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【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐えるのは無理 】〈1〉
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2014年5月5日 星の金貨プロジェクト
原子力発電は人類最大の失敗のひとつであり、100年かけてもその状況を好転させる事はできない
真実を隠蔽し偽りを公表する事は、原子力産業にとって必要欠くべからざる事であった
原子力発電の歴史、それは公表が不可能な事実、隠蔽、そして過小報告に集約される
アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク
『原子物理学の父』と呼ばれるアーネスト・ラザフォードが1917年に原子を最初に分裂させて以来、人類は原子エネルギーを自らの手に収めようと争って解明に務めてきました。
しかし原子エネルギーの持つ恐るべき力が解明されていくにつれ、今度は先進各国はこの技術の濫用や不正使用に対し、あらゆる手段を講じてその懸念を回避する作業に追われる事になったのです。
しかし国際社会にとって危険な存在である独裁政権や一部の組織が、世界を屈服させるためにこの莫大なパワーを乱用する事に対する懸念は拡大する一方だったのです。
しかし核、すなわち原子力エネルギーに関するその他の問題については、各国政府や国民はこれまではそれほど強い関心を持つ事はありせんでした。
広島と長崎に対する原爆投下、そして2,000階以上繰りかえされた核兵器実験の後、原子力エネルギーについてはいわゆる 『核の平和利用』の時代がやってきました。
1953年、国連においてアメリカのドワイト・アイゼンハワー米大統領は、原子力エネルギーの平和利用により、新たな時代がやってくると演説しました。
「かつてない程巨大な破壊的を持つ原子力エネルギーは、これからすべての人類のために、大きな利益をもたらす手段へと進化していく事になるのです。これから先は、鯨油や木材に頼る時代ではないのです。石油・石炭に対する需要も減少していき、ガソリンに代わって原子力が日常生活のエネルギー源として社会を支えていく事になるでしょう。」
1955年のLOOK誌は記事中でこう伝えました。
共感を込めてこの記事を書いたD.O.ウッドベリは、原子力飛行機、原子力船が現実のものとなり、ガンと大部分の病気の治療すら可能になると考えていました。
彼は読者にこう問いかけたのです。
「原子力エネルギーとその研究開発が、この分野の先駆者たちが私たちに約束した夢のような未来と幸福な生活をもたらすということに、疑問を挟む余地などあるだろうか?」
しかし夢のような未来も、幸せに満ちた生活も、人類はそのどちらもほとんど手にする事は無かったのです。
その代わりに得たものは、スリーマイル島(1979年のアメリカ、ペンシルバニア州)、チェルノブイリ(1986年のソ連、ウクライナ)、ハンフォード(1944年以降放射性物質の漏出を続けていたアメリカ・ワシントン州の原子力複合施設)、そして2011年のフクシマ…。
人類は繰り返された事故、そして放射性物質の漏出事故に絶え続けなければなりませんでした。
ある評論家はこう語りました。
原子力発電は人類最大の失敗のひとつであり、100年かけてもその状況を好転させる事はできない、と。
▽『未来を創り出す平和利用』の成れの果て
各国政府と原子力産業の癒着は、これまで人間の健康と安全な地球環境に対する侮れない脅威を作り続けてきた可能性があります。
原子力産業は現実には不可能な技術の宣伝を行い、不正や失敗の隠蔽を謀ってきた事が明らかにされました。
アメリカ国務省の文書によれば、東京電力も福島第一原子力発電所も巨大地震の襲来に対し有効な対策をとっていない事が、2011年の事故以前にすでに明らかになっていました。これは事故後に東京電力も認めていることです。
しかしこの重要な認識は、東京電力と当時の通産省(現在の経済産業省)との間の癒着・共謀により実際の危険性を過小に報告し
、結局は正しい対策をとる事の必要性を無視するという結果につながってしまいました。
2011年3月の事故が発生するわずか数年前の事でした。
日本の原子力ムラは福島第一原発でメルトダウンが発生する直前まで、福島第一原発が抱える本当の危険性について検証・警告する専門家などを人々の視界から追い払うために、ありとあらゆる手段を使ったのです。
そして日本政府も、巨大地震に耐えるだけの安全性を確保する事は不可能であるという判断から、日本海側の金沢にある原子力発電所を閉鎖せよという裁判所の判決をひっくり返すという挙に出ました。
※スティーブン・スウィンフォード、クリストファー・ホープ「巨大地震: 日本の原子力発電所に対する警告」(ザ・テレグラフ2011年3月15日))、ウィキリークス、 「日本の原子力産業の広告戦略が生んだ現実」原子力工学インターナショナル / 2007年9月14日号。
原子力政策
ヘレン・カルディコット博士
