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汚染水漏出 「管理下」に大きな疑問
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014030402000136.html
2014年3月4日 東京新聞社説
福島第一原発で、また高濃度の放射能汚染水があふれ出た。配管系の故障なのか、人為的な事故なのかも定かでない。敷地の外へは出ていないというものの、「管理下」というには程遠い。
とても危険な状態だ。
放射性物質の濃度が極めて高い汚染水が、また、タンクの外にこぼれ出た。
漏れ出た量は約百トン。一リットル当たり二億四〇〇〇万ベクレルのストロンチウム90などが検出された。原発外に放出できる上限の八百万倍の濃度だ。
謎めいた出来事だ。配管を通して移送される汚染水が、間違って満杯に近い別のタンクに注入されてしまったのだという。
途中に取り付けられた三つの弁が、なぜかすべて開かれており、問題が発覚した後、うち一つが閉じた状態に戻っていた。操作ミスか、それとも故意か。わかっていない。
水位の高さを知らせる警報は鳴ったが、九時間以上、放置されていた。何のための警報か。
弁の操作ミスに原因不明の故障、その上ずさんな管理体制が重なった三重のトラブルだとすれば、これは深刻な事件である。
一日四百トンという地下水の流入は止まらない。
敷地内には、膨大な汚染水をため込んだ約千基のタンクが立ち並ぶ。そして増えていく。つまり、危険の程度は増していく。作業員の疲労は募るばかりだろう。四十年とされる長い廃炉への工程は、まだ緒についたとも言えない状況なのにである。
トリチウム(三重水素)以外の放射性物質を取り除くことができるという「多核種除去設備(ALPS)」も、先月末に水を送るポンプが故障を起こすなどトラブルが相次いでおり、試運転の域を出ていない。
安倍晋三首相は施政方針演説で、対策には「国が前面に立つ」と約束した。しかし、事態は悪くなっている。とても「アンダーコントロール(管理下)」とは言い難い。
作業態勢の見直しや、見回りの強化は当然必要だ。だが最優先するべきは、持てる技術を総動員して、一日も早く根本治療を図ること、地下水の流入を食い止めることではなかったか。
水回りの管理すらおぼつかない政府と電力会社。これが「国策」だと胸を張れるのだろうか。とてもじゃないが、再稼働を急ぐ資格はない。
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