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東京電力・広瀬直巳社長が「再値上げ」を表明する日も近い!? photo gettyimages
乱暴で無責任な経済産業省の「再稼働」行政で、電気料金再値上げラッシュのリスク大
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39024
2014年04月22日(火) 町田徹「ニュースの深層」 現代ビジネス
2011年3月の東日本大震災以降、全国各地を襲った電気料金引き上げラッシュの悪
夢が再び繰り返される懸念が高まってきた。
■乱暴すぎた経産省の原発再稼働戦略のツケが値上げに
所管の経済産業省は、庶民のくらしや企業の経済活動に多大な影響を及ぼす問題だけに、その封じ込めに躍起になっている。再値上げの引き金になる電力会社の財務体質悪化と経営危機転落を防ぐため、他社に先駆けて再値上げ方針を表明した北海道電力に対して、異例ながら本来の目的ではないことに引当金の使用を容認する姿勢をみせただけでなく、日本政策投資銀行に同社への資本注入を促した。さらに、資本注入の範囲を、北海道電力と同じように苦境にある九州電力にも広げる検討を進めているという。
しかし、これらは、筋の悪い対症療法と言わざるを得ない。加えて、東京、関西、四国の各電力も再値上げを迫られる可能性があり、経済産業省の封じ込めが成功する保証はない。
何よりも見逃せないのは、リスクを高めたそもそもの原因が、同省の乱暴な原発再稼働戦略にある点だ。福島第一原発事故を巡る同省の行政責任をきちんと追及してこなかったことのツケが回った格好なのである。
■北海道電力の窮地
「(このままでは)債務超過の可能性も否定できない」
「本日付で再値上げの具体的検討をするよう、社内に指示した」
「値上げを選択せざるを得ない。ご理解いただきたい」
北海道電力の川合克彦社長は2月17日、札幌本社で記者会見し、苦しい台所事情を説明したうえで、東日本大震災後2度目となる料金引き上げに踏み切る方針を正式に表明した。
この時点で、同社は2014年3月期に連結ベースで1200億円前後の最終赤字を見込んでおり、経営が危機的な状況になりかねなかった。泊原子力発電所の稼働停止が長引いたことが原因で、火力発電所の燃料費や他の電力会社からの購入電力量の増加が続いており、3期連続の経常赤字が確実になっていたからだ。
実現すれば、同社の値上げは、昨年9月(家庭向けが平均で7.73%、企業向けが同
11%増)に続くものになるはずだった。
■500億円は焼け石に水
しかし、経済産業省は、失政批判を浴びかねない電気料金の再引き上げを認める気
がなかったらしい。茂木敏充経済産業大臣は翌日の定例記者会見で、北海道電力に対して「慎重に検討を行うことを期待したい」と牽制した。
そして、降雨不足で水力発電所が十分に運転できない事態に備えて積み立ててある
「渇水準備引当金」を本来の目的ではない決算対策のために190億円取り崩すことを認可しただけでなく、水面下で日本政策投資銀行に500億円の資本注入を行うよう迫ったのだ。
だが、泊原発の再稼働がいつになるか一向にめどが立たないうえ、値上げの道を封
じられた中で、最終赤字額の半分にも満たない資本注入をしても、焼け石に水であ
る。
問題を何か月か先送りすることはできるかもしれないが、根底に化石燃料の調達コストの増加があり、赤字体質は変わらないのだから、2015年3月期以降も収益回復が期待できる状況になく、パッチワークに終わる公算が大きかった。
案の定、4月1日付の新聞報道で「日本政策投資銀行が議決権のない優先株で500億
円を出資し、経営不振の北海電を資本支援する」方針がスクープされると、北海道電力株は前日比で91円安の781円と今年最大の下げを記録した。
北海道電力は、とりあえず経済産業省の顔を立てる形で増資や合理化の検討を進めている。しかし、依然として、値上げ方針の撤回は表明していない。
