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原発作業で悪性リンパ腫 神戸の男性労災認定 厚労省
神戸新聞 2014/3/20 07:10
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201403/0006792558.shtml
関西電力の下請けとして福井県の美浜原発などで27年間働き、悪性リンパ腫を発症した神戸市内の男性(62)の労災申請に対し、厚生労働省が昨年12月、労災認定していたことが19日、分かった。病気と放射線被ばくに因果関係を認めたとみられるが、悪性リンパ腫は国の労災認定基準に含まれておらず、今後、対象疾病の拡大につながる可能性がある。
放射線影響協会(東京都)によると、原発関連施設で働く人に発給される「放射線管理手帳」の登録者は約48万人(死亡者を含む)。一方、労災認定された作業員は今回を含め過去37年間で13人にとどまる。
代理人の藤原精吾弁護士(兵庫県弁護士会)によると、男性は1983〜2011年まで関西電力の3次下請け会社に勤務。大飯、高浜など3原発を中心に配管バルブの点検作業に従事した。
定年退職直前の11年7月、悪性リンパ腫を発症。同年8月に緊急手術を受け、化学療法を続けた。12年末、「病気になったのは原発での仕事が原因」として神戸西労働基準監督署に労災申請。厚生労働省が専門家による検討会で審査し、昨年12月、労災を認めた。
悪性リンパ腫は白血病と並ぶ「血液のがん」で、放射線に起因するとみられているが、白血病とは異なり国の基準外。時間がかかる個別審査が必要で、これまで4人が労災認定されている。厚労省は今回の認定について「個別ケースには答えられない」としている。
藤原弁護士は「福島原発事故で被ばく労働が注目されるようになったが、下請け作業員は以前から高線量の被ばくを余儀なくされてきた。放射線起因性の病気について、国は積極的に労災認定すべきだ」としている。
(木村信行)
◇ ◇
【原発作業員の労災認定】厚生労働省は1976年、白血病や甲状腺がんなど特定の病気について、被ばく線量など労災認定基準を定めた。基準がない病気の場合、個別審査を行って病気と被ばくの因果関係を調査し、認定するかどうか判断する。
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原発作業員「泣き寝入りしないで」 救済の広がり期待
神戸新聞 2014/3/20 07:30
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201403/0006792598.shtml
泣き寝入りの仲間はもっといる‐。関西電力の原子力発電所で27年間働き、悪性リンパ腫になった神戸市内の男性(62)が労災認定された。最初に相談した兵庫労働局では「認定対象ではない」と告げられていた。下請け作業員の弱い立場を振り返り、「危険な作業の大半は下請けが担っている。今回の認定をきっかけに申請する人が増えれば」と救済の広がりに期待する。
男性は1983年、関電の3次下請けに入社。定期検査のたびに福井県の美浜、大飯、高浜原発で配管の点検作業に従事した。
入社から数年はマスクもせずに高線量の原子炉建屋で働いた。「当時はそれが当たり前だった」
1日の被ばく限度は1ミリシーベルト。だが、作業開始から15分で線量オーバーを知らせるアラームが鳴り響くこともあった。27年間の積算線量は168ミリシーベルト。国際放射線防護委員会(ICRP)が「がんのリスクが増える」とした100ミリシーベルトを超えた。それでも、会社の線量管理は徹底してると感じ、「(放射線起因性の)病気になるはずがない」と思っていた。
しかし、定年の1カ月前に悪性リンパ腫が判明。急きょ手術するなど治療中に退職したため、健康保険手帳が停止され、一時的に治療費を全額負担した。会社からは何の説明もなく、「見捨てるのか」と初めて不信感を抱いた。退職金の200万円はすべて治療費に消えた。
2011年末、兵庫労働局に労災申請の相談に行くと、「因果関係の証明は難しい」。あきらめていたが、知人を通じて弁護士に相談し、昨年12月、ようやく認定された。
福島第1原発事故では、復旧にあたった作業員5人が労災申請したが、2人は被ばく線量が低いなどとして却下されている。男性は「高線量の現場で働く福島の作業員が心配でならない」と話した。(木村信行)
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