研究所を設立したヘレン・カルディコット博士などは、こうした真実を隠蔽し偽りを公表する事は、原子力産業にとって必要欠くべからざる事であったと批判しています。
この問題について一般市民に間違った認識を植えつけるという点においては、資本主義や社会主義、政治体制の違いは関係ありませんでした。
組織としてノーベル平和賞を受賞した『社会的責任を全うする物理学者連盟』は核兵器・原子力発電と人間の健康、地球環境の安全をテーマに活動を行っていますが、彼らはこう語っています。
「原子力産業の歴史、それは公表が不可能な事実、隠蔽、そして過小報告に集約される。そうした体質は現在も一切変わる事は無く、深刻な脅威であり続けている。」
〈 第2回につづく 〉
http://mondediplo.com/blogs/time-for-a-nuclear-phase-out
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【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐える事は無理 】〈2〉
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2014年5月7日 星の金貨プロジェク
福島第一原発の事故のタイミング、それはまさに『原子力ルネッサンス』が本格的に幕を開けようとしていた時
国内電力の総需要の35%を再生可能エネルギーによってまかなう事は、充分に可能
安倍晋三首相が率いる保守政権は、国民の願いを受けた原子力発電の段階的廃止の政策を無視
アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク
福島第一原発の事故のタイミング、それはまさに『原子力ルネッサンス』が本格的に幕を開けようとしていた時でした。
世界中で何十機のもの原子炉の建設計画が作られ、福島においてもさらなる原子炉の増設が行われようとしていました。
化石燃料を燃やす変わり、小型原子炉を使って電力を生み出すエネルギー戦略は革命的なものであるとの評価を得ていました。
アメリカのオバマ政権は、福島第一原発の事故後もこの方針の転換を表明してはいません。
アメリカの大手メディアの『顔』の一人であるジャーナリストのダン・ラザーは、人気の高いメディアであるハフィントン・ポストの取材に対し、彼が会ったアメリカ人すべてが、原子力発電はグリーン・エネルギーの最良の選択であるという意見に賛同したと語りました。
こうした発言の背景にあるのは、強力な政治力を持つ原子力ムラに対する抵抗が続いている事、そして民間の保険会社や保証会社が原子力発電は危険性があまりに高い事から契約をしたがらない現状に対し、政府自らが打開に動き出さなければならなくなっている状況です。
これに対しドイツ政府は、多国間での莫大な額の貿易によって成立している最先端の世界経済は、再生可能エネルギーへの大規模投資、そして再生可能エネルギー産業の保護によって成長が可能になるという事を、断固たる決意をもって証明しようとしています。
ドイツ政府の思い切った政策転換については各国政府が容易ならない展開を予想しましたが、結果はそれを裏切る好調なすべり出しを見せています。
多くの評論家などはヨーロッパ最大の経済規模を有するドイツは国内の原子力発電を全廃する変わり、チェコ共和国など原子力発電を行っている近隣諸国から電気を買うはめに陥るだろうと論難しています。
しかしドイツ発電・水力事業協会の統計、および応用エコロジー研究所が行った別の研究によれば、昨年ドイツの電力会社は役150億キロワットの発電を行いました。
この実績を受け、今年始め、ドイツの環境大臣ピーター・アルトマイヤーは、ドイツが原子力発電の段階的廃止を進めても電力不足に陥る危険性は無いと繰り返し強調しました。
この発言については、メルケル政権による再生可能エネルギーの推進政策を『今世紀最大のプロジェクト』と讃えたシーメンスの最高経営責任者のベーター・レシェルも、早くから同趣旨の主張を行ってきました。
彼は国内電力の総需要の35%を再生可能エネルギーによってまかなう事は、充分に可能であると語っています。
イタリアもまたエネルギー手段として原子力発電に二度と回帰する事は無いと明快に宣言しました。
これは当時のベルルスコーニ政権が原子力発電の再開を行おうとした際、国民投票により反対が94%に達した事が決定的な要因となったものです。。
スイスもまた福島第一原発の事故を受け、エネルギー手段としての原子力発電を放棄しました。
政党の垣根を越えた新しいエネルギー政策を実現するための、広い範囲に渡る政策協議や新しい組織の成立が国民の総意の下にもうすぐ実現するかもしれません。
現在スイス国内の5基の原子炉は国内総需要の40%をまかなっていますが、政府の計画では2035年までに全廃する事になっています。
しかしこの政策協議の実現により、全原子炉の停止が2029年にまで繰り上げられる見通しとなっています。
では世界にこうした動きを促す事になった福島第一原発の事故、3基の原子炉が同時にメルトダウンするという前代未聞の事故を引き起こした日本はどうでしょうか?
