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2014年05月14日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆週刊ビッグコミックスピリッツの人気漫画「美味(おい)しんぼ」(漫画家・雁屋哲原作)が、まるで「潜水艦」から「スーパーキャビテーション魚雷」(超高速魚雷)を発射して奇襲攻撃したかと思わせるような「メガトン級」の大衝撃を与えている。一番衝撃を受けているのは、福島県や地元政界、医師会、福島県立医大、大阪市、それに原発推進派が大多数を占める安倍晋三政権である。折角「あらゆるものを隠蔽してきたのに、水の泡ではないか」と怒り狂っているらしい。
東電福島第1原発から放射能汚染水が密かに垂れ流れていて、海中に放出されていることや東電福島第1原発周辺地域は、とても住めたものでないことは、だれでも知っていることだ。福島県産の農産物、畜産物、魚介類が、いまでの関東一円のスーパーなどで売れ残り続けている。これは、決して「風評被害」が原因ではない。それは、「福島県や地元政界、医師会、福島県立医大などが、大事な事実を隠しているのではないか」と多くの消費者が疑っているからである。ほとんど信用されていない。
◆原発推進派の代表である安倍晋三首相は、原発再稼働、海外への原発セールス外交に熱心なあまり、東電福島第1原発の大事故が、東電社員や下請け従業員、作業員、福島県民ばかりか、関係自治体の住民にまで、健康被害を与えているはずなのに、2011年3月11日から3年2か月、時が経過して、大事故が風化して、国民の記憶から忘却の世界に向かうことをどうも期待しているフシがある。
足尾鉱毒事件以来、水俣病事件、神通川イタイイタイ病事件など数々の公害事件は、地域住民の多くが大被害を被っているのに、挙証責任を被害者に押し付け、企業が加害者であることや公害発生源と被害者の被害との間の因果関係を認めようとはしなかった。今回の東電福島第1原発の大事故による健康被害についても、同じようなことが言える。地域住民のなかに、「体調不良」を訴える人々が現実に存在しているにもかかわらず、それを頭ごなしに否定して、隠蔽を図ろうとしている。その姿勢がありありと窺える。
放射線、放射能、放射線物質による人体への影響は、目にはなかなか見えないだけに、診察が困難かも知れないけれど、科学というものが、「疑い」あるいは「疑わしさ」から始まることを考慮すれば、「疑わしきは、調べてみる」必要がある。
◆今回の「美味(おい)しんぼ」」の描写と登場人物の発言は、「風化」してきている東電福島第1原発の大事故と健康被害について、改めて検証し、再検討する大きなキッカケを与えてくれている。それは、原発再稼働、海外への原発セールス外交に突っ走っている安倍晋三首相の暴走にブレーキをかけ、食い止めることにもなる。また、安倍晋三首相を「暴走老人」にさせないための予防措置の作用を生む。
そうでなければ、日本国民は、韓国の大型旅客船「セウォル号」沈没事件(4月16日午前)が発生したのがキッカケで韓国の「政財(業)官癒着構造」が白日の下にさらされて、「賄賂横行」が暴露されてきたのを笑うことはできない。「セウォル号」沈没事件は、「人命」を軽視する「カネもうけ至上主義」が、乗船客船員476人のうち、生存者172人に対して、死者275人、行方不明者29人という犠牲者(5月12日時点)を出したこと対比すると、安倍晋三首相の原発再稼働、原発セールス外交重視の姿勢は、やはり「人命・健康被害」よりも、「カネもうけ」に目が眩んでいるとしか思えない。国民批判を浴びている朴槿恵大統領と変りはない。似た者だ。
【参考引用】朝日新聞DIGITALが5月12日午後11時25分、「『美味しんぼ』の描写に波紋 被曝で鼻血…抗議相次ぐ」という見出しをつけて、以下のように配信した。
週刊ビッグコミックスピリッツの人気漫画「美味(おい)しんぼ」の東京電力福島第一原発事故をめぐる描写に対し、福島県や地元政界などが12日、発行元の小学館に相次いで抗議した。問題視するのは登場人物が放射線被曝(ひばく)と鼻血の因果関係を指摘したり、「福島に住んではいけない」と述べたりする場面。県内には風評被害への懸念が根強い一方、強まる抗議に「被曝への不安が口にしにくくなる」と心配する声もある。「福島県民の心情を全く顧みず深く傷つけ、農林水産業や観光業へ深刻な損失を与えかねない」「断固容認できず、極めて遺憾だ」福島県は12日、ホームページに載せた見解で、鼻血の描写などについて、小学館に対し強く抗議。「原発事故で放出された放射性物質に起因する直接的な健康被害が確認された例はない」とも指摘した。同日には政府のスポークスマンである菅義偉官房長官も会見で「住民の放射線被曝と鼻血に因果関係はないと、専門家の評価で明らかになっている」と断じた。自民党県連や民主党県議らでつくる会派も相次いで抗議声明を出した。騒ぎは大学にも飛び火。福島大准教授が12日発売号で除染の効果を否定したことに対し、中井勝己学長は「多方面に迷惑と心配をおかけして大変遺憾。教職員には立場をよく理解して行動と発言をするよう注意喚起する」と談話を出した。一方、鼻血をめぐる発言をした福島県双葉町の井戸川克隆・前町長は9日の会見で「本当のことをしゃべっただけだ。県が慌てるのはおかしい」と語った。最新号の描写について、スピリッツ編集部は12日付のホームページで「行政や報道のあり方について議論を深める一助としたい」とコメント。また、19日発売の次号の特集ページで複数の識者の意見や抗議に対する見解を示すとしている。漫画の内容や表現を変える予定はないという。原作者の雁屋哲氏は、自らのブログで福島に関する作品が続くことを明らかにし、「取材などはそれから後にお考えになった方がよいと思います。書いた内容の責任はすべて私にあります」とコメントしている。(高橋尚之、根岸拓朗)
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