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経済産業省の看板では、「原子力・安全保安院」の文字はすでにテープで隠されている
Photo by Jun Morikawa
原発処理の“保安院”復活!? 「廃炉機構」設立で透ける裏側
http://diamond.jp/articles/-/50858
2014年3月31日 週刊ダイヤモンド編集部
今年1月、国の原子力損害賠償支援機構(原賠機構)の運営委員は、経済産業省幹部に組織改編の資料を提示され、思わず顔をしかめてしまった。
「賠償・廃炉・汚染水センター」。組織改編で誕生する新機構の仮称がこう記されていたためだ。
原賠機構は、そもそも福島第1原子力発電所の事故後から、原発事故に関連する損害の賠償と東京電力の経営合理化を主導してきた組織である。原発の事故処理が長引く中、新たに廃炉推進の機能が追加されることになったのだ。
原賠機構は、東電改革で結果を出してきたという自負があるだけに、「まさか廃炉センターなどという名前の機関で働くとは思わなかった」と委員の1人は戸惑いを隠せない。
経産省からも「賠償と廃炉はかなり業務が違う。一つの組織にするのは難しいのでは」(幹部)と疑問の声も聞こえる。
懸念が渦巻く中、政府は組織改編を盛り込んだ原賠機構法の改正案を閣議決定し、今国会での成立を目指している。
福島第1原発の事故から3年、廃炉や汚染水対策は国民の大きな関心事である。だが、なぜかくも違和感のある組織改編がなされることになったのだろうか――。
一番の理由は、廃炉や汚染水対策を東電のみに委ねる「東電任せ」の体制をあらためて、国が前面に立って指導力を発揮するためだ。このため、すでに東電との密な連絡が取れている原賠機構に機能を追加する形にしたのだという。
政府関係者は「これまで東電は、どう廃炉を進めていいのか分かっていなかったが、国が方向性を示すことで、作業は迅速化されるはず」と自信を見せる。
新機構では、6〜7月をめどに重電メーカーやゼネコンや海外機関などから、30人程度の廃炉や汚染水対策の専門家を集める考えだ。
昨年8月に発足した廃炉戦略を決定する「国際廃炉研究機構(IRID)」の一部機能も、機構に移す。その上で、東電から分社される「廃炉カンパニー(仮称)」に対して、指導・命令をする形になるという。
■専門家がいない経産省
ただ、ここまでは表向きの理由にすぎない。“廃炉センター”の創設には、経産省の裏の狙いもある。
「新機構には『ミニ保安院』としての機能を担ってもらう」と、ある政府関係者は打ち明ける。
保安院とは、かつて経産省内にあり原発規制を牛耳っていた「原子力安全・保安院」という機関のこと。原発事故の発生後、具体的な指導力を発揮することができず、2012年9月に原発規制は、独立の新組織である原子力規制委員会に移された。
同時に旧保安院のメンバーは大半が規制委を管轄する原子力規制庁へ移り、経産省には戻れない「ノーリターン」が義務づけられた。
規制委の設立により、経産省では原子力の専門知識を持った人材が枯渇した。原子力行政を担う組織でありながら、東電に廃炉の的確な方向性を示せない。だから旧保安院のように原子力の知見の蓄積が必要だというのだ。
政府関係者は、「経産省内部に原発のプロがいない。だから、新機構に専門家をプールしていく仕組みが必要」と強調する。
また、経産省内には、独立機関である規制委への不満も大きい。
規制委にも汚染水対策を検討する機能はあるが、現状では、全国から提出された原発再稼働の前提となる審査に手を取られて、有効な対策を打ち出せていないからだ。
「規制委がやっているのはチェックや監視だけ。どうやれば廃炉が迅速に進められるか? 具体的なノウハウについては、全く考えていないはず」と別の経産省幹部は批判する。
だが、それが事実にしても、経産省は原発で信頼を失っている。新機構が原発への影響力の増大させる組織となっては本末転倒だろう。万が一にも、亡霊のようにかつての保安院を復活させることが目的になってはならない。
廃炉や汚染水の処理は30年以上にもわたる長期の取り組みだ。新機構が実効力を国民に示せることが何よりも求められている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)
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