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アメリカの原発事情について 小出裕章
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7567449.html
2014年03月02日00:03 とある原発の溶融貫通(メルトスルー)
石丸:
今日のテーマはアメリカの原発事情です。日本は今、原発稼働を0の状態が続いておりますね。
小出さん:
そうですね。嬉しいです。
石丸:
しかしながら、再稼働に向けた動きも着々と安倍政権進めています。一方でアメリカなんですけれども、アメリカが実は原発を縮小の方向にあるということですね。
小出さん:
そうです。
石丸:
これは2011年以降なんですけれども、11年以降4か所5基の原子力発電所の閉鎖が決まっています。この流れはどういうふうに理解したらいいんでしょうか?
小出さん:
原子力というものに世界中が夢をかけた時代がありました。1960年代ぐらいからですけれども、それを牽引してきたのはもちろん米国です。
で、60年代から70年代にかけて、猛烈な勢いで原子力発電所を運転開始させましたし、たくさんの原子力発電所を建設もしようとしましたし、またさらに、もっと多くの原子力発電所を計画するという時代が米国でも続きました。
しかし、運転中と建設中と計画中の原子力発電所の数を合わせた合計の数が一番多かったのは1974年なのです。すでに、40年も前なのですが、それ以降は建設中のものはほとんど全てキャンセルされ、計画書のものですね。
で、建設中のものも9割以上建設が終わっていたものすらキャンセルされてしまって、どんどんどんどん原子力から撤退を始めるという時代が、実はもう米国では40年前から始まっていた。
で、79年に米国のスリーマイル島原子力発電所という所で、また大きな事故が起きてしまいまして、米国はもう決定的に原子力から撤退するという、そういう道にすでに入っていたのです。
ですから、100基を超えて確かに米国は原子力発電所を作りましたけれども、すでに何十年にも渡って全く増えませんし、これからは次々と廃炉になっていくという、そういう時代になりました。
石丸:
なぜ、その先頭ランナーのアメリカが撤退に向かってるんでしょうか?
小出さん:
はい、様々な理由がありますけれども、もちろん私自身も原子力に夢をかけました。
原子力というのは、未来のエネルギー源で無尽蔵に資源があるという宣伝もありましたし、経済性がもの凄い、値段がつけられないぐらい安い電気を発電できるというような宣伝もありましたし、原子力発電所だけは絶対に事故を起こさないというような宣伝もありました。
しかし、それら全てがウソだということが分かったわけです。原子力の資源は誠に貧弱だし、経済的にも採算が合わない。そして、安全でもないということが次々と明らかになってきてしまったがために、米国は原子力から撤退するということになったわけです。
で、もう一つ重要なことは、「原子力」と日本で呼んでいるものは基本的に「核」と呼んでる、日本で「核」と呼んでるものと同じもので、原子力を世界中に広めてしまうと、核兵器の拡散を防ぐことができなくなるということに米国は気がついたわけで。
いわゆる再処理というですね、原子力発電所の使用済み燃料の中からプルトニウムという物質を取り出して、それをまた燃料に使おうという計画もあったのですが、そんなことをすると、到底、核拡散を防げないということで、それも、もう70年代の末にカーター大統領は「放棄する」という決定をしているのです。
もう、そうなると原子力に何のメリットもないということで、どんどんどんどん来たわけですし、最近になると米国では、いわゆるシェールガスというのが大量に出るということが分かりまして、もう原子力なんてやる意味が全くなくなってしまったわけです。
石丸:
これは、その、アメリカに…やはり特殊なことなんでしょうか?つまり、このシェールガスが大量にあって、開発が進むから、というアメリカだけの特殊な事情だって考えた方がいいんでしょうか?