■「抜け駆け」した九州電力
火力発電所用の化石燃料の調達コストが嵩み、台所事情がひっ迫しているのは、ど
この電力会社も似たり寄ったりだ。
そうした中で、かつて「一枚岩」を誇った電力業界の常識では考えられない“抜け駆
け”に走ったのが、九州電力である。この当時、地震に備える規定値の引き上げを原
子力規制委員会が内々に促していたにもかかわらず、電力各社は、相変わらず横並び意識が強く、そろって様子見を決め込んでいた。
そこで、九州電力は、同委員会が3月5日に開いた審査会合で、突如、川内原発の地震想定を従来の540ガルから620ガルに引き上げる方針を表明。1、2社分しか枠が無かった再稼働へ向けた「優先審査」の資格を勝ち取ったのである。
九州電力の抜け駆けは、加圧水型(PWR)の原子力発電プラントを保有し、昨年7月に再稼働に必要な新規制基準の適合審査を申請した同業他社(関西、四国、北海道の各電力)にとって寝耳に水で、電力各社は疑心暗鬼に陥り、一枚岩を誇った業界がバラバラになりつつあるという。
しかし、九州電力がなりふり構わず優先枠の獲得に走った川内原発の審査も、当初期待されたほど迅速には進んでいない。今年6月ごろと見込まれたゴーサインの発出は、大幅に遅れる見通しだ。
九州電力は、震災後に実施した1回目の値上げが比較的小幅だったこともあり、北海道電力と並んで財務体質の悪化が顕著。やはり政投銀からの資本注入の公算が報じられているものの、九州電力が値上げを回避できるかどうか予断を許さない。
■東京電力の「再値上げ」も
原発の再稼働では、川内の次の候補と目されている伊方原発を保有する四国電力も、財務体質は脆弱だ。
耐震規定値の引き上げを巡って、規制委員会との対立を深めている関西電力は、電源に占める原子力発電の割合が国内で最も高い。それだけに、料金据え置きという従来の姿勢を近く転換して値上げに踏み切らざるを得ないのではないかとみる電力関係者は少なくない。
さらに、震災後、電力会社の中で最も早く、かつ最大の値上げに踏み切ったうえに、実質国有化や除染費用の肩代わりなど様々な国策支援を受けて、2014年3月期に3期ぶりに経常黒字を回復したとみられる東京電力の動きも目が離せない。
というのは、前回の値上げの際に、政府から、柏崎刈羽原発の早期再稼働が実現しない場合、再値上げができるとの言質を得ているからだ。
PWR型の原発再稼働の遅れのあおりで、柏崎刈羽原発の再稼働が遅れるのは確実で、いつ、東電が料金の再引き上げを持ち出してもおかしくない。電気料金の再引き上げラッシュは、決して絵空事とは言えない状況である。
■すべての元凶は、経産省の「無責任」行政
ここで見逃せないのが、原発の再稼働が遅れ続けてきた背景だ。
政府・経済産業省はこれまでに、損害賠償や廃炉、除染、汚染水処理といった福島原発事故の処理の目途をきちんと立てていない。
欠陥が明らかになった損害賠償保険制度の再構築、避難計画の策定、再稼働できない原発の廃炉手法の確立、核燃料サイクルの見直し、使用済み燃料の最終処分地の決定など、本来ならば再稼働の前提条件として必要なはずの対応にも、知らん顔を決め込んできた。
その一方で、原子力規制委員会の審査にさえパスすれば、再稼働のお墨付きを与えると公言してきた。それゆえ、規制委員会が新規制基準の審査に慎重になり、活断層問題などで高いハードルを設けたため、結果的に再稼働が遅れに遅れてきたのが実情と言わざるを得ない。
舞台裏では、「このやり方で2014年中に10基は再稼働させて見せる」と豪語していた経産省幹部もいた。
しかし、不備・欠陥を放置したまま再稼働を目指して大幅な遅れを招き、電気料金の再引き上げラッシュのリスクを高めてしまった現状を見る限り、同省が原発戦略で再び失敗を犯したのは明らかである。
今こそ、過去の電力・原発政策の失敗の責を不問にしてきた問題も含めて、きちん
と検証すべきではないだろうか。
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