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風知草:「核物質返還」の意味=山田孝男
http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7608617.html
毎日新聞 2014年03月31日 東京朝刊 :No Nukes 原発ゼロ
ウクライナ問題と日米韓首脳会談に関心が集まったハーグの核安全保障サミットのニュースに、こういうものがあった。
「安倍晋三首相、東海村の核物質を全量撤去し、米へ返還の意向を表明」(毎日新聞25日朝刊)
日本は率先垂範、テロの標的になりそうな核物質をアメリカに差し出すことにした。さすがは平和を愛する同盟国、これで世界も安心だと思いたいが、そうは問屋が卸さない。
核拡散をめぐり、あらかじめ厳しい日米交渉があった。核物質をアメリカに返すという安倍首相発言は妥協の産物、取引の帰結だった。事ここに至った背景を調べると、国際合意とは裏腹の、核物質管理の暗い未来が見えてくる。
◇
あらかじめの日米取引とはどんなものか。
日本の研究機関は、手元に置いておきたい高濃縮ウランとプルトニウムをアメリカに供出する。
その見返りとして、アメリカは、2019年で打ち切られる予定だった、日本の研究炉からの使用済み核燃料の引き取りを、19年以降も当分続ける。
取引の結果、核物質縮減管理の旗振り役・アメリカは面目を施す。日本は、危険な使用済み燃料がたまっていくという、研究機関立地府県(大阪、神奈川、茨城)の動揺を抑え、研究を続けられる−−。
ちなみに、東海村の核物質は、茨城県東海村の日本原子力研究開発機構(JAEA)に蓄積された高濃縮ウランとプルトニウム合計0・5トンである。原爆を数十発つくれる。
一方、日本には原発から生まれるプルトニウムが約200トン(うち、英仏に保管中の分を含む再処理済みが45トン、再処理前の使用済み燃料に含まれるものが152トン)ある。単純計算で原爆4万発分だ。
だが、テロリストが容易に軍事転用できるのは研究施設の純度の高い核物質であり、さればこそ、東海村が対象になった。
◇
原子力平和利用の元祖はアメリカのアイゼンハワー元大統領である。
「Atoms for Peace」
1953年、国連でそう演説した。以来、アメリカは、日本を含む同盟国、友好国に燃料用・研究用のウランとプルトニウムをばらまいてきた。揚げ句の果てがいまの世界だ。
アメリカは2004年以来、ロシアと組み、世界各地に散らばった核物質の回収に努めてきた。
そのかいあって、一定量以上の高濃縮ウランやプルトニウムを保有する国は減ってきた半面、核物質の違法な取引、盗難、紛失は後を絶たず、世界はかえって混沌(こんとん)としている。
核サミットの全体会合では、オバマ米大統領の左にパキスタンのシャリフ首相が座っていた。
パキスタンは核拡散防止条約(NPT)の未加盟国だが核兵器を持つ。しかも、いまや全土でテロがたけり狂っている。話し合いによる核物質の返還どころの話ではない。
アメリカも矛盾を抱えている。ロシアと呼吸が合わない。核兵器にも平和利用にも目を光らせ、次々舞い込む核物質を管理し続けなければならない。
東海村のウラン、プルトニウムのアメリカ移管は当座しのぎの政治調整に過ぎず、地上の核物質の量が減るわけではない。
そうと知りながら、日本は原発輸出で核拡散のアクセルを踏み続けている。矛盾の解決を未来に先送りして、人類は核物質を増やし続けている。(毎週月曜日に掲載)
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