2012年の2ヵ月間、日本は国内にある54基の原子炉すべてが完全に停止していたにもかかわらず、電力が不足する事はありませんでした。
昨年夏の大飯原発を再稼働させるという決定は、日本では珍しい一般市民による大規模な反対運動に火をつける結果となりました。
しかし安倍晋三首相が率いる新たな保守政権は、前任者である民主党政権が決定した原子力発電の段階的廃止の政策を無視する態度を明らかにしました。
2011年3月11日の巨大地震と津波から始った日本の危機、そのとき首相を務めていた 菅直人氏は首相官邸を去った後、原子力発電に対する態度を180度転換しました。
彼は原子力発電との決別を宣言しました。
「ソビエト連邦崩壊当時大統領を務めたゴルバチョフ氏はその回顧録の中で、チェルノブイリの事故がソビエト連邦の病弊を一気に表面化させた、そう語っています。」
菅前首相はこう語り、次のように続けました。
「福島第一原発の事故は日本にとって、同様の働きをしたのです。」
〈 第3回につづく 〉
http://mondediplo.com/blogs/time-for-a-nuclear-phase-out
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この記事はフランスのル・モンド・ディプロマティークに掲載されたものですが、こうした記事を翻訳する度に思い出すのが2011年8月の[ドイチェ・ベレ]に掲載された以下の一文です。
「日本の原子力ムラは、いまだに強大な政治力を持っています。」
「日本の原子力ムラの政治力が強大なため、日本には再生可能エネルギー資源が豊富にあるにもかかわらず、利用されてはいません。
日本の電力業界は福島第一原発の事故について、それをさほど大きな失敗としては認めていません。そのために、彼らが福島第一原発の事故から学んだものなど、基本的にはゼロなのです。」
( http://kobajun.chips.jp/?p=845 )
こうした状況が現在の安倍政権や各電力会社幹部の発言を聴く限り、何ら改善されていない事を痛感します。
この国のエネルギー問題については、彼らのしたい放題にさせていたためにこの国に54基もの原子炉が建設され、福島第一原発の事故が発生しました。
そこから導きだされる答えは、これ以上原子力ムラのしたい放題を許してはならない、という事のはずです。
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【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐えるのは無理 】〈3〉
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2014年5月9日 星の金貨プロジェクト
国の電力の主要な部分を原子力発電によって賄おうとする計画は、不当に危険性が高すぎる
原子力発電所固有の弱点と異常気象、世界中で原子力発電に対する懸念が高まり続けていることは当然
自国の経済をこの危険過ぎる発電手段に依存し続けることに、正当性は見いだせない
アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク
▽一層事態は悪化の様相
東アジアの他の場所では事態が悪化する様相を見せています。
2013年、台湾では福島第一原発の事故発生から2周年となった日、国内各所で200,000人以上に上る人々がデモや抗議集会を行い、台湾で計画されている龍門原子力発電建設への反対を強く訴えました。
台湾で4カ所目となる龍門原子力発電所は北東部地区にあり、2016年までに稼働を開始する予定です。
しかしその建設については安全に対する深刻な懸念から、何十年もの間論議を呼んでいました。
台湾の環境問題に取り組む多くの活動家は、同国が人口ちゅう密な狭い島国で、全電力の17%を原子力発電によって賄おうとする計画は、不当に危険性が高すぎると指摘しています。
台湾の馬政権は龍門原子力発電建設の推進を標榜していますが、世界原子力発電協会の調査結果によれば、燃料棒がまだ装置されていないものの、この原子力発電所に対しては世界で14番目に危険な原子力発電所であるとの評価がくだされているのです。
しかし地震学者や津波専門の研究者は、台湾南部の原子力発電所の方をより問題視しています。
日本を三重災害(巨大地震、巨大津波、福島第一原子力発電所事故)が襲った直後、ミネソタ大学の地球科学部のデイヴィッド・ユアン教授を始めとする世界の科学者は、世界で最も地震と津波の被害が懸念される場所は台湾南部であるとの見解を示しました。
