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再稼働に「身内」も抵抗、浜岡原発のハードル 再稼働の流れにあらがうのは意外な面々
http://toyokeizai.net/articles/-/31839
2014年03月02日 関口 威人 :ジャーナリスト 東洋経済
防波壁の建設が進む中部電力浜岡原子力発電所。2014年2月18日撮影
「原子力を一定規模で活用することは日本にとって不可欠。中長期的にブレない政策を取ってほしい」
全国的に大雪ショックの影響が出始めた2月14日。中部電力の増田博武・原子力部長は、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)4号機再稼働の前提となる国への安全審査申請後に開いた記者会見の席で、こう訴えた。
浜岡原発は、国の要請により2011年5月から全機停止している。当時の菅直人首相は、「浜岡は30年以内の発生確率87%の巨大地震の震源に立地している。事故を起こせば東海道新幹線や東名高速などの大動脈や自動車産業が大打撃を受け、100万人単位の避難が必要になる。そうなれば日本はもたない」と危機感をあらわにした。菅氏は「今でも前提はまったく変わっていない。申請は根本的に間違っている」と息巻く。
だが、再稼働に向けた布石は着々と打たれている。申請を前に、中電側は原子力規制委員会事務局の幹部と接触し、審査は他原発と同じ基準であることを確認。「浜岡は何ら特別な位置づけにない」(水野明久社長)として、他の7電力と同じ「安全審査レース」に駆け込んだ。
現場では、南海トラフ地震の最大想定を反映し、当初計画から4メートルかさ上げした海抜22メートルの防波壁が威容を現している。橋梁技術を応用したという建屋の防水扉、40メートルの高台に設けたガスタービン発電機、そして新基準で求められるフィルター付きベントなど、総工費3000億円をかけた大工事が進む。
しかし、再稼働への流れは簡単に進むわけではない。浜岡の安全に疑問を呈する人々がいるからだ。
■自民党県議が辛辣動画
「浜岡原発を知っていますか」。こんな呼びかけで始まる15分間ほどの動画が、昨年10月からユーチューブで公開されている。
大地震の発生確率のマップと浜岡の位置を重ね、「地震国日本の中でも最も危険とされる場所に建っている」とナレーション。中電が活断層でないとする「H断層系」にも触れ、浜岡は他の原発とは異なり、タービン建屋より海側に原子炉建屋があり、その配置も断層を避けてバラバラになっているため、配管損傷などのおそれが強く、「特に危険なのです」と指摘する。
制作したのは反原発の市民団体ではない。静岡県議会の超党派の議員連盟、代表は自民党のベテラン県議だ。
「自民だから原発推進の内容だと思い込んで見たら、びっくりするでしょうね」。当の天野一県議はあっけらかんと話す。
天野県議は県庁の位置する静岡市葵区選出で当選7回。一貫して自民党会派に属し、党県連政調会長や幹事長も歴任。一方で浜岡を恐れて施設を移転した養護学校「ねむの木学園」の理事なども務め、原発には懐疑的だった。
震災後、「党派を超えて原発の実情を知ろう」と周辺市町村議にも呼びかけ、「原発・新エネルギー検討勉強会」を発足。9回の勉強会で原発の元設計者や学者の意見を聞いたうえでまとめた成果の一つが、「浜岡原発の今とこれから」と題した前述の動画だ。
「客観的で公正」とうたうが、明らかに辛辣な内容。フランスの原子力機関が発表した福島事故による放射性物質の拡散シミュレーションを「浜岡の位置にずらしてみましょう」と放射能の雲が東京を覆うさまを見せつけたかと思えば、各電力会社の電源構成比を並べ、「中部電力は原発がなくても十分な電力供給を行える電力会社だといえるでしょう」と言い切る。同じ映像を2000枚のDVDに収め、中電職員にも手渡しているという。
「中電を敵にしているわけではない」としたうえで、「浜岡を止めた国はその総括をしていない。ならば地元の世論を示さなければ。反対運動でなく、事実を事実として伝え、県民に判断してもらう必要がある」と天野県議は力説する。県内では自動車を中心とした産業界の中にも「再稼働やむなし」の空気が広がりつつあるというが、「お茶農家は原発事故で生活が奪われるような心配を抱えている。地方経済というときにそれらを含めて個々の経済人とは違う判断をするのが政治家の役目」と意に介さない。
■中電OBも市民会議
2011年4月、扉写真と同じ位置から撮影した写真
同様の問題提起の動きは中電のおひざ元、名古屋にもある。12年3月に発足した「中部エネルギー市民会議」。NPOや大学関係者を中心に、呼びかけ人には元名古屋市長の松原武久氏、元愛知県副知事の稲垣隆司氏らが名を連ねる。中でも異色なのが中電で原子力管理部門に所属していた今尾忠之さんだ。
中電退職後、愛知万博関連のNPO活動などに取り組んでいた今尾さんは福島事故で自らの原発安全神話が崩され、「自分は被告になった」と周囲に漏らした。その告白がきっかけとなって「市民会議」が立ち上がり、呼びかけ人兼事務局という立場で携わっている。
「少なからず原子力にかかわった者として大きな責任を感じている。ただし、私自身は即時ゼロではなくソフトランディングすべきとの立場」。古巣の動きについては「浜岡の安全性が妥当かどうかと申請を出すのは事業者として当然のこと。しかし一番のネックは使用済み燃料の処理だ。この道筋をはっきり示せなければ再稼働の国民的合意は得られないことを、会社全体が共有しなければならない」とくぎを刺す。
これまでの会議には中電の現役幹部も招き、賛否を超えた議論を積み重ねてきた。意見の取りまとめに手間取り、本格的な会議はこの1年以上開けなかったが、3月から再開することが決まった。
電力OBも自民党議員もこれまでなら原子力ムラの「身内」。その批判に謙虚にこたえ続けなければ、再稼働の道は開けないだろう。
(週刊東洋経済2014年3月1日号〈2月24日発売〉 核心リポート04)
- おいおい、冗談はやめてくれ! 初心に帰るお天道様に恥じない生き方 2014/3/02 10:50:07
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