった。
新生児の先天性疾患は、大変センシティブな問題であるが、筆者も繁殖を考える女性なので声を大にして言いたい。
私たちは、調査をしない段階での「健康に影響は無い」などいらない。
「健康に影響があるかどうかわからない」という前提での詳細な長年の調査こそ必要としている。
(撮影、おしどりケン)
【DNBオリジナル】
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