科学者たちはマニラ海峡に大きなエネルギーが蓄積されている点を指摘しました。
この場所ではこの数百年間大きな地震が発生していないため、今後発生する危険性が高いとみなされています。
もしこの場所で巨大地震が発生すれば、中国本土南部にある4か所を含め、5か所の原子力発電所が津波にのみこまれる危険性があり、理論的に2011年に福島第一原発と同じ事態に見舞われる可能性があります。
この辺一帯はシンセン経済特区、香港、広州など沿岸部に数千万人の人口と産業が密集する場所であり、先例のない規模の原子力災害が発生する危険性があります。
原子力発電が抱える逆説的な矛盾は、原子炉の冷却を行うため水資源の豊富な場所に立地する必要性があるにもかかわらず、いったん水害が発生すれば施設全体で深刻な危機が発生する危険性があるという点にあります。
この問題は原子力発電所が海の近くに立地している場合その危険性が最も高いように思われがちですが、実は湖や川の近くに立地している場合でも同様の危険を考えなければなりません。
アメリカ合衆国の例では、ネブラスカの原子力発電所が、大雨とそれに伴う河川の氾濫により水没の危険に見舞われました。
この時この原子力発電所では事前に原子炉を冷温亭状態にしていましたが、水没すれば緊急電源が失われるとともに、冷却装置も稼働しなくなる可能性がありました。
その同じ年には強力な一連の竜巻がアラバマ州とヴァージニア州を襲い、原子力発電所で一時的に電源が失われる事態が起きています。
このような原子力発電所固有の弱点と異常気象が増え続けている状況を考え合わせれば、世界中で原子力発電に対する懸念が高まり続けていることは当然と言わなければなりません。
様々な問題を指摘されている年数の経った原子力発電所をこれ以上稼働させるようなことをすれば、これから先チェルノブイリやフクシマを超える最悪の原子力発電所事故が発生する危険性があります。
原子力発電に反対の立場をとる人々は、フランス、日本、アメリカなどの政府が必要充分な対応を採っていないと指摘しています。
たまたま運よく今後数十年間は原子力発電所の事故は起きないかもしれません。
しかしおそらく私たちが見習うべきはドイツ、スイス、イタリアなどの決断です。
そして自国の経済をこの危険過ぎる発電手段に依存し続けることに終止符を打てるようにするため、いち早く準備に取り掛かる必要があります。
イギリスのガーディアンに寄稿しているジョージ・モンビオットは、原子力発電の危険性について正反対の主張を行っています。
彼は福島第一原子力発電所の事故を見て、その環境被害は大したことは無く、原子力発電に対する信頼性が増したとすら書きました。
彼は原子力発電を停止した場合、多くの場所で代替の発電手段として用いられる火力発電の方がはるかに害は大きいと主張しています。
しかし大部分の専門家、そして科学者は次のように指摘しています。
モンビオットの主張はメルトダウンの事故発生から10日後の状況だけを主張の根拠としていましたが、原子力発電所の事故についてはその長期的影響こそが深刻なのであり、その結果については誰もまだはっきりした答えを出せずにいるのだと…
〈 第4回につづく 〉
http://mondediplo.com/blogs/time-for-a-nuclear-phase-out
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【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐えるのは無理 】〈4〉
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2014年5月10日 星の金貨プロジェクト
何万年もの間『この場所を人類から完全に隔離する必要がある』- 核廃棄物の最終処分場
原子力設備を計画する度、膨大な数の住民の避難計画を作る必要に迫られる
いつまでたっても見えてこない、チェルノブイリの事故の『最終的な解決』
原子力発電の廃止に後ろ向きでいることの方を、私たちは疑問視するべきである
アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク
▽安全な核廃棄物の処理、その完全な欠如
原子力発電への批判においてしばしば強調されるもう一つの重大な懸念が、核廃棄物を安全に処理する方法が完全に欠如していることです。
