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燃料棒破損、相次ぐ事故 小出裕章
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7595937.html
2014年03月22日19:15 とある原発の溶融貫通(メルトスルー)
石井彰:
小出さん、今日は全国の原発で一番原発の心臓部である「核燃料集合体に小さな穴が空く等のトラブルがたくさん起きていた」と、東京新聞の取材でこれが明らかになったんですが。
この核燃料棒のトラブルについて、実は小出さんは1973年に美浜原発で起きた燃料棒が折れてしまう。折れて損傷してしまう事故の調査をされたことがあるそうですね。
小出さん:
そうです。美浜原子力発電所というのは、1970年の大阪の万博に合わせて発電を開始しました。そして、運転をして定期検査をしてということをやってきたのですが、73年の4月に第2回目の定期検査をした時に、燃料棒が折れてしまって、合計で1メートル70センチにもわたって粉々になって無くなってしまっていたという事故を発見した。
ところが、発見をした途端に、それを隠してしまうということになりまして、その事故が発覚したのは、1976年の暮れになってから初めて「あっ、そんな事故があったんだ」ということがわかったわけです。
その事故の調査を日本原子力研究所という所でやったのですが、美浜の原子力発電所から日本原子力発電所に壊れてしまった燃料の欠片等を輸送するために特殊な容器が必要にになりまして、その容器は私が勤務している京都大学原子炉実験所にしか当時ありませんでした。
それで、当時の所長であった柴田俊一さんっていう方が「容器は貸すけれども、キチッと自分達で調査をするからデータを寄こせ」ということで、関電と合意をしまして容器を貸しました。そして、京都大学原子炉実験所の中に調査の委員会を作りまして、私もその一員として調査に加わりました。
で、まあ一番驚いたことは、日本の原子力開発というのがほんとに酷い事故が起きても、それを隠してしまうような体制だったんだということでした。
そして、結論から言えば、燃料棒が壊れたというのは原子炉の構造の欠陥でした。ちょっと専門的になって申し訳ないのですが、燃料集合体を配置してある場所にバッフル板という特殊な鋼鉄の板が外側を囲っていたのですが、そのバッフル板に隙間があって、そこから異常な水が炉心に向かって流れ込んで燃料棒が振動して、そして壊れてしまったということだと私は思っています。
そして、その問題は今でも根本的な解決に至らないまま続いていますので、今後もまた起こりうるのではないかと私は心配しています。
石井彰:
なるほどね。それで、あの最初の話に戻るんですが、福島以外の原発でも燃料棒にピンホール(小さな穴)が空いていたり、いろんな自体があるということがわかりました。
小出さん:
はい。
石井彰:
このことについて、まず小出さんはどういうことをお考えになってらっしゃいますか?
小出さん:
はい。まず、皆さんその燃料棒という物のイメージを持っていただきたいのですが。形で言うと、外形が約1センチ、長さが4メートルという細なが〜いパイプです。
そして、パイプの肉厚がとても薄くて0.6ミリ、厚いものでも0.9ミリぐらいしかないという。そんなものなのです。で、なぜそんな薄くしてあるかと言うと、そのパイプの中にウランを焼き温めたペレットという物が入っているわけですが、そこでウランが核分裂して熱が出てくるわけですね。
その熱を燃料棒を通して外側にある水に伝えて、それで蒸気を発生させて発電するというシステムなのですが。パイプが厚いと熱が伝わりにくくなってしまいますので、できるだけ薄くしなければいけないのです。
そして一方では、その燃料棒というのはウランが核分裂してできてくる核分裂生成物という物を閉じ込める。水の方には漏らさないという大切な役割もまた負わなければいけないのです。
放射能を漏らさないためには、できるだけ厚くした方がいいわけですけれども、逆に、熱を通すためには薄くしなければいけないということで、なかなか難しい課題を背負わされたものなわけです。
で、原子力をやるにあたって「この程度でいいだろう」ということで、まあ様々な試行錯誤を繰り返しながら今日まで来ているわけですけれども。
金属のパイプというのは、時には傷が付いたり、穴が空いたりということは避けられないわけで。特に原子力発電をやり始めた当初はたくさんの原子力発電所のたくさんの燃料で穴が空いたり割れたり。先ほど聞いていただいたように、折れて無くなってしまうというような事も頻発していました。
ですから、そういうトラブルは、今日ご質問いただいたのは燃料棒という物ですけれども、その他、原子力発電所の中の様々な配管でも、これまでもたびたび様々なトラブルが起きてきて、いつだったかな?2000年を過ぎた頃だったと思いますけれども、やはり美浜という原子力発電所で二次系のもの凄い太いパイプがいきなり割れてしまって、作業をしていた労働者5人だったか、6人だったか熱湯を浴びて死んでしまうという、そんな事故もありました。
石井彰:
そうですね。とすると、つまり放射能という大変私達が制御できない物を先ほどの小出さんのお話では、大変細い管の中に入れて管理をしてる。で、実はそれが原子力発電所の一番の心臓部にむしろ脆弱性があるという理解をした方がいい。
小出さん:
はい。おっしゃる通りです。避けられないのです。それは。
石井彰:
ん〜、すみません。あの、小出さん、そういう事が最初っから当然科学者達はわかってたわけですよね?
小出さん:
もちろんです。分かっていましたし、なんとか壊れないような物を作りたいとして、技術的には一歩一歩進んではきているのですけれども。
始めに聞いていただいたように、放射能は閉じ込めなければいけないし、熱は通さなければいけないという根本的な矛盾を抱えた物ですので、完璧に欠陥を防ぐということは今日に至ってもできないでいるわけです。
石井彰:
「福島第一原子力発電所が事故を起こしたから、原発を止めなければいけない」ではなくて、そもそも原子力発電所という構造自体に科学的に無理がある。無茶があるというふうに僕は思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか?
小出さん:
私は基本的にそう思っています。
石井彰:
いつもほんとに全然科学や物理の知識がないばっかりに、なんかトンチンカンな質問をしたかもしれませんが、またこれに懲りずによろしくお願い致します。
小出さん:
こちらこそ、よろしくお願いします。
石井彰:
今日はどうもありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
http://www.rafjp.org/koidejournal/no63/
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