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除染作業員「何でこんな無駄なことを」の声も業者はボロ儲け
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140319-00000008-pseven-soci
SAPIO 2014年4月号
放射性物質を取り除くための除染作業の予算はどんどん積み増されてきた。2014年度予算案には4924億円が計上され、これまでの総額は1兆8899億円にのぼる。しかし、除染作業は計画通りに進んでおらず、費用の総額は5兆円以上になるとの試算も出ている。
国は放射線量が年間1ミリシーベルト以下(自然界から受ける放射線量を除く。以下同)にすることを目標に掲げている。この年間1ミリシーベルト以下という目標が合理性の低いものであることは、世界の専門家の常識だ。昨年来日した国際原子力機関(IAEA)専門家チームも「1ミリシーベルトにこだわる必要はない」と述べている。
にもかかわらず巨額予算が注ぎ込まれる除染とはどのような作業なのか。除染作業員はこう証言する。
「作業は主に3種類あります。1つめは地面の土の表面をスコップで?がして、その土をトンパック(大袋)に入れること。2つめは草刈りや伐採。3つめは洗浄です。家の壁や道路を水で洗う。スピナーと呼ばれる器具で水を吹き付けたり、デッキブラシでこすったりして、使った水は専用の処理機に入れます。屋根の洗浄だけは鳶職がやりますが、それ以外は正直言って誰でもできる作業です」
そうした単純作業を繰り返して年間1ミリシーベルト以下という目標値を目指していくのだが、「雨が降れば道路や排水溝などは再除染が必要になる」(同前)といったことはざら。つまり1ミリシーベルト以下は“終わりのない旅”なのである。
そんな無意味な作業を続けるのは、業者と政治家にとって除染が「カネのなる木」だからだ。
通常、公共事業に長い時間をかけて湯水の如く予算を使えば世論の批判を招く。しかし除染については「放射能は低ければ低いほどいい」「徹底的に取り除くべきだ」と一部世論がむしろ積極的に後押ししてくれる。しかも専門技能を持つ現場作業員を集める必要はない。公共事業が削られ続けた中で、除染事業は“貴重な存在”である。
別の除染作業員はこんな言い方をする。
「作業員はみんな、『なんでこんな無駄なことをしているんだろう?』と感じていますよ。自治体発注の地域は年間数ミリシーベルト程度の低線量地区が多く、除染しているすぐそばで買い物に行く人やジョギングしている人がいます。自分のやっていることに疑問を抱くのは当然です。まあ、それでも日当が1万5000円くらいで普通の土木工事よりはいいのでやっていますが……」
除染作業員の募集広告を見ると「初心者歓迎」「高収入のお仕事」といった文言が並ぶ。まるで性風俗産業の広告のようだ。そして、「高収入」を払ってもなお業者が利益を出せるということである。
福島県の除染基準要項によれば戸建て住宅1軒の除染費用の目安は70万円で、「1軒の除染に4日、5〜6人でやったとして一人で一日3万円弱稼いだ計算」(同前)ということになる。現場作業員は地元の三次、四次下請けの業者に雇われていることが多いという。業者が各段階でマージンを取っても十分に利益が出る。
これら除染事業は大手ゼネコンを中心としたJVが見事な棲み分けで落札している。2013年度発注の事業でいくつか例を挙げると、
●大熊町/清水建設・大林組などのJV、契約額151億2000万円
●南相馬市/大成建設などのJV、241億2900万円
●富岡町/鹿島建設などのJV、573億3000万円
といった具合だ。
ゼネコン各社は本格的な除染事業が始まる前の2011年に、日本原子力研究開発機構からの委託(随意契約)で実験的な除染モデル事業を行なっている。多くの自治体ではモデル事業を行なったゼネコンがそのまま本事業も落札した。
しかも復興庁の行政事業レビューシートを見ると契約額の大きい除染工事の落札率はいずれも90%を超え、中には1社しか入札していない工事もある。普通の公共事業なら官製談合を疑う声が出てもおかしくないケースだが、ここでも除染は特別視されて批判を免れている。
ともあれ単純作業ばかりの巨額事業、競争相手もいない入札で業者はボロ儲けできる仕組みなのだ。
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