見たものに背筋が凍るような恐怖を与えたドキュメンタリー『地下深く永遠に – 核廃棄物10万年の危険』は、フィンランドの世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場を取り上げ、他とは比較にならないこの問題の深刻さを暴いた番組ですが、原子力発電が文明どころか永遠に解決できない問題を作りだしてしまった事を明らかにしました。
この事業は莫大な量の核廃棄物を地中に埋めることになっていますが、何万年もにわたる将来の世代に対し、この場所が致命的に危険であることをどう伝えていけばよいのか、あらゆる面から慎重に検討することを求めています。
オンカロの現場で働く技術者は、何らかの方法により、この場所を人類から完全に隔離する必要があると語りました。
事ここに到れば、原子力発電を推進する人間が存在する限り、そこに反対する人々がいたことは当然のことであったと言わなければなりません。
原子力発電が理想の未来社会への架け橋であると主張する人間が現れると同時に、人類は原子力発電、すなわち核エネルギーは他にはない深刻な危険を孕んでおり、安易な実用化は将来に禍根を残すことになると警告する人間をこの世に送り出し、自然にバランスを取ることになったのです。
筆者はニューヨークで生まれ育ちました。
アメリカ政府は地元の電力会社とともにロングアイランド地区に、11基の原子炉を備えた一大原子力発電拠点を建設する計画を打ち出しました。
そこにはニューヨーク市内のクイーンズ、そしてブルックリンが含まれていました。
しかしこの計画を実行に移せば、数千万人の住民の避難計画をつくる必要性がありました。
そして結局アメリカ政府も地元自治体も、始めからこの計画に反対を表明してきた住民団体同様、そんな計画は実行不可能だと悟ったのです。
結局、この計画は1980年代後半、放棄されました。
2012年10月に、ハリケーン・サンディは、この11基の原子炉が建設されるはずだった場所に甚大な被害を与え、大規模停電を発生させました。
アメリカはこの国の心臓部分とも言うべき場所で、大規模な原子力災害の発生をかろうじて避けることが出来たのです。
長い間原子力発電に反対の立場をとって来た日本の作家広瀬隆氏はその著書の中で、原子力発電所がそれ程安全であるというのなら、長距離の送電によって大きなエネルギー・ロスが発生すると解っていながら、なぜ東京のど真ん中に原子力発電所を建設しないのか、そう問いかけました。
ところがひどいことに、この地球上では大都市のそばに数多くの原子力発電所が建設されてしまっています。
インディアン・ポイント原子力発電所はニューヨーの中心部から、北にわずか40キロの場所にあるのです。
こうした事実は私たちが一日も早く、原子力発電に代わって再生可能エネルギーなどのクリーンな発電手段に置き換えることを考えるよう、改めて求めているのではないでしょうか?
チェルノブイリ原子力発電所事故の28回目の記念日が、やがて訪れようとしています。
残念ながらチェルノブイリの事故の教訓は、私たちにとって一層重いものとなりつつあります。
欧州復興開発銀行は石棺などの老朽化に伴って増加しつつある脅威に対処するため、ウクライナ政府との間の長年にわたる約款の実現に向け動いています。
しかしそれが実現しても、チェルノブイリにおける安全確保は完全とは程遠い状況が続きます。
アルバート・アインシュタインは現代における最も明晰な頭脳の持ち主であり、原子物理学の進歩にも大きく貢献した人物でした。
そんな彼が1946年に行った人類と原子力の関わり合いについて行った発言は、21世紀の今日に対し先見の明があったというべきでしょう。
「我々の世界は、これまで想像されたことのなかった危機に直面している… 解放された原子の力は、私たちの日常的な思考方法以外のあらゆるものを変えてしまい、わたしたちはかつて経験した事の無い規模の大惨事へと押し流されつつある…」
アメリカ、フランス、イギリスなどが宿命的に大きな危険をはらんでいるにも関わらず、原子力発電を継続しようとしていますが、ドイツは原子力発電を段階的に配すると決定した方針を堅持し、取り組みを続けています。
こうした姿勢に対し度々問いかけを受けることについて、ドイツ連邦政府環境省のヨッヒェン・フラスバス長官は、原子力発電の廃止に後ろ向きでいることの方が疑問視されるべきであると語っています。
核分裂に関する数多くの天才を生み出したドイツ、スイス、そしてイタリアは、原子力発電の廃止に向けいち早く動き出しました。
私たち人類はこう問いかけるべきなのです。
どうすれば世界は、これらの国々に続く方針を採ることが出来るようになるのでしょうか?
〈 完 〉
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