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核保有を志向する日本 小出裕章
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7586168.html
2014年03月15日20:10 とある原発の溶融貫通(メルトスルー)
西谷:
小出さん、前回に引き続きまして、今日はですね「戦争と原発はつながっている その2」にいきたいわけですが、ほんとにねリスナーの皆さんから驚きの声が寄せられてましてね。
更に、知らない話を小出さん教えてくれるわけですが、2010年10月3日ですがNHKがですねスクープドキュメント『核を求めた日本』という番組を放送しているのですが、この番組の中でですね、この外務省の官僚の方ですか?この方?
小出さん:
はい。村田良平さんという外交官です。
西谷:
この方が「日本の国益が脅かされるような緊急事態になったら核兵器を持つ」という選択肢も完全には除外しない。
小出さん:
そうです。
西谷:
これ言ってるんですね。
小出さん:
ええ、言ってるっていうか、日本っていう国がずーっとそうやってそういう方策で、方針でやってきたということですね。
西谷:
これね「1969年2月に日本とドイツがですね箱根で秘密会談をした。」こういう文章が残ってるんですね。
小出さん:
はい。
西谷:
ここにですね、「我が国の外交政策ということで69年9月に核兵器については、NPT(核拡散防止条約)に参加すると否とに関わらず、当面核兵器は保有しない政策にするが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持するとともに・・・」で、そんなことが続いてまして、「経済的な利害特殊の計算に基づくものであるという趣旨を国民に啓発することとし、将来万一の場合における戦術核持ち込みに際し、無用の国内的混乱を避けるように配慮する」。
これ小出さん、つまり外交文章で難しく書いてますが、当面は持たないが、その能力は持っておくということを言ってるわけですね。
小出さん:
そうです。ですから、「政策として持たない。国際的な利害特質の計算の上で判断するだけなのであって、当面は持たないけれども、いつでも持てるように力を付けておけ」という文章ですね。
西谷:
という事は、これ69年ですから、この方針があって核燃料サイクルが始まるわけですね。
小出さん:
まあ、日本は54年に一番初めの原子力予算というのが通ったわけですけれども、69年の外交政策委員会の報告よりずっと前から、実はもう核兵器を作りたかったのです。
で、その流れの中で今、西谷さんが取り上げて下さった外務省の文章も作成されたし、あるいはドイツとの秘密会談なんていうのも行われたわけです。
西谷:
これドイツと日本は、同じように戦争に負けて、日本はドイツに対して「おたくも大変やから核兵器作りたいでしょ?うちも作りたいですわ」みたいな会談ですか?
小出さん:
はい、ぶっちゃけて言えばそういう会談です。
西谷:
ぶっちゃけて言えば。
小出さん:
それで、ただドイツの方はビックリしたんですね。「日本っていう国がそんなことを考えてたのか」と言って。
西谷:
ドイツは戦争の反省があって、「ナチスドイツの反省があったから、もう持たない」と本心でも思ってたけど、日本の場合は反省してないってことですよね?
小出さん:
そうですね。日本の場合には、「なにくそ。今度また二等国に落ちてしまったけど、一等国に這い上がるためには何としても原爆を持ちたい。」と、日本は思ってドイツに働きかけたわけです。
西谷:
なるほど。アメリカ・ロシア・イギリス・中国・フランスね。この5つが持って、日本は持てないのは二等国だと。
小出さん:
そうです。
西谷:
「だから、ドイツも日本も同じような立場だから一緒にちょっと相談して作りませんか?」ということなんですね。
小出裕章:
はい。そうやって持ちかけたのだということがNHKで放映されたのです。
西谷:
これ、小出さんの資料の中に、朝日新聞の1992年11月「プルトニウムの蓄積とミサイルに転用できるロケット技術が開発しておかなければならない」。
小出さん:
そうです。
西谷:
これ、外務省幹部。
小出さん:
そうです。
西谷:
これ、モロですね。
小出さん:
はい。実に的確で、これまでの日本の原子力開発というものがどう行われてきたのかということをほんとに短い言葉で表してくれたと思います。
西谷:
本音が出てると。
小出さん:
はい。
西谷:
これ、だからあれでしょ。プルトニウムを持つこととミサイルの開発があれば、いつでも核兵器が作れるということですね?
小出さん:
そうです。その技術的なポテンシャル、力だけは持っておかなければいけいないということで日本が始まったわけですし、外交官という人達はみんなそうやって思っていたということです。
西谷:
あの例えばですね、この資料の最後に書いてあるんですが、「北朝鮮やイランがこの原子力を開発しようとすると、これは核だ」と「日本やイスラエルがやれば原子力だ」と。これ、ダブルスタンダードですよね?
