http://www.asyura2.com/14/genpatu36/msg/445.html
Tweet |
北海道函館市は、現在、青森県で建設中の大間原子力発電所について、国と事業者の電源開発に対し建設差し止めを求める裁判を起こす考えを表明しました。この発電所はフルMOX燃料と呼ばれる燃料を使用する世界初の原発なのですが、函館市は特にこれを問題視しているようです。
.
フルMOX燃料の活用は、使用済み燃料から取り出したプルトニウムを再び原子炉で再利用するプルサーマル計画の一部として実施されるものです。従来のプルサーマルは、プルトニウムとウランの混合燃料であるMOX燃料とウラン燃料を併用する形で実施されています。しかしフルMOXでは、すべての燃料がMOX燃料となり、このような実装形態は世界初の試みということになります。現在、同発電所は安全審査の準備を行っている段階ですが、原子力規制委員会の田中委員長は「すぐに認められる状況ではない」と慎重姿勢を見せています。
フルMOXに慎重なスタンスの専門家がいるのは、MOX燃料を使った場合の炉心特性がウランだけの場合とは異なっているからです。既存の軽水炉は燃料として3%濃縮ウランを使用することを前提に設計されています。中性子の吸収レベルが異なるプルトニウムを燃料にすると、制御棒の反応度など炉心の運転特性が変わってきます。工学的な改良で十分に対応が可能といわれていますが、専門家の中からは移行を急ぎすぎない方よいという意見も出ています。
本来、軽水炉はウランを燃やすための原子炉です。もともと想定しなかったプルトニウムを燃やすという状況になっているのは、日本における核燃料サイクルの構築が順調に進んでいないからです。
日本はウラン燃料のほとんどを輸入に頼っています。このため使用済みの核燃料からプルトニウムを抽出し、核燃料として再利用し、燃料の利用効率を高めようとしています。これを実現する一連のプロセスを「核燃料サイクル」と呼びます。しかし核燃料サイクルの中核となる高速増殖炉「もんじゅ」は多くの技術的トラブルを抱えており、現在運転を停止したままで、再開の目処は立っていません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140219-00000012-wordleaf-soci
また、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す青森県六ヶ所村の再処理施設は、現在、安全審査が始まったばかりですが、耐震性の問題などが指摘されており、いつ操業開始できるか分からない状況にあります。現在日本は、フランスや英国に処理を委託していますが、すべての原発から出る燃料を処理することはできず、プルトニウムは溜まる一方です。
プルトニウムは容易に核兵器に転用できるため、過度に蓄積することは安全保障上望ましくありません。この状況を打開するため、本来はウラン用の軽水炉でプルトニウムを燃やそうというのがプルサーマル計画であり、フルMOX燃料はそれをさらに効率化するための手段です。
フルMOX燃料を用いる大間原子力発電所個別の安全性判断も重要ですが、現在、足踏み状態にある核燃料サイクルをどう進めていくのかという大事な部分を決めなければ、根本的な解決策にはなりません。これをはっきりさせず、なし崩し的にフルMOX燃料の導入を進めるやり方は、核燃料サイクルを推進する立場にとっても、反対する立場にとっても、あまり好ましいものとはいえないでしょう。
(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140219-00000012-wordleaf-soci&p=2
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素36掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。