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報告:フクシマを忘れない!さようなら原発 3・15脱原発集会(レイバーネット日本)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0315hokoku
3月15日午後、「フクシマを忘れない!さようなら原発 3・15脱原発集会」が開かれ、会場の日比谷野外音楽堂に5500人が集まった。
1時5分前。ステージではグループ「真相の噂」によるコントが始まった。小泉純一郎元首相に扮する役者と司会の珍問答。過去の郵政民営化政策と脱原発発言をネタに参加者の笑いを誘った。
自作のカンカラ三線で社会風刺の演歌を歌い続ける岡大介さん。明治大正昭和の時代を映す唄はどれも、抑圧された底辺の大衆の気分をあらわしている。
木内みどりさんの司会で1時半に開会。武藤類子さん(ハイロアクション)は以下のように報告した。
福島は雪解けの季節を迎えているが、それは覆われた汚染度が露出し線量が上がることを意味する。春の風は放射性物質を運ぶ。原発事故は収束には程遠く、被害は形を変えている。26万人中74人が甲状腺がんかその疑いがある。それでも地産地消が進んでいる。こうした切実なことが報道されない。私たちは理不尽な被害者だが、じっと黙って生きる道へと誘導されている。「3・11」は記念日ではない。今も続いている。生きていることを喜びながらがんばっていこう。
武藤さんは短いセンテンスで、淡々と語りかけた。その発言は聞く者に現地の光景をはっきりと想像させる力を持っている。作家の大江健三郎さんは、安倍首相がよく口にする「責任」という言葉の意味について語った。大江さんのえん曲な表現とは対照的に、安倍政権をストレートに非難したのが、作家の澤地久枝さんだ。
「安倍政権はみんなの気持ちと反対のことを次々と打ち出してくる。本当に頭にくる。汚染水がコントロールされているなんて真っ赤なウソだ。福島を救えずになぜオリンピックができるのか。この国は世直しをすべきだ。世の中が変わらなければ福島を救えない。がっかりせずますます元気に政府に原発をやめろと要求していきましょう」。
元宇宙飛行士の秋山豊寛(とよひろ)さんが発言。ジャーナリストとして日本人で初めて宇宙に行った。福島で18年間椎茸農家をやっていたが、原木が放射能で汚染され栽培ができないという。「福島を忘れないというスローガンは適切ではない。現在進行形だから」と切り出し、「関東にも東京にも汚染が広がっている」と指摘。
「国会議員は被害の責任を取らず、東電前社長も巨額の退職金でのうのうと暮らしている。しかしそれを許しているのは私たちではないか」と問いかけた。そして「原子力村は新興宗教のようなもの。デモ隊の叫びがテロなのではなく、石破たちが日々やっていることこそテロだ」と糾弾。この日の快晴を天の恵みととらえ、「大きな力で政治家たちに恐怖を与えよう。今後もがんばっていこう」と呼びかけて喝采を浴びた。
被ばく労働ネットのなすびさんは、「脱原発は単にエネルギー政策の問題ではなく、誰かの犠牲の上に成り立っている社会を変えていく運動なのだ」と力を込めた。
閉会のあいさつをする鎌田慧さんが演壇の前に立つと、司会の木内さんが駆け寄った。先の都議選(ママ都知事選)における脱原発勢力の分裂について、鎌田さんが会場から批判を受けることを恐れたのだろうか。懸命に参加者を取りなす気遣い、立ち振る舞いを見せた。私は鎌田さんの口から何らかのコメントを期待していたのだが、鎌田さんは最後まで都議選の問題には触れなかった。
西日を背中に受けた長い影が車道に伸び、色とりどりののぼり旗や横断幕が風にたなびいたパレード。先頭集団から最後尾の団体まで、警備陣は今回もまた細切れに分断した。隊列に張りついた警官は、横断歩道で待つ車や歩行者を口実に、「早く歩け、間を空けるな」など高圧的に煽っていた。
野音の通路までびっしりと埋めつくした参加者たちは、そんな嫌がらせに屈することなく、渾身のアピールを続けた。運動が困難や紆余曲折を経ても、「脱原発、再稼働を許さない」という人々の意志は揺るがない。力強いコールがいつまでも銀座の街に響きわたっていた。(Y)
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