小出さん:
完璧なダブルスタンダードです。日本のマスコミが、その完璧なダブルスタンダードを昔もやっていたし、現在でもやっていて、今はイランという国がウランの濃縮をやろうとしているのですが、それを日本のマスコミが取り上げる時には必ず「核開発」と呼びます。
西谷:
はい、そうよく聞きますね。
小出さん:
はい。
西谷:
「北朝鮮とかイランは核開発してる。けしからん!」って言いますよね。
小出さん:
そうです。でも、イランにしても朝鮮民主主義人民共和国にしても「ウラン濃縮も原子炉も平和の目的のためにやってるんだ。それは国際的に認められた独立国の権利だ」と言っているわけですね。
それでも日本のマスコミというのは、イランや朝鮮民主主義人民共和国がウラン濃縮、あるいは原子力をやる時には、「あいつら、核開発をしている悪い国だ」という風に必ず報道するわけですし、日本でウラン濃縮、あるいは原子炉をやる時には、「原子力開発」と訳して、あたかも先進国としてすごい立派なことをしているかのように報道するのです。
西谷:
英語にすればNuclear Development(ニュークリア・デベロップメント)ですから、同じ単語なのにイランがやれば「核開発」、日本がやれば「原子力開発」。
小出さん:
そうです。
西谷:
これ、ほんとになんか国民を騙してますよね。
小出さん:
はい。でも、そんなことたくさんあるわけで、先日も朝鮮民主主義人民共和国が人工衛星を打ち上げようとしてロケットを打ち上げた。
西谷:
はいはいはい、大騒ぎしましたね。
小出さん:
きちんと国際機関 ICAO(イカオ、国際民間航空機関)という国際機関に通告してですね、通告通りちゃんとやったわけですけれども。それを日本のマスコミが流す時には「実質的なミサイルを打ち上げた」と、そういう報道になってしまうわけですね。
一方、日本はH2ロケット、あるいは先日はイプシロンでしたけれども。それを打ち上げる時には「平和的なロケットを打ち上げました」という、そんな報道になってしまうわけです。「あまりにも酷いやり方だな」と私は思います。
西谷:
これ、北朝鮮やイランから見たらH2ロケットは、これ核兵器に見えても仕方がないわけでしょ?
小出さん:
そうです。「実質的なミサイルを打ち上げた」という事になるわけですね。
西谷:
これもね、あんまり国民、私も気がついていませんでした。そんなことも含めて、やっぱりもっと見抜く力というか、冷静に判断する力がいると思うんですけど。ただ、この国はですね、特定秘密保護法とかね。今は、共謀罪とか言ってるんですけど。そういう事を発信する、その言論を封じてしまおうという流れがね残念ながら安倍内閣の中であるわけですが。
小出さん:
そうですね。
西谷:
これですね、あの昨年なんですけどね、小出さん達が大阪の某お寺でですね原発の話をしようとしたところ、そのお寺の責任者が小出さん書いている「原発の憲法9条」という、こういう本なんかを見て強烈な政治性を感じて、小出氏が反原発デモに参加していたので「原発という言葉を一切使わずに講演してほしい」これ、どうです?これ。
小出さん:
そうですね。まあ、私も驚きましたけれども、私は原子力ということをずっと話してきましたし、原子力に反対でもありますし、もちろんデモにも行ったことがあります。そんなことは民主主義の国家として当然のことだし、それが何か悪い事であるかのように、そのお寺さんが行って「小出には話をする場を貸さない」と言ったわけですね。
西谷:
貸さないと。
小出さん:
ですから、今、安倍さんの方の法が国家として一人ひとりの人々のですね自由を制限する。あるいは、何か国家に抵抗するならしょっ引いて行くというような事でやろうとしているわけですけれども。
実は、もうそんな事ではなくて、いわゆる社会の中で「原子力に反対するような事は許さない」とかですね。「デモなんかに行くヤツは偏向してるヤツだ」と。そういうことがもう次々とつくられてしまっているということなんだと私は思います。
西谷:
デモに参加したらテロリストだって言ってる。
小出さん:
そうなんですね。
西谷:
やっぱり、こういう事をやっぱり許さずに自由にものが言えて、自由にやっぱり議論ができる社会であってほしいですよね。
小出さん:
はい。そう願います。
西谷:
戦争がくると、その自由が奪われるという事も含めて、私達は原発や戦争に反対していきたいと思います。小出さん、どうも今日はありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。
http://www.rafjp.org/koidejournal/no62/
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