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家から荷物を運び出す=双葉町
(プロメテウスの罠)内部告発者:18 水が止まれば終わり
http://www.asahi.com/articles/DA3S11040743.html?iref=comtop_list_ren_n08
2014年3月21日05時00分 朝日新聞
◇No.866
ケイ・スガオカ(62)の親友、山田光昭(61)は昨年11月20日、避難先の宮崎市から、福島県双葉町の自宅を訪れた。2011年3月11日、震災の日の夜にここを出て以来の帰宅だった。
前夜は相馬市に泊まった。午前9時半すぎ、ハイエースを広い敷地に乗り入れる。
「ただいまぁ」
頭にしばりつけるように固定した防護マスクの中で、そうつぶやいてみた。
平屋の家の向こうに、屋根の3倍を超える高さの大きなブナの木が見える。葉は落ちているが、見事な枝ぶりが青空に映える。
「ただいまぁ」
もう一度、呼びかけた。遠くでカラスが鳴いている。カア、カア、カア。庭の柿の木に、たくさんの赤い実がなっている。
毎時13マイクロシーベルト。線量計にそう表示されている。東京電力福島第一原発の原子炉から直線距離で3キロ余のこの家は、帰還困難区域の中にあり、事前に役場に届けを出して初めて立ち入りが許される。
母屋の玄関の前に車を止める。軒先に震災前の洗濯物が干したままとなっている。トレーナーの青色はずいぶんくすんでしまった。
枯れ草に覆われた庭を見て山田は「しかしねぇ」とつぶやく。「笑っちゃうよねぇ」
もう、あの時代は戻ってこない。やっぱり夢も希望もない。その現実がこれだ、と思う。
離れの2階家に向かう。軒下に愛用のサーフボードがある。中に入るとギターアンプ。全部で9台。宮崎からわざわざ戻ってきた目的は、この「お宝」を持って帰ることだ。
この家に住んでいた30年ほど前、GE技術者だったスガオカがよく遊びに来た。
スガオカは、酔いつぶれてそのままソファで泊まることがあった。それほど酔っているときにも、折に触れて繰り返すことばがあった。
「原発は水が命だ。水が止まったら原発は終わりだ。そのときはできるだけ遠くに逃げなければいけない。水以外では冷やすことができないんだ」
そんな言葉が脳裏にあったから、11年3月11日夕、福島第一原発の異常を伝えるニュースをテレビで見た直後、山田は家を出ると決めた。
毛布を車に積み込み、家族と犬3匹。10キロ圏内に避難指示が出たのはその10時間後だった。(奥山俊宏)
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