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福島第1 汚染水対策の柱 凍土壁の来月着工、遅れも 地盤沈下、規制委が懸念
東京電力福島第1原子力発電所で、汚染水対策の柱とされる「凍土壁」の着工が遅れる可能性が出てきた。計画を認可する原子力規制委員会が安全性に疑問を呈しているからだ。予定する6月の着工が遅れれば廃炉の道筋に影響が出かねない。
「凍土壁を設けることでかえって悪いことが起きないか」。2日、規制委が開いた会合で更田豊志委員はこうクギを刺した。念頭にあるのは地下水の流れが変わることへの懸念だ。
凍土壁は1〜4号機を囲むように地下約30メートルまでの土壌を冷却材で固める。原子炉建屋などに毎日約400トン流れ込む地下水の流れを食い止め、放射性物質を含む汚染水の増加を防ぐのが狙い。汚染水が海洋へ流出する危険性も解消する。
規制委が心配するのは副作用だ。凍土壁の内側の地層に含まれる水が減り、地盤沈下を招く恐れがある。建屋が傾けば深刻だ。会合で東電は「建屋は堅固な地盤に設置されている」と説明したが、規制委は追加のデータによる裏付けを求めた。
地下水位が下がりすぎて、建屋の地下にある高濃度の汚染水が周囲に漏れ出す可能性もある。緻密な水位の管理が欠かせない。凍土壁は2015年度前半に完成させて6年間運用するが、壁の維持には冷却材を循環する装置の稼働が必要だ。
効果自体を疑問視する見方もある。規制委の検討会委員である東北大学の阿部弘亨教授は「凍土壁を採用した方がよいのか、しなくてもよいのかがまったくみえない」と指摘。東電の原子力改革監視委員会で副委員長を務めるバーバラ・ジャッジ氏も維持コストがかかることなどを理由に「代替手段を考えるべきだ」と主張する。
地下水対策として原子炉建屋の周囲に遮水壁を造る発想は事故直後からあったが、実行は見送られてきた。凍土壁は粘土壁に比べて遮水効果や施工性に優れるが、昨年に相次いだ汚染水問題で窮余の策として設置が決まった経緯がある。
もっとも、規制委は計画そのものは否定していない。事務局の原子力規制庁幹部は「安全性さえ確認できれば反対する理由はない」と話す。「福島県民としては成功を期待している」(いわき明星大学の東之弘教授)と地元からの要望も強い。
東電は汚染水対策として汚染前の地下水をくみ上げて海に流す計画などを進めているが、現状で決定打はない。汚染水問題の解消は今後40年続くとされる廃炉作業の入り口となる作業だけに、実施できるか注目される。
[日経新聞5月4日朝刊P.11]
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