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ひたすら原発礼賛…米映画「パンドラの約束」の危険な中身
http://gendai.net/articles/view/geino/149221
2014年4月4日 日刊ゲンダイ
(配給:トラヴィス)
脱原発派がスクリーンを破りたくなるような映画がまもなく公開される。米国のドキュメンタリー映画「パンドラの約束」(2013年)だ。
原発の実態を探るため世界中を取材。米国の環境保護運動家スチュアート・ブランドや女性ジャーナリストのグイネス・クレイブンスなど、主に5人の有識者が原発について語る。
ブランドとクレイブンスは反原発派からの“転向者”。5人とも「アホ言いなさんな」と一喝したくなるような原発礼賛論を展開する。
「化石燃料による大気汚染で300万人が死亡しているが、空気を汚染しない原発は1人も死者を出していない」
「低開発国の電気のない地域の人は寿命が短い」「われわれが食べるバナナだって放射性カリウムを含んでいる。放射能はどこにでもある」
「チェルノブイリ原発の周辺の村は人が戻ってきていて安全だ。WHOのリポートでも奇形児は生まれていない。チェルノブイリが危険というのは都市伝説にすぎない」
「福島のがんのリスクはゼロ。今後もリスクは増えない」
「フランスの電力の80%を担う50基の原発が生み出す廃棄物は部屋1室分にも満たない」
■試写会には東電関係者が多数
5人が入れ代わり立ち代わりで、原発の安全性を説き続けるのだ。関係者によると、最近開かれた試写会には多くの東電関係者が集まったという。映画は米国発だが、日本の原発推進勢力が巻き返しを始めたともいえるだろう。
映画作家の森達也氏は「原発推進派の論理が浅いことに愕然(がくぜん)としました」とこう言う。
「この映画の論調は『COの問題は深刻だ。大気汚染を我慢するか、それともクリーンな原発を選ぶか』という二者択一に支配されています。ドキュメンタリーだから仕方ありませんが、自分たちに都合のいい数字や現象だけを羅列。フランスの廃棄物は1室分未満というが、どれくらいの大きさの部屋なのかも分かりません。原発推進派が苦し紛れに作った映画という印象を受けます」
ロシアの核弾頭を米国が輸入して発電に利用しているという話も出てくる。これまで解体した核弾頭は1600発に達するという。ビル・ゲイツも投資している未来型の原発「進行波炉」は一度起動すると60年以上動き続ける画期的な原発として紹介されている。
「核弾頭の再利用は事実でしょうが、『原発がないとロシアの核兵器が減らない。だから平和にならない』と言わんばかりのロジックにはアキれてしまいます。『ビル・ゲイツ氏も投資している』と説明するのは有名人を使って原発の安全性をアピールしてきた東電のやり方と同じ。この映画は原発の一面しか捉えていない点で、決して科学的なドキュメンタリーではない。原発が環境にどんな変化をもたらし、われわれの生活にどれほどの悪影響を与えるのかを考えながら見なければなりません」(森達也氏)
4月19日から渋谷「シネマライズ」で上映。苦し紛れの原発推進派を笑い飛ばしてみますか。
パンドラの約束 予告編
公開日: 2013/10/09
環境保護派たちが、地球温暖化・気候変動の現実に悩みぬいた末に出した結論は原子力エネルギーの必要性だった。本作はある環境保護派たちが反原発から原発支持の立場へと「転換」するドキュメンタリーです。しかし、彼らは転換後も悩んでいます。原発反対の世論に対して、支持を堂々と発言することは危険とみなされるからです。
さて、どうして彼らは転換したのでしょうか?福島の事故、原発は危険ではないのか?放射線はだいじょうぶなのか?
ロバート・ストーン監督は福島を始め、チェルノブイリ、ブラジルなど世界中で取材を敢行しました。
このドキュメンタリー映画は、私たち一人ひとりに気候変動とエネルギー問題を考えさせるものです。本年度の問題作であることは言うまでもありません。
サンダンス映画祭2013上映では大きな反響と共感を呼び、全米31都市で上映されています。
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