小出さん:
はい、まあ、あのシェールガスというのは、たぶん地球上あっちこっちで出ると思いますし、現在は米国とカナダがシェールガスを大量に掘り始めたという段階なのです。
たぶん、あの、他の国でもこれから開発ということをすればシェールガスが出る所はあると思いますので、そういうところではやはり原子力という選択は、ますます無くなっていくだろうと思います。
日本がどうなのかというのはちょっとよく分かりませんが、まあ日本は海洋国家であって、たぶんメタンハイドレードが大量にあるはずです。
石丸:
海の底にあるガスですね。
小出さん:
はい。そういうものが利用できるようになれば、原子力からの撤退が日本でも加速するだろうと思いますが、今の段階でちょっとそれを見通すことはできません。
石丸:
なるほど。もう一つ、これ調べてて出てきたのがですね、アメリカの原子力発電・核発電というものは「ワンスルー方式」だと。
つまり、ウラン燃料を燃やして、それで核のゴミが出ますけれど、それの処理をしていないということなんですが、この「ワンスルー方式」もうちょっと説明をしていただけませんでしょうか?
小出さん:
はい。普通の原子力発電所っていうのは、ウランを核分裂させて発生するエネルギーで発電するという、そういうシステムなんですね。
ただ、そのウランを一方的に核分裂させてしまいますと、すぐにウラン資源が無くなってしまうということが分かりまして、それなら原子炉を運転するとプルトニウムという物質、長崎に落とされた原爆の材料ですけれども。
それが原子炉の中に溜まってくるので、それを取り出して、それもまた燃料にしようという計画ができたのです。それを日本では「核燃料サイクル」と呼んでるものです。
ただし、今聞いていただいたように、プルトニウムというものは長崎原爆の材料になった物質ですので、そんなものを燃料にしようと思うと、いわゆる核拡散。原爆を製造するという材料が世界中に出回ってしまうようなことになって、これは到底容認できないということで、先ほども聞いいただいたようにカーター大統領が1970年代の末に、「もうプルトニウムは取り出すことはダメだ」と。
「もう原子力の燃料が少ないなら少なくてもいいから、とにかくそのウランを核分裂させるという段階でもうやめる」という判断をしたのです。
そのため米国は、自国内でも商業用の再処理は行わないということに決定しましたし、世界中を他の国にも再処理はやらせないということで規制をかけようとしてきたのです。
石丸:
なるほど。このプルトニウムを取り出して再処理をして、それをまた燃料に使う。いわゆる核燃料サイクルですけれども、これはこれで非常にやっぱりコスト、お金がかかるわけですよね?
小出さん:
猛烈にかかります。
石丸:
で、それを日本はやってやろうとしている。やろうとしてきたわけですけれども。
小出さん:
そうです。まともに、でもまだ日本では核燃料サイクルなんてものは動いていないわけで、六ヶ所村に再処理工場というのを作ろうとしてきました。
もともとの計画では、1997年に運転開始するはずだったのですけれども、一向に動きませんで、17年経った今でもまだ動かないという、そういう金食い虫なのですね。
それをこれからもし運転しようとするなら、もっともっとお金がかかってしまって、電気代に一体いくら上乗せしなければ(いいのか)実は分からないっていう、そんなところまできてしまっているのです。
ですから、私としては「もう、さっさと核燃料サイクルを撤退すればいい」と思いますけれども、日本でこれまで原子力、あるいは核燃料サイクルというものをやってきた人達は、「とにかく核開発をしたい」「プルトニウムをとにかく取り出す」という技術を懐に入れたいと思ってきたわけですから、採算を度外視してでも何としても再処理工場を動かしたいのです。
まあ、そのツケを払わせられるのが私達、電気の消費者ということになります。
石丸:
なるほど。核開発・原子力発電の先頭走者であったアメリカが、実は原子力発電からどんどんどんどん撤退の方向にあるということですね。
小出さん:
そうです。はい。
石丸:
今日は小出さん、ありがとうございました。
小出さん:
いえ、ありがとうございました。
http://www.rafjp.org/koidejournal/no60/
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