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構内で防災訓練に当たる作業員ら=3月13日、福島第1原発(東京電力提供、写真と本文は関係ありません)
神話の果てに 第12部・廃炉の現場(中)/困難な要員確保
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201404/20140410_63010.html
2014年04月10日 河北新報
◎「中抜き」横行低賃金
<延べ1800万人必要>
「これでまた作業員の確保が難しくなる」
東京電力福島第1原発で事故処理作業に当たる福島県双葉郡の下請け業者の男性は、一気に暗い気持ちになった。
東京都が2020年の五輪開催地に決まった13年9月のこと。喜びに沸く周囲とは対照的に、五輪景気で作業員が東京に吸い寄せられる事態を心配した。
男性は公共職業安定所やインターネットによる求人、知人のつてなど、あらゆる手段で作業員を集めている。そうしないと到底足りない。
福島第1原発で必要な人員は1日3000〜4000人に上る。廃炉の完了は早くとも30〜40年後。仮に平均1日2000人、1年300日で30年だとすると、延べ1800万人の計算になる。
被ばくを伴う難しい作業なのに、これほど膨大な数の作業員を確保しなければならない。
<6次の下請けも>
作業員集めは既にかなり困難になっている。最大のネックが、厚生労働省が定める作業員の被ばく限度だ。
1年で最大50ミリシーベルト、5年で計100ミリシーベルトが上限と決められている。5年間継続して働くとすれば、年平均20ミリシーベルト以下に抑えなければならない。
下請けの男性は「今までの付き合いで仕事を受けているが、給料が低く継続雇用の保証もない。(被ばくによる)健康不安もある。そんな職場で普通、働きたいとは思わない」と語る。
複数の作業員によると、福島第1原発の日当は6000円〜1万5000円程度らしい。2次、3次と下請けが重なるにつれて中抜きされる額が増え、大きな差につながっている。
福島第1原発の現場では、3次どころか6次下請けもざらだという。
さらに福島第1原発で働けば、累積の線量が1年もたたず限度に近づく可能性がある。「そうなると他の原発でも働けなくなって、収入は伸びない。熟練作業員ほど福島を避ける」と現場監督の経験者が打ち明ける。
<日当の逆転現象>
原発構内の事故処理より、被ばく量が少ない周辺市町村での放射性物質除去の方が日当が高いという「逆転現象」も起きている。作業経験のある男性(東京都)は、除染に仕事を変えたら日当が1万1000円から1万5700円に増えた。
作業員の数を確保しようとするあまり、質の低下もささやかれている。「ナットの締め方すら分からなかったり、簡単な漢字が読めなかったりする人もいる」と現場を知る関係者は指摘する。
東電は13年12月以降発注の工事を対象に1日の人件費を1万円増やした。だが、上乗せ分が末端作業員まで届く保証はない。
下請けに入っている男性は、引き上げの効果を疑問視する。多重下請けという構造的な問題が手付かずのためだ。東電の対策について、東京五輪に絡めて言い表した。
「お・も・て・だ・け」
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