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責任果たさぬ原発政策
http://magicmemo.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/520-0c24.html
2014年4月4日 東京新聞:核心 俺的メモあれこれ
自民、公明両党は3日、原発の活用を柱とした新たな政府のエネルギー基本計画案を了承した。「責任あるエネルギー政策を構築する」(安倍晋三首相)と言いながら、事故時の責任の明確化や、なきに等しい損害賠償への備えをどうするかはほとんど議論されず、責任を果たしたとは言えない。使用済み核燃料から取り出した核物質プルトニウムを再利用する核燃料サイクル事業も問題を解決することなく、現状のまま進めようとしている。(吉田通夫、宮尾幹成、岸本拓也)
◆配慮
「そんなことやってたら半年はかかる」
事故の責任や損害賠償のあり方を定める原子力損害賠償法(原賠法)の見直しを先送りした理由を、自民党資源・エネルギー戦力調査会の山本拓会長はこう弁明した。
与党が合意したエネルギー基本計画案には「(賠償責任について)総合的に検討する」と記されたが、国会が別の法律の付帯決議で約束した原賠法の見直し期限(2012年8月)から1年半以上が過ぎている。
現行の原賠法では、事故責任は電力会社にあるとしながらも、大災害やテロなどが原因の場合は「その限りでない」と曖昧だ。与党の協議でも問題視する意見は出たが、原賠法改正という国会の責任を果たそうという流れにはならなかった。
「現行の原賠法は電力会社に厳しすぎる」(各社でつくる電気事業連合会の八木誠会長)という「原子力ムラ」への配慮がにじむ。
だが、このまま原発を再稼働させて事故が起きれば、東京電力福島第一原発事故のときのようにだれに責任があるのか分からない。電力会社はもちろん、株主や金融機関の責任は何ら問われないまま、また公的資金が投入されていく公算が大きい。
◆被害
巨額な原発事故の被害に対し、資金的な備えがほとんどないにもかかわらず、解決への議論もなかった。
福島事故では、現時点の概算でも損害賠償3.5兆円、除染費用などで3.5兆円、原発内の事故収束費用で1.5兆円の計8.5兆円がかかる。避難の長期化、除染ごみの最終処分なども加えるとまだ増える。
一方の電力会社の備えは1200億円の保険金しかない。被害額のわずか70分の1だ。経営体力、人員とも国内最大だった東電でさえ、避難住民への賠償、除染費用の支払いが遅れている。事故収束の作業でも、コスト削減によって作業員が十分確保できない事態まで招いている。
◆もんじゅ
総額10兆円もつぎ込みながら、高速増殖原型炉もんじゅをはじめ、実用化のめどが立たない核燃料サイクル事業。継続には与党内からも「破綻しているのは明白」(自民党の河野太郎副幹事長)など強い異論があるが、基本的には現状維持となった。
日本には、使用済み核燃料を溶かして取り出した約45トンのプルトニウムがある。それを発電に使うという建前が崩れれば、国際社会から軍事利用への疑念を持たれる。首相がハーグでの核安全保障サミットで、早々と現政策の維持を表明したのもこのためだ。
しかし、現実には電力会社は再利用計画をつくれない状態が続いている。プルトニウムにウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料にして原発で再利用すれば、行き場のない核のごみが倍増することも政府は承知している。
今回の与党合意は「廃止」を公約した公明党がもんじゅ容認に傾いたことが大きい。「(もんじゅは)廃棄物の減容、有害度の低減など大きな可能性がある」(斉藤鉄夫幹事長代行)というが、実用化もできていない現状を考えれば、後づけの理屈にしか聞こえない。
2014年4月4日 東京新聞:核心
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014040402000155.html
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