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美味しんぼの「鼻血」シーンに過剰反応する石原環境大臣
2014年5月10日 12時26分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
美味しんぼという漫画をご存知でしょうか? そして、最近、この美味しんぼが世間を騒がせていることもご存知でしょうか?
ネット上では大変に関心を呼んでいるようですが、世間ではそれほどでもないと思うのです。
私は何を言わんとしているのか?
実は、美味しんぼという漫画のなかで、主人公が福島第一原発の取材後に鼻血を出すというシーンがあり、それが風評被害を招いているということで問題になっているのです。
事態を呑みこむことができたでしょうか?
しかし、多くの方はイマイチ納得がいかないかもしれません。というのも、美味しんぼって、確か美味しいものを探して回る漫画だろって思うからなのです。
そうなのです。言ってはなんなのですが、幾ら美味しんぼが一時期人気を博したといって所詮漫画にしか過ぎません。つまり、漫画で鼻血のシーンが出てきたくらいで世間はそれほど驚くのか、と。
いずれにしても、その鼻血のシーンはどのようなものなのか? 見てみたいと思うでしょう?
で、ネット上で見ることができないかと思い、検索すると次のような画像を見ることができました。
加工されたシーン
あっちゃー、皆、鼻血を出しているじゃないか!
これは少々酷いのではないか!
ただ、この鼻血のシーンに関して調べてみると、作者は、鼻血が放射能汚染との関係があるとは言っていないのだとか。
しか〜し‥原発推進派にしてみれば、このようなシーンを漫画と言えども描かれると大変に迷惑であるのです。そして、ただ、迷惑に感じるだけではなく、ネット上の原発推進派は脱原発を唱える人々を激しく攻撃するのです。
ということで、実は、この漫画を掲載したビッグコミックが4月28日に発売されて以来、ネット上では作者の雁屋氏に対する誹謗中傷が絶えないのです。
私は、この漫画のせいで風評被害が起きたというのは、納得がいかないのです。仮に風評被害が起きたとしたら、それは漫画で描いたシーンが直接引き起こしたというよりも、原発推進派のネット上での過激な反応が風評被害を演出したと言った方が適切でしょう。
つまり、一般の人々はそれほど気にしていないのに、ネット上の原発推進派が自分たちだけで過剰反応をしている、と。
だって、そうでしょう?
漫画ですよ、漫画。しかも、その美味しんぼをどれだけの国民が真剣に見ているのか、と。
仮に、福島の原発事故の現場近くに住んでいる人々のなかで鼻血が出る人が多くなったとしても、そんなことがあったとしてもおかしいとは思わない人が大半ではないでしょうか。だから、そのことで福島に対する評価が今さら変わるなんてあり得ない、と。それに、今でも避難解除がなされていないところがあるということは、完全に安全だという訳にはいかない何よりの証拠ではないですか?
いずれにしても、とにかく脱原発の運動を何が何でも封じ込めたいと考える輩が今勢いを増しているということなのです。だから、このような迷惑な漫画は世の中から抹殺をしたい、と。
そして、現地の双葉町も、ネット上ではあるもののこれだけ騒ぎが大きくなったことを知り、小学館に抗議をしたということなのです。
まあ、双葉町が抗議をする気持ちは分からないでもありません。
しかし、よりによって石原環境大臣が、次のように感情的になって美味しんぼの作者を批判するのは如何なものなのでしょうか?
彼は言いました。
「事故に伴う放射線の被曝と鼻血の因果関係はないという評価が既に出ている。描写するものが何を意図しているのか理解できない」、「漫画がノンフィクションなのかフィクションなのかも分からないが、風評被害を引き起こすようなことがあってはならないと思う」
確かに風評被害を起こしてはいけません。それはそのとおり。しかし、風評被害というのは、風評、つまり根も葉もない噂によって被害を受けることなのです。つまり、現地では放射能汚染によって鼻血を出す人が増えたというような事実が一切ないというのであれば、それなら風評被害と言っていいでしょう。
しか〜し、環境省の公式見解は、それほど明快なものではないのです。
石原大臣は、「放射線の被曝と鼻血の因果関係はない」と言い切っていますが、公式見解は「放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられません」というものなのです。
住民に鼻血が多発しているとは考えられませんということは、多くはないが鼻血を出している人がいることを環境省が認めているとも言えるのです。
それで、どうして美味しんぼの鼻血のシーンごときにそれほど過剰反応をするのでしょうか?
浮島政務官は「福島の人も一生懸命頑張っている。言論の自由もあると思うが、風評被害対策の観点から影響を考えていただきたい」とも言います。
言論の自由もあると思うが、遠慮しろだなんて。これが現政権の本質なのです。
自分たちにとって都合の悪いことは言わせない、と。だから、原発推進派は、ネットで自分たちにとって都合の悪い情報に対しては罵詈雑言を浴びせかけるのです。
鼻血を出したと言っている井戸川元町長も憤慨しています。
「実際、鼻血が出る人の話を多く聞いている。私自身、毎日鼻血が出て、特に朝がひどい。発言の撤回はありえない」
どう思いますか? この人は政治家だから話は割り引いて聞く必要がある?
まあ、それならそれでいいでしょう。
しかし、作者の雁屋さんは、次のように言っているのです。
「私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして 批判されなければならないのか分からない。 真実には目をつぶり、誰かさんたちに都合の良い嘘を書けというのだろうか。(中略)今度の「美味しんぼ」の副題は「福島の真実」である。 私は真実しか書けない」
作者の雁屋さんはれっきとした日本人であるのに、生まれが中国の北京であると言って、そんなことを強調する原発推進派。
最後に言っておきますが、皆さんに見てもらった美味しんぼの鼻血のシーンは本物ではないのです。誰かが本物の漫画に加工して、皆、鼻血を出しているように見せたものなのです。
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
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