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エネルギー基本計画 数値、経産省が抵抗 /クローズアップ2014
http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7615003.html
毎日新聞 2014年04月04日 東京朝刊 :No Nukes 原発ゼロ
政府が来週にも「エネルギー基本計画」を閣議決定する見通しになった。自民、公明両党は原発に厳しい世論を意識して、再生可能エネルギーの数値目標、高速増殖原型炉「もんじゅ」について政府原案を修正し、原発回帰の色合いを薄めようと躍起になったが、実際の政策にはほとんど影響を与えない範囲にとどまった。むしろ原発も核燃料サイクルもやめないという原案の柱は温存され、政府・与党は今夏にも原発再稼働へとかじを切ることになる。
◇脚注に震災前の目標
「いろいろな意見がある中で、数値目標を提示できたことは素晴らしい」
公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は3日、エネルギー基本計画の修正案で自民、公明両党が合意したことを受け、記者団に胸を張った。公明党はこれまでの選挙公約で2030年の再生可能エネルギーの比率を30%とする目標を打ち出した手前、基本計画で公約との整合性を図る必要に迫られており、斉藤氏は「公約と矛盾しない形でのとりまとめになった」と強調した。
ただ、斉藤氏の言う「数値目標」は本文ではなく脚注という形で示された。その上で「これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準をさらに上回る水準の導入を目指す」とした。脚注方式を提案したのは経済産業省。しかも11年の東京電力福島第1原発事故前に設けられた数値目標だ。
政府・自民党も再生エネを強調したい事情は公明党と同じだ。安倍晋三首相は昨年3月、3年間で再生エネの普及を図り、原子力の代替エネルギー化を進めると表明。今年1月の施政方針演説でも「徹底した省エネルギー社会の実現と、再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減させる」と、表向きは原発推進路線を可能な限り転換するともとれる考えを強調していた。
脚注に示した数値目標の一つは09年8月に策定され、総発電量に占める再生エネ比率を20年に13・5%に引き上げる目標。もう一つは10年6月策定で、30年の再生エネ比率を約20%にするものだ。しかし震災後の節電の定着と、12年7月に始まった固定価格買い取り制度(FIT)の効果で、12年度時点の再生エネ比率は既に10%に達している。過去の水準を「上回る」との目標は、首相が示した「最大限の導入」には程遠く、公明党の公約からもかけ離れているのが実態だ。
与党が当初、基本計画案で明確な数値目標を示すよう求めたのに対し、経産省は「他の電源の数値がないのに、再生エネだけ入れることはできない」と抵抗した。このため与党側は、表現ぶりで再生エネ推進の姿勢をできるだけ示し、「原発回帰」との批判をかわす方向に軟化。結局、「『さらに』でも『大幅に』でも『最大限』でもいい」(自民党幹部)と経産省に妥協案を示し、「さらに」で決着した。再生エネ普及に取り組む姿勢をアピールする狙いからだったが、政府原案から大きく踏み出す内容とはならなかった。
一方、修正案には、公明党の公約への配慮から、再生エネの関係閣僚会議の新設も明記。与党が「30年30%」の目標について議論したことを踏まえ、政府に対し「エネルギーミックスの提示に際し、具体的かつ野心的な導入目標を併せて提示する」よう申し入れる考えだ。
だが、原発再稼働を重視する経産省幹部は「経済への影響を考えれば、再生エネの高い数値目標を安易に掲げるのは控えるべきだ」と冷ややかだ。安倍政権が原発再稼働路線にかじを切る中、どこまで再生エネ普及を実現できるかは不透明なままだ。【笈田直樹、大久保渉】
◇「増殖炉もんじゅ」延命
1兆円超を投入されながら、ほとんど稼働できずに税金と時間を浪費してきたうえ、日本原子力研究開発機構の点検漏れなど不祥事があった「もんじゅ」。自民、公明両党が「現状のままでは世論が許さない」と矛先を向けた。文言を修正して「増殖炉ではなく、核のごみ減容炉」という側面を前面に押し出したものの、実際には増殖炉の選択肢が消えたわけではない。
修正案には、増殖炉という文言は盛り込まなかったが、「もんじゅ研究計画に示した研究成果の取りまとめを目指す」との一文が残った。文部科学省が昨年9月に策定した研究計画は、ごみ減容炉である「高速炉」と「高速増殖炉」の二本柱を掲げており、研究計画の容認は、そのまま二本柱の存続を意味する。
そもそも高速炉と高速増殖炉は原子炉自体はほぼ同じで、中に入れる核燃料が異なるだけ。高速炉に看板を掛け替えたとしても、後に高速増殖炉として使うことも可能だ。元原子炉技術者は「ただの言葉遊び。全くの欺瞞(ぎまん)」と憤る。「増殖炉もんじゅ」は事実上延命したことになる。
だが前途は多難だ。もんじゅは1991年の運転開始から23年が経過したが、操業前の試験段階で足踏みしたままで、ほとんど稼働実績がない。ナトリウム漏れ火災(95年)や核燃料交換装置の炉内落下(2010年)などの事故が相次ぎ、12年には全機器の15%にあたる約7000機器で点検漏れが発覚したためだ。
原子力規制委員会はもんじゅ直下にある断層の活動性の調査を始めており、稼働が遠のく原因になっている。原子力規制庁幹部は「もんじゅはマイナスからのスタート。簡単に先に進めるわけにはいかない」と話す。
もんじゅだけでなく、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)も完成のめどは立っていない。東京電力福島第1原発事故前から、存廃が問われていた核燃料サイクルの「両輪」。原発事故を経て発電量全体に占める原発の比率がかつての3割から大きく減るのは確実で、巨額の資金を投じてまで核燃料サイクルを続ける意味は一段と低下した。政府・与党は、事故後の状況変化は素通りし、サイクル推進を掲げた格好だ。【酒造唯、清水憲司】
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