01. 2014年3月11日 13:52:12
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http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYEA2904920140310 コラム:新興国に必要な「原発」という選択肢 2014年 03月 10日 15:03 JST [7日 ロイター] - By Anja Manuel昨年、温室効果ガスの排出量が過去最高の390億トンに達した。米国や欧州では減少した一方、中国やインドでは大幅に増加した。それだけに、新興国の排出量の増加を抑制する革新的な解決策に注目が集まっている。 米国とインドの間で結ばれた民生用原子力協定は、そのような解決策の一つだ。 この協定の基本事項については8年前、ブッシュ米大統領(当時)とインドのシン首相が署名。同協定によって、インドの民生用原子力計画は、国際原子力機関(IAEA)の査察体制の下で進められることになった。その見返りに米政府は制裁を解除し、インドに外国の支援を受けた原子力発電所の建設を認めた。この協定をめぐる議論では、核拡散防止条約や米印のパートナーシップへの影響に焦点が当てられた。 しかし、協定の最も持続的な効果は、インドの深刻な電力不足を解消し、温室効果ガスの増加を抑制することだろう。 インドは急速に成長している。近年、同国の経済成長率は年率6─7%。そのため、インドの破たんした公共事業会社では旺盛な電力需要に対応できず、電力不足が深刻化している。電力の約6割を石炭に依存しているインドでは、停電は日常茶飯事だ。 電力供給が最重要課題であるため、インドは民生用原子力協定に大きな期待を寄せている。同国は2020年までに発電能力25ギガワットの原子炉の建設を計画しており、これはニューヨーク規模の4都市の電力をまかなえられる計算だ。2006年時点で、インドの原発の発電能力は3ギガワットに過ぎなかった。 この協定に基づき、ロシアはインドで原発を最大18基建設する計画で、フランスや米国も関心を示している。 当然のことながら、3年前の福島第1原発の事故を受け、原発事故を懸念する声が高まった。ドイツは2020年までに全原発を廃止する方針を決定。日本は事故後、国内の全原子炉の稼働を停止した。ただ、安倍政権は原発を再稼働する方針を示している。それでもこれらの国は高所得国で、インドが直面する大幅な電力需給のアンバランスは存在しない。 インドのシンクタンクCEEWは、原発の新設がなければ、同国は2095年までに年間10億トンの二酸化炭素を余分に排出することになると試算。これは恐ろしい数字だ。また、もしインドが二酸化炭素の排出を減らすため、原発に頼ることなく代替エネルギーを使用すれば、年間で国内総生産(GDP)の2%分に当たる費用が必要になってくる。 一方、米スタンフォード大学の科学者は2006年、原発の発電能力を20ギガワットに高めることで、インドは二酸化炭素の排出量を年間1億3000万トン以上削減できると試算。(京都議定書で欧州連合(EU)に課せられた削減量は年間2億トンとなる。) 新設される原発が最新の安全基準に従い建設され、国際的な監視体制によって、事故発生の見込みが薄いことが保証できれば、米印間の協定は「大勝利」となる。このような2国間の大きな影響を与える取り組みは、京都議定書をめぐる多国間の論争に終止符を打ち、環境には持続的にプラスの影響を与える可能性がある。 *筆者は2005─07年に特別顧問として米国務省で勤務。パキスタンやアフガニスタン、インド政策を担当。ライス元米国務長官やゲーツ元米国防長官らと共に、戦略コンサルティング会社RiceHadleyGates LLCで共同経営者を務めるほか、スタンフォード大学で講師も務めている。 |