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子供たちの未来へから
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■川瀬俊治
「脱原発を日韓の市民運動の連帯で」
―アジア平和日韓市民ツアーから(前編) 「部落解放」9月号
3・11の福島第1原発事故の体験を韓国の原発周辺に住む住民に伝え脱原発運動の課題を探る「脱核、アジア平和日韓市民ツアー」(以下市民ツアー)が6月18日から1週間、韓国の原発4地域と2候補地などを訪れて交流を深めた。玄海原発訴訟の会原告代表、福島県いわき市の保育園長、各地の市民運動スタッフ、アメリカからの一人の計21人が参加した。その後の追加取材も加えてレポートする。
韓国は世界で5番目の原発大国
韓国の原発の歴史は、日本の原発導入決定時期と大差はない。米ソ冷戦下の1953年12月、アメリカのアイゼンハワー大統領が国連で「平和のための核」(アトムズ・フォー・ピース)宣言を行い、原子力の国際協力と民間企業への門戸解放の働きがなされ、アメリカは自国の陣営国に原発導入を進める。日本は「平和のための核」宣言が出て5ヵ月後の54年4月3日に早くも初の原発予算2億3500万円が国会を通過さす。52年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効後、これまで凍結されていた原子力研究が容認されるようになったことがあげられるが、広島・長崎に核爆弾の被害を受けたことから、原子力研究に慎重になっていた日本の科学者には原子力予算成立は衝撃だったとされる。
韓国では日本の予算通過の3ヵ月後の54年7月、アメリカが「原子力の非軍事的利用に関する韓米協力のための協定」を韓国に提案したことに始まる。自国の研究者を育成することから始め、アメリカの原子炉輸入によって1978年の古里(コリ)原発1号基(釜山市機張郡)が初めて稼働し、以降、現在は4地域(古里、月城(ウォルソン)(慶尚北道慶州市)、蔚珍(ウルジン)(慶尚北道蔚珍郡)、霊光(ヨンガン)(全羅南道霊光郡)で計23基の原発を数える(現在9基休止)。4地域はすべて軍事政権時代に決まったものであり、ほかの地域で新規の原発建設が進まないため、既存地に隣接して増設されてきた。古里原発に隣接して新古里が、月城原発にも隣接して新月城原発が稼動している。
韓国政府は韓国製原発開発が「悲願」であり、1995年の霊光原発3号機から自国製原発(韓国標準型原子炉)を稼動させた。2009年には韓国初の原子炉輸出契約をアラブ首長国連邦と結んだ。この時の韓国世論は「快挙」との賛辞が渦巻いた。貿易立国である韓国は原発輸出を外貨獲得の大きな柱にしたい考えで、李明博前大統領は原発大国として2030年までに計80基の輸出を目指すとした。新政権の朴槿惠(パックネ)大統領は今後の原子力政策を明言していないものの、福島第1原発事故(以下福島)以後も変わらぬ原発推進策を進めた前政権の方針を受け継ぐことは確実だ(原発が占める発電量の割合は12年の34・8%から24年には48・5%を見込む)。原発の密集率は世界1。韓国の23基原発は世界5番目の原発大国である。
全羅南道霊光地域を訪ねて
市民ツアー最初の訪問地は霊光のハンビット原発。今年5月に霊光原発からハンビット原発に名称を変えた。地域名のままでは漁業関係での風評被害が大きく改名した。霊光地域は霊光(当時呼称)1号基が稼働した翌年、87年に原発の温排水被害を漁民が告発、韓国で初の反原発闘争となった地でもある。
また86年のチェルノブイリ原発事故以降、反原発を訴えるろうそくデモを郡庁など前で行なうなど四半世紀以上の反原発運動の歴史をもつ。交流会では地元の霊光農民会(役員だけで200人)、脱核新聞の編集長などが参加した。多くの住民参加で運動をしているのは韓国では霊光が唯一。韓国は慶尚道出身の大統領が続き全羅道への公的投資が遅れたとされるなどの地域差別があったが、これに抗するに野党精神が運動の足腰を強くしているのか、東学農民運動(19世紀末)の伝統が民衆運動に息づいているのか、霊光農民会の運動に民衆運動の力強さを感じた。
最近の運動ではハンビット原発内部調査を昨年11月に民間監視センター(放射能のデーターなど監視する組織で4原発地域に開設。所長は郡長が務める)などとの合同で実現させている。ほかの原発では市民団体も加えた原発内部調査は実現できていない。霊光での地域のまとまの強さが背景にある。さらに長年にわたる甲状腺ガン実態調査が昨年ソウル大の調べでまとまり、ハンビット原発5キロ以内の発生率は30キロを超える地域と比較すると2・5倍の発生率という結果が出た。運動側が医者に調査を依頼して長年のデーターを分析したもので、ハンビット原発だけを対象にした調査であり、明らかになった発生率の有意差は低レベル放射能の影響を物語る。私がインタビューした農民会幹部は「妻と娘が発症している」と語った。
原発隣接地で移転を希望している地域にも訪れた。蔚珍では「原発で村がよくならなかった。集団移住するのが村人の総意だ」と懇談会で語った。原発用地が決まり稼働する段階では村人の抱いた期待は「これから村はよくなる」という素朴な思いだったという。ところが村内に新たな敷設道路では交通事故が多発し、低レベル放射能の影響かは不明だが甲状腺ガン患者の発生が目立つようになった。運動の実態では「脱原発ではなく、移転を認めないなら蔚珍での原発増設は認めないという条件闘争に流れがちだ」との指摘もあった。この移転問題は釜山市の古里原発周辺地区でも聞いた(追加取材による)。88年からの移転要求運動ではこの8月に具体的な移転候補地などで最終結果が出る予定だ。
蔚珍での懇談会で日本側からは福島で直面した実態について説明した。「安全だと言われ続けてきたが、過酷事故が起きると既存のマニュアルはまったく役に立たない。手がつけられない。われわれの経験をどうか生かしていただきたい。ともに脱原発に歩むため交流を深めたい」と訴えると、「安全だから問題ないと言われてきたが、命を守る意味で過酷事故対策を話し合いたい」と応じた。慶尚南道密陽(ミリャン)では新月城原発からの送電線の居住地通過に対して高圧送電塔建設阻止闘争を7年前から続けているが、この運動が蔚珍での運動に影響を与えているとも聞いた。市民ツアーは山中の団結小屋まで行き運動代表など住民と昼食をともにするなどして交流した。
続く
NNAAホームページ http://ermite.just-size.net/nnaa/
NNAA紹介ビデオ http://www.youtube.com/watch?v=gNAr8K6NanY&feature=youtu.be
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